[管理番号:7470]
性別:女性
年齢:30歳
病名:葉状腫瘍
症状:
24歳の時に右胸1つ、左胸2つの腫瘍を摘出しました。
右胸の腫瘍が線維腺腫のつもりでとったら葉状腫瘍でした。
病理診断:Phyllodes tumor
borderline 病理所見:白色で境界明瞭な部分では硝子化した間質が増生していますが、全体的に境界の不明瞭な所見がみられ、組織では線維性間質が増生し、葉状構造をとっています。
上皮性の腺成分には異型はありませんが、増生がみられます。
間質の細胞密度はやや高く、細胞異型は中等度です。
上皮直下で核分裂像も認められます。
葉状腫瘍(境界悪性)の所見です。
病変がスキップを呈しており、断端部では腫瘍の残存が疑われる部分がみられます。
以上のことから、セカンドオピニオンとして紹介状をもらい、診断していただきましたが「そもそもとらなくてもよかったぐらいの腫瘍では?葉状腫瘍を温存したまま過ごしている患者さんはたくさんいますよ」とのことで、追加手術はしませんでした。
そのまま半年に一度の定期的なエコー検査を受け、6年経ち再発はありません。
当時の私自身がこの病気に関して全くの無知で、お医者様の言う通りにしておりました。
現在4ヶ月の子供がおり、自身の健康についてより深く考えるようになり、葉状腫瘍について調べたところ、最初の外科手術で十分なマージンをつけてとることが非常に重要だと知りました。
6年も経って今更なのですが、追加手術は必要でしょうか?
また、最近左胸に1.8cmのしこりが見つかり、細胞診の結果問題はないと言われたのですが、以前とった左胸腫瘍2つのうちの1つが良性から境界悪性の葉状腫瘍だったこともあり、葉状腫瘍の可能性もあるとのことでした。
可能性があるものは早めにとってしまいたいのですが、授乳中なので手術となると授乳をストップしなければいけないのでどうしようかと悩んでいます。
この大きさですと、局部麻酔での手術は可能でしょうか。
また、手術後どのくらいの時間が経てば授乳を再開できますか。
とりとめもない文章で申し訳ないのですが、様々なことを考えて不安な毎日を過ごしております。
娘の為に長生きしたいので、しっかり現状を
把握し今後の行動にいかしていきたいと考えております。
どうぞよろしくお願いします。
田澤先生からの回答
こんにちは。田澤です。
「この大きさですと、局部麻酔での手術は可能でしょうか。」
→本気で再発リスクを避ける目的なら…
全麻できっちり摘出すべきです。
「また、手術後どのくらいの時間が経てば授乳を再開できますか。」
→翌日でもOK
「6年も経って今更なのですが、追加手術は必要でしょうか?」
→境界悪性で再発するなら…
「2年以内」と思います。(確率的に)
その意味では「積極的に勧める」ことはありません。
質問者様から 【質問2 】
葉状腫瘍 授乳中の摘出について
性別:女性
年齢:30歳
病名:葉状腫瘍
症状:
先日はご回答いただきありがとうございました。
左胸しこりを手術でとりたい旨をお医者様に話したところ、「授乳中だと細菌感染リスクが高いし、治りも遅いからお勧めしない。
針生検も同じ理由でなるべくやりたくない。
細胞診で問題なしの判断なら半年後の検査で良い」とのことでした。
もし左胸しこりが葉状腫瘍で悪性だった場合、半年後まで放っておいて手遅れにならないでしょうか?針生検をした場合、診断内容はどの程度正確なのでしょうか?結局のところ腫瘍を全摘出しないと線維腺腫なのか葉状腫瘍なのかわからないと言われました。
また、境界悪性の葉状腫瘍の遠隔転移の確率はどれくらいありますか?
ご意見伺いたいです。
よろしくお願いいたします。
田澤先生から 【回答2】
こんにちは。田澤です。
「もし左胸しこりが葉状腫瘍で悪性だった場合、半年後まで放っておいて手遅れにならないでしょうか?」
→心配ならば3か月後にエコーしてもらえばいいのです。(それであれば手遅れになることはありません)
「針生検をした場合、診断内容はどの程度正確なのでしょうか?」
→「線維腺腫もしくは良性葉状腫瘍」なのか「境界悪性以上の葉状腫瘍が疑われる」のか、程度は解ります。(その程度のことが解らないようでは意味がありません)
「境界悪性の葉状腫瘍の遠隔転移の確率はどれくらいありますか?」
→ほぼゼロです。(私自身の症例で、境界悪性葉状腫瘍で遠隔転移したケースはありません。悪性葉状腫瘍では数例経験しています。)