[管理番号:7225]
性別:女性
年齢:34歳
病名:右乳癌
症状:右乳がん 術前化学療法中
質問者様の別の質問新たな管理番号としました。 質問者様の別の質問は下記をクリックしてください。 管理番号:7358「トリプルネガティヴ治療中」 |
田澤先生、初めまして。
どうぞよろしくお願い致します。
長文、乱文をお許しください。
?5年前に乳腺症と言われ、1年半前の乳がん検診では問題なしでした。
昨年の9月に第二子を出産し、完全母乳で育てていましたが、12月初旬よりピンポン大のしこりができ、乳腺炎かと思い、2週間ほど様子を見ていました。
その後受診し、詳しい検査をして、結果が出るまで1ヶ月ほどの間に急にまた大きくなり石のように固くなってしまいました。
一ヶ月後の結果は右乳がん。
サブタイプはトリプルネガティブ。
CT所見
6.5センチ程で、位置的には胸骨上にかかるように存在。
脇のリンパ節転移3~4個程。
内胸リンパは乳房の腫れもありはっきりとわからない様子。
胸骨は薄っすら白く写っているが、撮り方かもしれないとのことで、ステージ3a と言われました。
そしてこの告知の翌日から術前化学療法を開始しました。
これまでの経過が早く、1日でも早く治療を開始したいという思いから、セカンドオピニオンはせずに治療を開始しました。
主治医はステージ3は根治もできるといってくれたのでそれを信じて頑張っていますが、今後の治療で不安に思うこともあり、ぜひ先生の意見をお聞かせいただきたいと思いました。
治療としては
術前化学療法:エピルビシン、エンドキサン×4
タキサン系×4
手術
術後化学療法(カペシタビン内服)と必要に応じ放射線治療となります。
現在の治療経過は、
エピルビシン、エンドキサン2回目を終え、エコーでは4センチまで小さくなっていました。
3回目は熱発の為、1週間延期しています。
この治療を全て行えたとしたら、根治の可能性はどのくらいありますか?
また再発、転移率はどのくらいあるでしょうか?
トリプルネガティブで私のような状態で完治している方はいるのでしょうか?
そして先生でしたら、治療方針どうお考えになりますか?
今のところ小さくなってきてはいますが、経過が早いため、抗がん剤中も他に転移してないかと不安になります。
抗がん剤治療中に進行した方の話や薬を変えたらまたしこりが大きくなってしまったという方の話を聞いてしまい、とても不安です。
その場合、今後の治療はどのようにしたら良いでしょうか?
もし胸骨の白っぽいもの(たまたま白く映り込むなんてことはあるのでしょうか?)が転移だったとしたら、今後どのような治療が必要でしょうか?
子供が小さく、できれば小学校に入るまでは見守りたいです。
治療すればどのくらいの期間延命できるでしょうか?
質問ばかりですみません。
先生のご意見をいただきたいです。
よろしくお願いします。
田澤先生からの回答
こんにちは。田澤です。
適応外診療は決してしてはいけません。
「術後化学療法(カペシタビン内服)」
→適応外診療!
絶対にやってはいけません。 『今週のコラム 136回目 決して適応外診療を勧めることはありません。今回のガイドラインの記載には正直、迷惑であり驚いています』を熟読願います。
「この治療を全て行えたとしたら、根治の可能性はどのくらいありますか?」
→80%位でしょう。
「また再発、転移率はどのくらいあるでしょうか?」
→上記設問の「逆」ですね。
100-80=20%となります。
「トリプルネガティブで私のような状態で完治している方はいるのでしょうか?」
→???
本気で「完治した人がいない」と思っているのですか???
冷静になりましょう。
「無再発生存は80%くらいにはなるでしょう」
「そして先生でしたら、治療方針どうお考えになりますか?」
→ 抗がん剤の選択としては「アンスラサイクリン+タキサン」に異論はありませんが、適応外診療(術後の補助療法としてのカペシタビン)をすることは絶対にありません。
「抗がん剤治療中に進行した方の話や薬を変えたらまたしこりが大きくなってしまった」
「その場合、今後の治療はどのようにしたら良いでしょうか?」
→勿論手術です!
術前抗がん剤は「もしも、抗がん剤が効かなかったら、手術不能となる前に手術へ迅速に移行」が大原則なのです。
「もし胸骨の白っぽいもの(たまたま白く映り込むなんてことはあるのでしょうか?)が転移だったとしたら、今後どのような治療が必要でしょうか?」
→放射線です。
「治療すればどのくらいの期間延命できるでしょうか?」
→骨転移はなさそうですが・
(万が一)骨転移であっても「長期コントロール(10年以上)」も十分あり得ます。
質問者様から 【質問2 トリプルネガティブ治療中?】
性別:女性
年齢:34歳
病名:右乳がん
症状:術前化学療法中
以前も質問させていただいた者です。
先日は丁寧に返答していただきありがとうございました。
再度質問ですが、術前化学療法をした場合、術後化学療法はなにを使用するのが適切と考えられますか?
また術前化学療法でガン細胞が完全奏功した場合、予後が改善するとあったのですが、奏功しなかった場合でも、トリプルネガティブのステージ3 aの無再発生存は80%くらいあるのでしょうか?
5年後、10年後の無再発生存はかわりませんか?
