[管理番号:8362]
性別:女性
年齢:47歳
病名:浸潤がん
症状:広範囲な非浸潤がんの中に、浸潤がんが見つかりました。
投稿日:2020年3月9日
初めまして。
いつもこちらで勉強させていただき、正しく知ることで、無駄な恐れがなくなりました。
大変感謝しております。
浸潤がん
広範囲な非浸潤がんのため全摘しましたが、一部浸潤がんがありました。
腫瘍経 4ミリX2ミリ
切除断端 陰性
波及度 g
脈管侵襲 陰性
er 90%
pgr 90%
グレード1
ki 67 5%
センチネル0/1
HER2 +3
先生の、他の方への回答で、
『ki67が9.9%では、FISH陰性の可能性が高い、本当にHER2でふか』というのがありました。
そこでお聞きしたいのですが
①私はそれより低い5%ですし、グレードも低いです。
HER2であることがとても不安になりますが、間違えということはないでしょうか。
②もしHER2だとしても、大人しいから、ルミナールAのように再発が10年後とかもあり得るでしょうか。
術後の治療はタモキシフェンを5年の予定です。
③私の腫瘍経は縦×横の表示ですが、他の方では深さ(?)も書かれているようです。
塊ではなく『面』のようなものなのでしょうか?
④今はお酒を控えてますがら以前はかなりの量を飲んでおりました。
その場合、遠隔転移で肝臓へ行った場合、転移しやすいものでしょうか。
飲酒量が肝臓に蓄積されているという記事を見たことがあり、心配です。
お忙しい中申し訳ありませんが、ご回答いただけたらと思います。
よろしくお願いします。
田澤先生からの回答
こんにちは。田澤です。
浸潤径4mmの早期乳癌
余計なことを心配する必要はありません。
「①私はそれより低い5%ですし、グレードも低いです。
HER2であることがとても不安になりますが、間違えということはないでしょうか。」
⇒間違いではないが、「典型例ではない」とは言えます。
「②もしHER2だとしても、大人しいから、ルミナールAのように再発が10年後とかもあり得るでしょうか。」
⇒その可能性はあります。
「③私の腫瘍経は縦×横の表示ですが、他の方では深さ(?)も書かれているようです。
塊ではなく『面』のようなものなのでしょうか?」
⇒病理医の判断にすぎません。(最大浸潤径が分かればいいのです)
「その場合、遠隔転移で肝臓へ行った場合、転移しやすいものでしょうか。」
⇒全く無関係。
ご安心を。
質問者様から 【質問2 】
ki低値のHER2について
性別:女性
年齢:47歳
病名:浸潤がん
症状:広範囲な非浸潤がんの一部に浸潤がありました
投稿日:2020年3月17日
田澤先生、先日はお忙しい中、回答ありがとうございました。
すみません、また、質問させてください。
①こちらのQ&Aを見ていると、広範囲な非浸潤から一部が浸潤している人は、HER2の方が多い気がします。
偶然でしょうか、それともHER2は浸潤しやすいから多いのでしょうか。
②広範囲な非浸潤浸潤からの浸潤4ミリと、ひとつのしこりだった浸潤4ミリと、予後は同じでしょうか。
③ki67が低値ということで、晩期再発の可能性もあり得るとのことでしたが、タモキシフェンは10年のほうが良いでしょうか。
④腫瘍経5ミリ以下は抗HER2の適応外と思っていましたが、
昨日NCC Nガイドラインを見ていたら、5ミリ以下は『考慮する』となっていました。
最近変わった?のですか?
急に心配になりました、予後の悪い統計が取れてきたからでしょうか。
私のような広範囲(8センチ×4センチ壊死あり)の非浸潤がある場合や年齢などから、考慮する面はありますか?
手術からは2ヶ月経ってしまっております。
長々とすみません。
よろしくお願いします。
田澤先生から 【回答2】
こんにちは。田澤です。
「①こちらのQ&Aを見ていると、広範囲な非浸潤から一部が浸潤している人は、HER2の方が多い気がします。
偶然でしょうか、それともHER2は浸潤しやすいから多いのでしょうか。」
⇒考えすぎです。
「②広範囲な非浸潤浸潤からの浸潤4ミリと、ひとつのしこりだった浸潤4ミリと、予後は同じでしょうか。」
⇒同じです。
「③ki67が低値ということで、晩期再発の可能性もあり得るとのことでしたが、タモキシフェンは10年のほうが良いでしょうか。」
⇒早期がんで10年は(私なら)行いません。
質問者の理論でいくと、「ルミナールAは大人しいから(晩期再発の可能性もあるから)タモキシフェンは10年」となってしまいます。
しかし、実際には「タモキシフェンの10年投与の基準」は「ステージ」となるのです。
「④腫瘍経5ミリ以下は抗HER2の適応外と思っていましたが、
昨日NCC Nガイドラインを見ていたら、5ミリ以下は『考慮する』となっていました。
最近変わった?のですか?
急に心配になりました、予後の悪い統計が取れてきたからでしょうか。」
⇒そもそも抗がん剤の適応に「大きさの基準」はありません。
ただ、「5mm以下」では数が少ないので質の高いエビデンスのある臨床試験は組めません。
単に(肯定も否定もできないから)「考慮する」となっているだけです。
★実際の臨床の場では「適応外」であることに変わりはありません。
「私のような広範囲(8センチ×4センチ壊死あり)の非浸潤がある場合や年齢などから、考慮する面はありますか?」
⇒全摘なのだから、気にすることは全くありません。
ご安心を。
質問者様から 【質問3 】
再発の意味について
性別:女性
年齢:47歳
病名:乳がん
症状:広範囲な非浸潤がんの一部に浸潤がんがありました
投稿日:2020年3月26日
田澤先生、お疲れ様です。
いつもありがとうございます。
きちんと理解した上で治療が受けられるので、感謝しています。
もうひとつ、初歩的なことで申し訳ございませんが教えてください。
よろしくお願いします。
『5年再発率』『再発リスク』などというのがよく出てきますが、一般的に再発というのはどちらかをさすのですか?それとも局所と遠隔含めてのものでしょうか?
