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再手術について

[管理番号:323]
性別:女性
年齢:34歳
マンモトームでガン細胞の散らばるリスクは?」という質問の回答と重複する部分があるかと思いますが、不安な部分があり質問させていただきます。
宜しくお願い致します。
 
胸のシコリが気になり乳腺外科を受診しました。
マンモグラフィとエコーの結果、おそらく乳腺腺腫なので経過観察でもいいし、気になるようなら取ることもできるとの説明を受けました。
数年前からあるシコリで大きくなっている気もしたので、先月手術で取り、その後の病理検査で乳がんが分かりました。
 
一度触っているのであまり時間を置かずに再度手術をしたほうがいいということになり、今月温存手術をし今に至ります。
一度手術をしたことでがん細胞が散らばってしまった可能性があるので「あまり時間を置かずに」ということかと思うと、今後の治療を決めていく上でも自分の判断に自信が持てなくなってしまいました。
マンモトームの場合と同じく、良性と判断される腫瘍を局所麻酔の手術で取れる範囲で取った場合も、がん細胞が散らばることはないのでしょうか?
また散らばってしまったとしても、その後の放射線治療で局所再発は抑えられると考えていいのでしょうか?
 

田澤先生からの回答

 こんにちは。田澤です。
 画像診断では良性腫瘍が疑われたのに「摘出してみたら癌だった」という事ですね。
 「針生検が一般化された今の時代にはかなり珍しい事」だと思います。
 「線維腺腫」の場合「摘出してみたら葉状腫瘍だった」というのは良く聞きますが「癌の場合には」生検前に「針生検で診断されている」ケースが殆どとなります。

回答

「一度触っているのであまり時間を置かずに再度手術をしたほうがいい」
⇒正しい感覚だとは思います。
 全く「無警戒」に摘出生検をしたのであれば、当然考えるべきものです。
 ただし、(癌の警戒はしないまでも)明らかな腫瘍の摘出であれば、(少なくとも私であれば)腫瘍が露出しないように摘出します。
 それは、たとえ「線維腺腫」であっても、(腫瘍に切りこんだりして)残してしまった場合の「局所再発のリスク」を防ぐためです。
 
「マンモトームの場合と同じく、良性と判断される腫瘍を局所麻酔の手術で取れる範囲で取った場合も、がん細胞が散らばることはないのでしょうか?」
⇒(上記のように)「良性と判断しても、露出しないように気をつけて」摘出生検していれば、そのリスクは非常に低くなります。
 しかし、その担当医が『どのような摘出生検をしたのか?(きちんと露出しないように意識していたのか?)』にもよるので、その点は不明です。
 
「また散らばってしまったとしても、その後の放射線治療で局所再発は抑えられると考えていいのでしょうか?」
⇒大丈夫です。
 (仮に、摘出生検が完璧ではなかったと仮定しても)「短期間の内に」手術をし直しているので、全く問題はありません。
 
 

 

質問者様から 
【質問2 化学療法について】

性別:女性
年齢:34歳
先日はご回答頂きありがとうございました。
周りの組織と密着していて、局所麻酔で全てを取り切るのは難しかったようです。
やり直しの手術をしているので問題無しと聞いて、とりあえず納得しました。
 
術後治療に関して、先生のご意見もお聞かせ頂ければと思い、再度質問させて頂きます。
放射線治療は決まっているのですが、その後の化学療法について決めかねています。
ホルモン受容体は陰性、Her2は陽性、グレードは3、Ki-67が35%です。
分子標的薬が使えるようですが、調べてみると費用も高額で期間も長いことが気になります。
抗がん剤は良く効くようで、年齢的にもしたほうがいいのかとも思うのですが、仕事を続けながらの治療は厳しいのかなど考え始めると、何がベストなのか分からなくなります。
調べれば調べるほど、不安なことばかりが増えていきます。
情報が足りないかもしれませんが、ご助言頂ければ幸いです。
 

田澤先生から 【回答2】

 おはようございます。田澤です。
 術後療法ですね。
 最初に「良性」と言われていて、急に「追加手術」ときて「術後療法」だと「心の準備」が付いて行くのも大変だと思います。

