[管理番号:6225]
性別:女性
年齢:44歳
田澤先生
こんばんは。
初めまして
乳がんプラザでいろいろな勉強をこれまでさせていただいてきました。
ありがとうございます。
乳がんが局所再発してしまい、手術方法を部分切除とするか、全摘同時再建するかで迷っています。
5年前に右乳がんの手術を受け、タモキシフェンを服用中。
2018年2月にエコーで局所再発の腫瘍8×6×7㎜うつりました。
今月、PET-ct を受けましたが、局所再発の所見で転移は見つかりませんでした。
現在、乳房部分切除手術+センチネルリンパ節生検を5月に予定しています。
腫瘍が小さいので、部分切除可能と言われました。
乳輪から1.5cmくらいの位置にあります。
局所再発(単なる取り残し)であれば、万一、もう一度再発してもまた切除すればよいと考えてもよいのでしょうか。
(局所再発は繰り返してもリスクには至らないのでしょうか。)
可能であれば温存したい気持ちもありますが、
先生のコラムを拝見していると全摘出すべきなのかと思いました。
江戸川病院では、局所再発の全摘同時再建は可能でしょうか。
放射線治療を5年前にしていても同時再建は可能なのでしょうか。
そもそも、局所再発時の同時再建は避けたほうがよいのでしょうか。
これまでの治療の経緯は以下の通りです。
授乳期(39才)に会社健診のエコーで腫瘍が見つかり、乳がんと診断
2012年12月に右乳房部分切除 (リンパは無治療) 初回治療時39才
浸潤癌直径4cm×4cm×1.8cm 非浸潤癌8cm×4cm×2cm 断端陽性
核Grade 1 , Stage2 ,
ER(+), PgR(+), Her-2(-),
Ki-67(Low)
血管侵襲 0 リンパ管侵襲 +1
2013年1月(上旬)日 追加切除
再度断端陽性
2013年1月(下旬)日 追加切除
再度断端陽性
2013年2月~放射線治療 右乳房と腋窩リンパ節に照射(術前CTで5㎜
程度の腫大が移っていたため)
2016年頃よりncc-st-439のみ腫瘍マーカー上昇
2017年10月 全身 ct 異常なし
2018年2月 エコーで再発所見
ncc-st-439の腫瘍マーカー 54
2018年3月 PET-ct 右乳房のみ再発所見
現在 細胞診 結果待ちの状況ですが、前回の手術した付近に腫瘍があるので、局所再発でしょうとのこと。
田澤先生からの回答
こんにちは。田澤です。
「局所再発(単なる取り残し)であれば、万一、もう一度再発してもまた切除すればよいと考えてもよいのでしょうか。」
⇒無論、また再発(再再発)したら、そうすべきですが…
★乳房内再発は「残存乳腺全摘が大原則」なのです。
そもそも「温存手術(部分切除)は術後照射が大前提」ということを忘れてはいけません。
その意味では「初回温存」⇒「術後照射」⇒(温存乳房内再発となれば)「今度は(術後照射ができないので)残存乳腺全摘」となるのです。
♯照射後の再温存は「術後照射ができない」ので推奨されないのです。
「先生のコラムを拝見していると全摘出すべきなのかと思いました。」
⇒その通りです。
「術後照射後の再温存」は原則として推奨されないのです。(もう一度照射はできないため)
「江戸川病院では、局所再発の全摘同時再建は可能でしょうか。」
「放射線治療を5年前にしていても同時再建は可能なのでしょうか。」
「そもそも、局所再発時の同時再建は避けたほうがよいのでしょうか。」
⇒その通りです。
技術的には問題ありませんが、局所再発の同時再建は通常行うべきではありません。
「ncc-st-439の腫瘍マーカー 54」
⇒たまたまマーカーが上がったようですが…
ちなみに「局所再発とは無関係」です。(たまたまです。そもそもNCC-ST-439は当てになりません)
質問者様から 【質問2 再質問:局所再発の手術について】
性別:女性
年齢:45歳
田澤先生
お忙しい中、ご回答くださり本当にありがとうございました。
頭が手術のことで一杯で、仕事以外の時間は乳がんプラザを読みまくっています。
過日、ご回答いただいた内容も含め、いくつか教えてください。
>技術的には問題ありませんが、局所再発の同時再建は通常行うべきではありません。
技術的には可能であっても、局所再発の同時再建がすすめられない理由を教えてください。
再建自体がすすめられないのでしょうか?術後経過を見てからなら再建できるのでしょうか?