どうしてもトリプルネガティブの予後不良という記事や再発転移後の予後の悪さが気になってしまいます。
田澤先生から 【回答2】
こんにちは。田澤です。
〇抗がん剤治療は「術前術後、どちらかにアンスラサイクリン+タキサン」となります。
つまり
1.術前にアンスラサイクリン+タキサンをやれば→術後は無し。
2.術前にアンスラサイクリンだけをやれば→術後にタキサン
3.術前抗がん剤しなければ→術後にアンスラサイクリン+タキサン
「術前化学療法をした場合、術後化学療法はなにを使用するのが適切と考えられますか?」
→上記通り。
もしも術前に「アンスラサイクリンとタキサン」療法やれば(上記1に相当)、当然術後には抗がん剤はしません。
「また術前化学療法でガン細胞が完全奏功した場合、予後が改善するとあったのですが、奏功しなかった場合でも、トリプルネガティブのステージ3 aの無再発生存は80%くらいあるのでしょうか?」
→全てをトータル(完全奏効した者も、しない者も含めて)その数字となります。
「5年後、10年後の無再発生存はかわりませんか?」
→上記通り。
質問者様から 【質問3 全摘か温存で悩み中】
性別:女性
年齢:34歳
病名:乳がん
症状:治療中
先日は炎症性乳癌について教えていただきありがとうございました。
おかげで前向きに治療に取り組むことができました。
そして再度質問させてください。
現在、術前抗がん剤のEC4回、パクリタキセル 4回が終了しました。
MRIの結果、2センチのしこりは残存しているが、中は空洞化している可能性があるとのことでした。
2週間後に手術を控えており、全摘か温存か悩んでいます。
当初から再発リスクを考え、少しでもリスクがあるなら全摘するつもりでした。
しかし主治医からは放射線をすれば全摘の場合と変わらない効果があるとのことで、温存でいいのではないかと言われています。
年齢や今後のQOLも考えてのことと思いますが、かなり奏功してくれたとはいえ、元の腫瘍径のことも考えると温存することは高リスクなのではと考えています。
温存の場合、全摘よりも再発リスクは高くないのでしょうか?
私のように治療前、8センチほどの腫瘍がありトリプルネガティブの場合、全摘と温存どちらが良いのでしょうか?
田澤先生から 【回答3】
こんにちは。田澤です。
「温存の場合、全摘よりも再発リスクは高くないのでしょうか?」
→再発は厳密に「局所再発」と「全身(遠隔転移)再発」とに分けましょう。
「局所再発」は(当然ながら)温存すれば(術後照射しても)ゼロとはなりませんが、全摘すれば(それは)ゼロとなります。
それに対し「全身(遠隔転移)再発」は、どちら(温存でも全摘でも)も変わりません。
「私のように治療前、8センチほどの腫瘍がありトリプルネガティブの場合、全摘と温存どちらが良いのでしょうか?」
→「トリプルネガティブ」に拘っているようですが…
それは、術式とは無関係
『今週のコラム 172回目 このように(元あった範囲に)点在して残存するのです』をご参照のこと。(主治医が「温存も選択肢」としているのだから、きっと「点在」ではないのでしょう)
質問者様から 【質問4 】
トリプルネガティブ術後
性別:女性
年齢:34歳
病名:
症状:治療後
何度目かの質問になります。
よろしくお願いいたします。
術前抗がん剤(アンスラサイクリン、パクリタキセル)、温存手術、センチネルリンパ郭清を実施。
今後、放射線の予定。
結果
浸潤性乳管癌 充実型、ki67 18,6%
核グレード3 組織学的グレード3
トリプルネガティブ
術前抗がん剤後、浸潤径13×11×15ミリ
術前抗がん剤の治療効果判定グレード1b
ステージ3a→1
ステージに関しては3aですが、鎖骨下や胸骨傍にも怪しい腫れがあったとのことで3cではないかと思っています。
元々6~8cmあった腫瘍は1,5cmになったのですが、術前抗がん剤の治療効果判定はグレード1bでした。
数値にこだわっても仕方がないとは思いますが、かなり縮小したと思っていたので、
思いのほか低く、落ち込んでいました。
また術後3週間ではありますが、術側の頚部?
鎖骨上に1cm程度の脹らみと右頚部に突っ張るような違和感があります。
また術部のすぐ上部で、胸骨の辺りに固めのしこりと重い痛みがあります。
すでに転移してしまっているのではととても不安です。
この結果を受けて、質問があります。
グレードが高い割にはki67は低く、術前抗がん剤により変化したのでしょうか?
ki67が低いということは、もしまだ鎖骨下や胸骨傍に癌が残存していた場合、抗がん剤の効果は得られにくいのでしょうか?
もし胸骨傍、頚部のリンパ節への転移があった際の治療は、再発転移乳ガンに対する抗がん剤と放射線になるのでしょうか?それとも放射線のみになるのでしょうか?
完全奏功できませんでしたが、トリネガのステージ3cでこの病理結果から無再発生存率はどの程度でしょうか?
よろしくお願いいたします。
田澤先生から 【回答4】
こんにちは。田澤です。
「すでに転移してしまっているのではととても不安」
→考えすぎ。
「グレードが高い割にはki67は低く、術前抗がん剤により変化したのでしょうか?」
→ありえます。
「ki67が低いということは、もしまだ鎖骨下や胸骨傍に癌が残存していた場合、抗がん剤の効果は得られにくいのでしょうか?」
→もしも残存があれば…
抗がん剤で生き残ったということになるので、「その可能性」はあります。(あくまでも可能性です)
「もし胸骨傍、頚部のリンパ節への転移があった際の治療は、再発転移乳ガンに対する抗がん剤と放射線になるのでしょうか?それとも放射線のみになるのでしょうか?」
→スタンダードというものはありません。
主治医が「放射線だけ」とする可能性もあれば(逆に)「抗がん剤だけ(しかも、カペシタビンやTS-1など)」とする可能性もあります。
「完全奏功できませんでしたが、トリネガのステージ3cでこの病理結果から無再発生存率はどの程度でしょうか?」
→術前抗がん剤の効果がどうあれ・
ステージからは70~80%だと思います。