回答

「ホルモン受容体は陰性、Her2は陽性、グレードは3、Ki-67が35%です。」「34歳」
⇒是非、分子標的薬(ハーセプチン)+化学療法(TC Or FEC-DTX)をやるべきです。
※TCはDTX(ドセタキセル:一般名タキソテール)とエンドキサンの2剤併用療法
   FECは5Fu(ファイブエフユー)とエピルビシンとエンドキサンの3剤併用療法
 
 サブタイプがHER2タイプ、グレード3ということは組織型は「充実腺管癌」でしょうか?
 Ki67が35%(と、それ程高くはない)ですが、このタイプで(しかも30歳代)あれば、迷うべきではありません。
※高いエビデンス(臨床効果が証明されている)のある領域です。
 
 組み合わせる化学療法(ハーセプチン単剤という選択肢はありません)により、おおよそ2つの選択肢があると思います。
①TCと組み合わせる場合
 TC(3週間に1回を4回)⇒(ここで放射線)⇒ハーセプチン単剤(3週間に1回を18回)
②FEC-DTXと組み合わせる場合
 FEC(3週間に1回を4回)⇒ハーセプチン+DTX(3週間に1回を4回)⇒(ここで放射線)⇒ハーセプチン単剤(3週間に1回を14回)
 
◎ハイリスクではないようなので①でいいと思うのですが、この場合は
(最初の)TCの4回(3カ月間):脱毛や食欲不振、吐き気、全身倦怠、痺れなどの副作用あり
(次の)放射線照射(1カ月半)は副作用は殆どありません(皮膚が日焼けのようにヒリヒリする程度)
(最後の)ハーセプチン(1年間)は自覚する副作用は全くありません。(心機能チェックのみ半年に1回程度すればOK)
 
「費用も高額で期間も長いことが気になります」
⇒(費用)TCもハーセプチンも高額なので、「限度額申請」が必要となります。
 (期間)ハーセプチン療法は1年間と期間が長いですが、点滴時間も短い(正味30分程度)し、何より「副作用が無い」事を確認してください
 
「仕事を続けながらの治療は厳しいのかなど考え始めると、何がベストなのか分からなくなります。」
⇒仕事を続けながら大丈夫です。
 (上記のように)TCx4(3カ月)⇒放射線(1カ月半)⇒ハーセプチン単剤(1年間)であれば、仕事に大変なのは最初の3カ月のみです。
 この3カ月は点滴をして1週間程度は本調子ではないにしても、仕事を休む必要は必ずしも無いと思います。(仕事の内容にもよりますが…)
 この3カ月を乗り切れば、「放射線照射は照射時間は数分、副作用も殆ど無い」「ハーセプチンは副作用無い」ので残りの1年余りにかんしては、それ程問題ではありません。
 
◎『長期間の治療』とはいえ、『放射線照射やハーセプチン単剤』は仕事と両立できるので、ここは頑張りましょう。
 
 

 

質問者様から 【質問3】

こんにちは。
お忙しい中、早速のご回答ありがとうございます。
少し説明が不足していました。
先に放射線治療をすることは既に決まっています。私の乳がんの広がりかたから見て、先に局所療法でいいだろうという判断のようです。今は化学療法を先にすることが多いとも聞きましたが。
分子標的薬単体ではなく、抗がん剤を組み合わせて使うのがいいという事ですね。その方向で、改めて主治医に確認してみます。
「充実腺管癌」というのは初めて聞きました。
 

田澤先生から 【回答3】

 こんにちは。田澤です。
 それでは回答します。

回答

「先に放射線治療をすることは既に決まっています。私の乳がんの広がりかたから見て、先に局所療法でいいだろうという判断のようです。今は化学療法を先にすることが多いとも聞きましたが。」
⇒(質問者の理解されている通り)化学療法先行が原則です。
 通常、(その原則に逆らって)放射線照射先行を選択する場合には、「T4(皮膚浸潤を伴う)」とか「N2~N3(リンパ節転移高度)」の場合に行われます。
※他には「(患者さんが、化学療法をするかどうか迷っている場合に)どうせ行う放射線照射中に考えてもらう」目的で「放射 線照射先行」を選択することもあります。
 ◎質問者の場合には、そのどれにも当てはまらないようです。
 一度、「担当医に、『(乳癌の広がり方からみて)という漠然とした理由ではなく)『具体的な理由』』を聞いておいてもいいと思います。
 