> ★乳房内再発は「残存乳腺全摘が大原則」なのです。
別のQ&Aを拝見していたら、
乳房温存術 < 乳輪乳頭温存乳房切除術 < 皮下乳腺切除術 <乳房切除術
とありましたが、私が受けるべき「残存乳腺全摘」というのはどのレベルでしょうか。
全摘手術を受けた場合の術後の全身治療については、タモキシフェンの継続でよいのでしょうか。
リュープリンなど、それ以外のホルモン治療を受けたことがないのですが。。。。
「局所再発」が「転移再発」の前兆であるケースは何%程度あるのでしょうか。
局所再発を繰り返すうちに、がんの悪性度が高くなったり、
全身に転移が始まるということはあるのでしょうか。
私が、今回の手術後に、転移再発してしまう確率はどの程度あるのでしょうか。
田澤先生から 【回答2】
こんにちは。田澤です。
「技術的には可能であっても、局所再発の同時再建がすすめられない理由」
⇒術後、最低半年くらいは「更なる局所再発がないか?」見るべきではないのか?
(と、形成外科側から言われたことがあります)
「再建自体がすすめられないのでしょうか?術後経過を見てからなら再建できるのでしょうか?」
⇒半年くらいです。
「私が受けるべき「残存乳腺全摘」というのはどのレベルでしょうか。」
⇒普通に「乳房全摘」です。(何に優先度を置くのか?ということです)
「全摘手術を受けた場合の術後の全身治療については、タモキシフェンの継続でよいのでしょうか。」
⇒その通り、全身療法を変更する「根拠」がありません。
「「局所再発」が「転移再発」の前兆であるケースは何%程度あるのでしょうか。」
⇒そんな%など存在しません。常識的に考えるべきです。
「局所再発を繰り返すうちに、がんの悪性度が高くなったり、全身に転移が始まるということはあるのでしょうか。」
⇒ありません。考え過ぎです。
そもそも「局所再発を繰り返す」というのは誤りであり、決着をつけるべきなのです。(だから「乳房全摘」なのです。
「私が、今回の手術後に、転移再発してしまう確率はどの程度あるのでしょうか。」
⇒局所再発とは全く無関係です。
質問者様から 【質問3 局所再発の手術について】
性別:女性
年齢:45歳
田澤先生
お忙しい中、ご回答くださりありがとうございました。
先生のコメントに後押しいただき、「全摘で決着」を申し出る心積もりで、細胞診の結果を主治医の先生に聞きにいきました。
それなのに、「検体不適性」で確定診断ができなかったと言われました。
これまでの検査結果(PET-CT、エコー)、腫瘍の位置からして再発の可能性がかなり強いと言われました。
さすがに、少しでも良性の可能性が残されているのに、
全摘出をするというのには抵抗がありまして、主治医の先生と相談をして
5月上旬に
——————————-
・外科生検(部分切除で腫瘍を摘出)、初回センチネルをしていないのでセンチネルリンパ生検
——————————–
の手術することになりました。
(初発では、リンパは一切触っていないです)これで、両方の病理結果をみて今後の治療を検討するそうです。
でも、センチネル生検をしてもその病院では術中迅速診断はできないそうです。
もう、既に傷がある胸なので、手術を受けることに抵抗はないのですが、この進め方でよいのか不安になってきました。
PET-CT、エコーで局所再発の所見で、実際には癌でないということもあるのでしょうか。
触診では、しこりは感じられるが、凹凸が感じにくいと先生はおっしゃっていました。
田澤先生の患者さんが私と同じ状況ならば、どのようなステップで今後の検査や治療をすすめられますでしょうか。
タモキシフェンは私のケースの場合あと何年飲むものなのでしょうか?
