[管理番号:6288]
性別:女性
年齢:36歳
3月中旬に乳がんと診断されてから田澤先生のQ &Aを拝見し、勉強させていただいています。
よろしくお願いいたします。
3月上旬に、胸に違和感あり、近隣のクリニックで右胸の超音波とマンモ、しこりが疑わしいということで、針生検 ER 1%未満、PgR1-9%、
HER2 0、MIB-1 index30%、増殖は高いと言われました。
その後、紹介先の病院でCT、乳房MRI〔造影あり 〕、血液検査、エコーで、結果 しこりBの位置3.1センチ〔CT〕、リンパ節転移、遠隔転移見られず、2Aかと思ったら、一部大胸筋浸潤の疑いあり、胸骨ぼうリンパ節腫大で、転移を否定できずということでグレード3Aと説明されました。
かなりショックでした。
治療方針としては術前にddecの後、パクリタキセルをして手術、抗がん剤は四ヶ月くらいしてからの手術と伺いました。
放射線を半年から一年、経口の抗がん剤も視野に入れる治療。
手術先行の場合は○○日に手術できるとのこと。
ただ、明日の午前中の診察で決めなくてはいけません。
それを逃すと5月○日。
ここで田澤先生の回答を拝見する中で、トリプルネガティヴに抗がん剤が効かなかった場合、大きくなって手術ができなくなることが怖く、一刻も早く手術をしたいと思っているのですが、担当の先生は抗がん剤を初めにやるほうを薦めるとおっしゃっています。
私としては、温存は望んでいないので、全て取ってしまいたいのですが、胸骨ぼうのリンパと大胸筋にくっついているので、手術で取り切るのが難しいということなのでしょうか。
それとも小さくすることで確実に取り切るための術前抗がん剤ということなのでしょうか。
担当の先生は術前術後の抗がん剤で再発、転移の確率は変わらないことは説明していただきました。
その上で先にやることで抗がん剤の適用がわかること
なども説明いただきました。
筋肉を取るのは、術後の後遺症が出るからなのでしょうか。
気のせいか、右手がしびれる感じがし、右の肩甲骨も筋肉痛のように痛ます。
もしかして転移したのではないかと、不安に陥っています。
しかし明日までに決めないとというプレッシャーもあり気持ちが落ち着きません。
手術の決断が明日に迫っており、不安な中、情報が少ないかもしれませんが、先生のご意見をいただければと思います。
拙い文章で申し訳ありませんが、よろしくお願いいたします。
毎日大変お忙しい中、このような場所を設けてくださり感謝しています。
田澤先生からの回答
こんにちは。田澤です。
「針生検 ER 1%未満、PgR1-9%、HER2 0、MIB-1 index30%、増殖は高いと言われました。」
⇒増殖能が高い??
「MIB-1(KI67)=30%」は「高く」は無いでしょう。
「胸骨ぼうリンパ節腫大で、転移を否定できずということでグレード3Aと説明」
⇒「グレード」ではなく「ステージ」ですね?
ただ「胸骨傍リンパ節parasternal lymph nodes(PS)」は、(そもそも)評価が難しいので「否定できず」となっていますが実際は「??」です。
また内側領域は乳腺がそもそも薄い部位なので画像上「胸筋浸潤か?」となっても実際には「くっついているだけ」という可能性もありあそうです。
「経口の抗がん剤も視野に入れる治療」
⇒カペシタビン(ゼローダ)のことでしょうが…
(臨床試験の結果が出たからと言って)「現時点では、はっきり適応外診療」です。
決して行ってはいけません。(添付文章には「手術不能または再発乳癌」と明記されています)。
「胸骨ぼうのリンパと大胸筋にくっついているので、手術で取り切るのが難しいということなのでしょうか。」
⇒違います。
PSは(そもそも)手術では無く「放射線照射の対象」となるし、大胸筋は(万が一くっついていても)一緒に切除すればいいだけの話です。(何の問題にもなりません)
「先にやることで抗がん剤の適用がわかること」
⇒間違い
術前術後に行う抗癌剤は「アンスラサイクリンとタキサン」しかない(カペシタビンは適応外)のです。
「筋肉を取るのは、術後の後遺症が出るからなのでしょうか。」
⇒無関係です。
「気のせいか、右手がしびれる感じがし、右の肩甲骨も筋肉痛のように痛みます。」
「もしかして転移したのではないかと、不安」
⇒ストレスによる女性ホルモンによる刺激症状です。
是非今週のコラム 111回目 大事なことは、これら①~④の病気など世の中には無いのです。それは(我々医師には)自明なことなのです。をご覧ください。
質問者の症状が「ピタリ」と当て嵌まる事がお解りになることでしょう。