「分子標的薬単体ではなく、抗がん剤を組み合わせて使うのがいいという事ですね。その方向で、改めて主治医に確認してみます。」
⇒(主治医も、まさか分子標的薬単剤を予定していたわけではないとは思いますが…)
 「ハーセプチン単剤では意味がない(効力が不十分)」であることが、明らかとなっています。
 
★「質問者が、例え早期(Ⅰ期?)だとしても」決して 、「ハーセプチン単剤」はやめたほうがいいです。
 質問者の年齢からしても、「きちんとした治療」をするべきなのです。
 
 

 

質問者様から 【質問4】

ご回答ありがとうございます。
正直なところ私に、抗がん剤治療への躊躇いがありました。
放射線先行の治療では、大きなデメリットがあるのでしょうか?放射線治療が終わってからでは、抗がん剤の意味はないのでしょうか?
今日から放射線治療が始まるので、どうしていいのか分からなくなってきてしまいました。
 

田澤先生から 【回答4】

 こんにちは。田澤です。
 「放射線療法」と「(分子標的薬を含めた)化学療法」は通常、「化学療法(±分子標的薬)」⇒「放射線」⇒「分子標的薬単剤」です。

回答

「放射線先行の治療では、大きなデメリットがあるのでしょうか? 放射線治療が終わってからでは、抗がん剤の意味はないのでしょうか?」
⇒ただ、「全身療法(化学療法)」が「局所療法(放射線)」より優先する。という原則での順番であって、「放射線照射」先行で具体的なデメリットはありません。
 もちろん「抗癌剤の意味はない」なんて事はありません。
 
「今日から放射線治療が始まるので、どうしていいのか分からなくなってきてしまいました。」
⇒(前回の回答で質問者を混乱させたとしたら)申し訳ありません。
 主治医のいう「腫瘍の拡がりから、放射線を先行したい」という具体的な理由が不明だったので、「原則論」を回答しただけであって、『きっと、(主治医の頭の中には)放射線先行すべき』という理由があるのでしょう。
 放射線照射が先行であることでの「具体的な不利益は全く無い」ので安心して、治療を受けてください。
 
 

 

質問者様から 【質問5 術後抗がん剤治療について】

ご回答いただきありがとうございました。
いろいろと考えることばかりで、お礼が遅くなり失礼致しました。
放射線治療が半分を過ぎ、なんとか最後まで乗り切れそうです。
この勢いで抗がん剤治療も頑張ろうと思います。
放射線治療後の抗がん剤も間をあけずに行うのがいいかとは思いますが、具体的な日数などはあるのでしょうか?
転居なども重なり、出来るだけ効率よく転院して治療に入りたいとは思っているのですが。
手術は4月中旬でした。
 

田澤先生から 【回答5】

 こんにちは。田澤です。
 「放射線先行」して、これから化学療法ですね。

回答

「放射線治療後の抗がん剤も間をあけずに行うのがいいかとは思いますが、具体的な日数などはあるのでしょうか?」
⇒1カ月です。(3週間~)
 抗がん剤⇒放射線の順番だと、「抗癌剤の副作用が抜けるまで(白血球が回復するまで)」という意味で「3週間以上(通常は1カ月程度)」空けています。
 ただし、「放射線照射」自体は「体のダメージが無い(白血球減少など無い)」ので、本来は(あまり期間を空けなくても)「抗癌剤を開始」できます。
 ただ、感覚的に「抗癌剤⇒放射線」の場合と同じ程度「期間を空けている」のです。
 
 

 

質問者様から 【質問6 抗がん剤使用の基準】

田澤先生、いつも丁寧なご回答ありがとうございます。
転院し今後の治療について相談しました。先生のご回答にもありました通り、化学療法をするつもりでいたのですが、手術で取ったものを取寄せ、腫瘍径?(私の聞き間違いでしょうか)を改めて確認してから再検討する必要があると言われました。
抗がん剤使用の判断に腫瘍の大きさなども関係あるのでしょうか?
抗がん剤治療は副作用も大きいですが、ホルモン陰性のため、出来るだけの治療は受けたいと思ったのですが。
細かいデータを検討してくれている主治医にお任せするのが礼儀だとは思うのですが、追加で資料を取寄せ検査するのに二週間ほどかかるようで、放射線治療終了から三週間が経過してしまいます。
自分の都合で転院しているので仕方ないのですが、時間だけが無駄に過ぎているのではと不安になります。
化学療法についての考え方は、先生によっても違ってくるものなのでしょうか?
 