田澤先生から 【回答3】
こんにちは。田澤です。
「『5年再発率』『再発リスク』などというのがよく出てきますが、一般的に再発というのはどちらかをさすのですか?それとも局所と遠隔含めてのものでしょうか?」
⇒勿論、遠隔転移再発のことです。(局所再発は術式や術者によるので、率など存在しません)
質問者様から 【質問4 】
腫瘍の時間軸について
性別:女性
年齢:47歳
病名:乳がん
症状:広範囲な非浸潤がんの中に、浸潤がんがありました
投稿日:2020年4月28日
田澤先生、こんばんは。
コロナコロナで滅入る日々ですが、先生の平常心に触れると、安心いたします。
急ぎの質問でなくて申し訳ないのですが、教えてください。
①このQ&Aで、『時間軸=癌が臓器転移をするだけの余裕を与えてしまった』というのがありました。
私のがんはki-67の数値からみると、ゆっくり大きくなったと思われます。
小さい腫瘍としても、時間としては、早いスピードで大きくなった腫瘍と、同じ、もしくはそれ以上ということもある、そういうことでしょうか?
②広範囲な非浸潤がありましたが、発生は、浸潤が先ではなく、あくまでも非浸潤が先でしょうか?
③たまたま生検や病理ではおとなしい腫瘍でしたが、がんに気づく前には勢いがあったのに、突然変異でおとなしくなったということはあるのでしょうか。
田澤先生から 【回答4】
こんにちは。田澤です。
「①このQ&Aで、『時間軸=癌が臓器転移をするだけの余裕を与えてしまった』というのがありました。
私のがんはki-67の数値からみると、ゆっくり大きくなったと思われます。
小さい腫瘍としても、時間としては、早いスピードで大きくなった腫瘍と、同じ、もしくはそれ以上ということもある、そういうことでしょうか?」
⇒誰も実際に見たことがないあくまでも「理論上の」世界です。
私も(勿論!)実際に癌細胞が転移している様子を観察したことはありません。
ただ、私が実感(経験)しているのは「腫瘍の大きさが転移の率と関係している(ステージの因子だから当然ですが)」という印象なのです。
★上記を(自分なりに)解釈し「大きな腫瘍は(それだけ)長期間血管へ入る時間があったから」と言っているのです。
あくまでも「大きさというリスク」を解釈するための解釈が「時間軸」なのです。
「大きさを解釈するための時間軸」を「小さな腫瘍に時間軸だけ当てはめる」
ことが如何におかしいのか?(理解していただけましたか?)
別の角度から言うと…
時間を揃えてみましょう。
A(増殖がBの100倍) 1年で1⇒10000個の癌細胞
B 1年で1⇒100個の癌細胞
AとBは1年間血管に曝されていますが、その「曝されている癌細胞の数」が100倍も異なるのです。
「②広範囲な非浸潤がありましたが、発生は、浸潤が先ではなく、あくまでも非浸潤が先でしょうか?」
⇒それは証明されています。
「③たまたま生検や病理ではおとなしい腫瘍でしたが、がんに気づく前には勢いがあったのに、突然変異でおとなしくなったということはあるのでしょうか。」
⇒考えすぎ。
「ありのまま」を受け止めるようにした方がいいと思います。
質問者様から 【質問5 】
全摘の皮膚再発について
性別:女性
年齢:47歳
病名:浸潤がん
症状:広範囲な非浸潤がんの中に浸潤がんが見つかりました
投稿日:2020年6月8日
田澤先生、いつもお忙しい中教えてくださってありがとうございます。
前回も、とても分かりやすく説明していただいたので、納得いたしました。
何度も申し訳ございませんが、また心配なことがあるので教えていただけたらと思います、よろしくお願いします。
私は広範囲な非浸潤がんで全摘して、術後に4ミリ浸潤が見つかりました。
コラム86回目『このようにすれば、全摘で深部側断端が陽性となることはない』を読んでいたら、腫瘍の真上の皮膚を切除するのは「皮膚側に腫瘍を残さないため」です。
というのがありました。
私のように術後に浸潤が判明した場合、浸潤部の皮膚が残っているかもしれないですよね。
質問なのですが、その場合、断端陰性でも皮膚に転移してくることはありますか?
手術標本を見たら、コラム86回の写真のような深部側ではなく、皮膚に近い乳腺のところに腫瘍がありました。
胸も小さいので脂肪も少なく、即皮膚のような胸でした。
先日主治医に、縫ったところがポコンとしているのはしこりではないですよねと確認したところ、まだ出てくるのは早い(1月手術)とか、赤く光ってるのが出たら見せてとか言われました。
全摘だから局所再発ないはずですが、腫瘍上部の皮膚が残っているからそのように言われたのでしょうか。
長々と分かりづらくてすみません。
傷を見るたびに不安で落ち着かなくなります。
よろしくお願いします。
田澤先生から 【回答5】
こんにちは。田澤です。
「質問なのですが、その場合、断端陰性でも皮膚に転移してくることはありますか?」
⇒4mmなのだから…
可能性は「限りなく0に近い」
ご安心を。