田澤先生から 【回答6】

 こんにちは。田澤です。
 HER2タイプで「術後化学療法(ハーセプチン+通常の抗がん剤)」を予定していたと思います。

回答

「抗がん剤使用の判断に腫瘍の大きさなども関係あるのでしょうか?」
⇒関係あります。
 NCCNのガイドラインでは「浸潤径5mm未満では化学療法の適応は無い(その必要はない)」と規定されています。
 一般的に日本でも、そのような適応基準で行われています。
 
「化学療法についての考え方は、先生によっても違ってくるものなのでしょうか?」
⇒「HER2陽性での化学療法」に対しては「共通認識の筈」です。
 HER2陽性で「化学療法をしない」という乳腺外科医は日本中何処を探しても居ないでしょう。(勿論浸潤径 5mm< での話ですが)    ただ、「luminal type(ホルモン感受性陽性)」での化学療法については、医師による考え方の違いはあります。    
 

質問者様から 【質問7 術後化学療法について】

田澤先生、こんにちは。
いつも丁寧にご回答頂き有難うございます。
何度も申し訳ないのですが、以下のような場合の術後化学療法について、田澤先生でしたら最終的にどのように判断されますでしょうか?
・浸潤径5ミリ未満
・34歳
・ホルモン感受性無し
・Her2陽性(+3)
・核異型度3
・Ki-67 35%
・リンパ管/静脈侵襲無し
抗がん剤使用の決定に際して、前回ご回答頂いた浸潤径5ミリ未満と、その他の要素(年齢や核異型度など)ではどちらが優先されるなどあるのでしょうか?
例えば主治医に抗がん剤は必要ないと言われた場合でも、患者の希望で抗がん剤治療をするということもできるのでしょうか?
局所療法だけで治療が終わってしまうことが不安です。
 

田澤先生から 【回答7】

 こんにちは。田澤です。
 浸潤径5mm未満ですね。pT1a(<5mm), pN0, pStageⅠ, HER2 typeとなりますね。  (ハーセプチンを含めた)化学療法の適応はありません。

回答

「浸潤径5ミリ未満と、その他の要素(年齢や核異型度など)ではどちらが優先されるなどあるのでしょうか?」
⇒当然、浸潤径5mm未満です。
 ネットの情報などで、「tripple negativeが予後が悪い」とか「HER2 typeは進行し易い」とか情報過多となっています。
 これらはあくまでも、「同じステージ同士で比較したら」と考えてください。
○HER2タイプだろうが、トリプルネガティブだろうが、「早期は予後が良い」のです。
 それで、NCCNガイドラインでは「5mm以下は化学療法不要」となっています。
 
「例えば主治医に抗がん剤は必要ないと言われた場合でも、患者の希望で抗がん剤治療をするということもできるのでしょうか?」
⇒これは主治医の考え方次第でしょう。
 基本的に問題点は2つあります。
①治療には副作用がある点(利益と不利益のバランスが崩れる)
 抗HER2療法とは「ハーセプチン単剤は許されていません」あくまでも通常の化学療法と併用が不可避です。
 つまり質問者が「副作用により身体に不利益がもたらされる可能性」があるのです。
 「ある基準以上の進行度であれば」利益>不利益が証明されている訳ですが、「5mm以下」では(もともと再発率が低いため)「利益が少なく、不利益とのバランスが取れない」状態となります。
 ○利益と不利益のバランスを承知してもなお、「どうしても治療したい」という強い意志があれば、(厳密な意味の)適応外治療ではありません。
②医療経済上の問題点
 日本の医療は「医療費」で賄われています。
 自己負担額よりも、ずっと多額を「医療費が補っている」事の認識は必要です。
 「誰もかれもが(適応でなくても)高額の医療を行う」事になれば、医療経済は破綻してしまいます。
   
「局所療法だけで治療が終わってしまうことが不安です。」
⇒それだけ「早期である」事に喜びを感じてください。
 
 

 

質問者様から 【質問8 抗がん剤使用の判断】

田澤先生、いつも丁寧で分かりやすいご説明をありがとうございます。
転院先での最終的な病理報告が以下の通りでした。
約6mm×5mmの範囲で浸潤が見られること、但し書きで、微小浸潤が癒合したようなもののため浸潤範囲の評価は病理医によって若干の幅があるとありました。
前回のご回答で、浸潤径5mm未満はそもそも再発率が低く抗がん剤の利益不利益のバランスが取れないと教えて頂きました。
このような微妙な浸潤径(1mmオーバー)の場合、抗がん剤治療をするかどうかは最終的には患者本人の意向が重視されるのでしょうか?
やるべき治療はしたほうがいいと思う反面、再発率にほとんど差がなく、また再発したとしてもそれなりの治療法があるのであれば、今の時点で辛い治療はしたくないとも思い始めました。
繰り返しの質問で申し訳ないと思いつつ、多くの患者さんを見てこられた田澤先生のご意見もお聞かせ頂ければ幸いです。
 

田澤先生から 【回答8】

 こんにちは。田澤です。
 「約6mm×5mmの範囲で浸潤が見られること、但し書きで、微小浸潤が癒合したようなもののため浸潤範囲の評価は病理医によって若干の幅がある」
 なかなか「迷わせるような内容」とはなっています。

回答

「微妙な浸潤径(1mmオーバー)の場合、抗がん剤治療をするかどうかは最終的には患者本人の意向が重視されるのでしょうか?」
⇒仮に6mmとなると「NCCNの規約上」は「効果と副作用を天瓶にかけて検討」とあるので、質問者のおっしゃるように(十分に副作用も理解したうえで)「患者本人の意向が重視」でいいとは思いますが…
 ただ、今回の「微小浸潤が癒合したようなもの」という表現は、実質「浸潤径は5mm未満」としていいと私は思いました。
 私の患者さんであれば、迷わずに「無治療」とします。
 
 

 

質問者様から 【質問9 浸潤径と抗がん剤治療の考え方】

田澤先生、いつもありがとうございます。情報が小出しになり一度に質問できず申し訳なく思いますが、丁寧にご回答頂けることに甘えてしまいます。
・「微小浸潤が癒合」のほかに「微小浸潤が散見される」ともありました。ひとつひとつの浸潤径が5mm未満であれば癒合したり、散見される場合も、お教え頂いたように基本的には抗がん剤治療は不要と思っていいのでしょうか?
素人考えでお恥ずかしいのですが、細かいものでも複数あれば合わせて5mm以上になるのではないかと考えてしまいます。
細かいデータを検討してくれているであろう主治医には、万が一のとき後悔しないように抗がん剤治療を選択することも提案されました。先生によって抗がん剤に対する考え方の違いはあるのでしょうが、患者としては本当に悩ましいです。
 

田澤先生から 【回答9】

 こんにちは。田澤です。
 「微小浸潤が癒合したようなもののため浸潤範囲の評価は病理医によって若干の幅」と記載されていた方ですね。

回答

「ひとつひとつの浸潤径が5mm未満であれば癒合したり、散見される場合も、お教え頂いたように基本的には抗がん剤治療は不要と思っていいのでしょうか?」
⇒その通りです。
 「微小浸潤が多発」しているケースなども 1mm x 10個 = 10mmとはしません。
○もし、質問者のように「細かいものでも複数あれば合わせて5mm以上になるのではないか」であれば、 「2cmの主腫瘍と1cmの娘腫瘍」の場合には腫瘍径=最大浸潤径=2+1=3cmとなってしまいます。
 そうではありません。複数の腫瘍があっても腫瘍径はあくまでも「その内、最大のもの」なのです。
 腫瘍径=最大浸潤径の考え方は「浸潤癌として最も大きな腫瘍」が予後を決めるということに基づいているのです。
 ★「最大浸潤径」という言葉そのものに回答はあるのです。