会社の健康診断で、婦人科の診察を受けたところ、
「卵巣と子宮内膜が腫れてきている。ホルモン治療のお薬を飲むとこうなってくるのです。」
自覚症状は全くないのですが、心配になってきてしまいました。
自覚症状がない限り飲み続けたほうがよいのでしょうか。
田澤先生から 【回答3】
こんにちは。田澤です。
明らかにおかしい。
「検体不適性」というのは、その医師の問題だから仕方がないにしても…
局所再発を疑うので(細胞診が上手くいかないから)「外科的生検」というのはいいとして、「センチネルリンパ節生検」を行う必要はないでしょう。
★「全摘は行わないが、センチネルリンパ節生検は行いたい」というのは、(私には)極めてバランスを欠いた診療と思います。
「・外科生検(部分切除で腫瘍を摘出)、初回センチネルをしていないのでセンチネルリンパ生検」
⇒局所再発を疑っている場面で行う診療として極めてバランスを欠いている。
「PET-CT、エコーで局所再発の所見で、実際には癌でないということもあるのでしょうか。」
⇒私は画像を見ていませんが…
その医師のコメントからは、「局所再発の可能性が極めて高い」と言わざるをえません。
「田澤先生の患者さんが私と同じ状況ならば、どのようなステップで今後の検査や治療をすすめられますでしょうか。」
⇒私が細胞診を外す事はないでしょうが…
「大きさが重要」なポイントとなります。
1.局麻で摘出できるような大きさの場合
⇒(敢えて細胞診などせずに)摘出を考えます。
「局所麻酔でマージンをつけて切除(外科的生検というよりは根治を狙う)」
2.局麻で摘出できない大きさの場合
⇒これは「全摘を考えなくてはいけない」ので、「針生検で確定」⇒「全身麻酔で全摘」
「タモキシフェンは私のケースの場合あと何年飲むものなのでしょうか?」
⇒局所再発とは無関係
術後5年です。
「自覚症状がない限り飲み続けたほうがよいのでしょうか。」
⇒子宮体癌の検診は、継続しなくてはなりません。(それでOKならば きちんと5年間内服です)
質問者様から 【質問4 局所再発の手術について】
性別:女性
年齢:45歳
田澤先生
こんにちは。
拙い質問にもご丁寧に回答してくださいましてありがとうございました。
外科生検の結果が出まして、また頭を悩ませております。
浸潤癌直径0.4cm××0.4cm×2cm 非浸潤癌0.8cm×0.4cm×2cm 断端陽性
核Grade 1 ,
ER(+), PgR(+), Her-2(-)※非浸潤ガン部分はHer2スコア
3+,浸潤癌部分はHer2(-)
Ki-67(4%)
血管侵襲 0 リンパ管侵襲 +1
5年前に摘出した腫瘍とタイプが類似していたそうです。
乳頭下の乳腺に癌が残っていることが多いので、
そこは念入りにとられたようですが、断端陰性で、
断端陽性は皮膚側の部分とのことでした。
① このまま様子を見る
② 断端陽性だった皮膚の切除
③ 全摘
が選択肢として考えられるとのことでした。
主治医先生は、腫瘍を摘出できているので、
もう一度再発したら、全摘になるが、今③をするのはもったいないとのこと。
様子を見てはどうかとのご提案でした。
でも、皮膚に癌が残っている可能性が少しでもあるなら、
②がよいのかと私は思ってしまいました。
どの選択肢がよいでしょうか。
主治医の先生は、腫瘍マーカーが上昇し続けたのちの局所再発なので、タモキシフェンがきかなくなっているのでしょう。
全身の治療を強化したほうがよいとのことで、リュープリンを打ちました。
いずれ遠隔転移が見つかる可能性もあるので、今の段階で全摘はなおのことすすめたくないとのことでした。
薬を変えて、局所は様子見でも大丈夫なのでしょうか。
田澤先生から 【回答4】
こんにちは。田澤です。
局所治療と全身治療は全く別に考えるべきです。
局所の借り(断端陽性)を全身療法(ホルモン療法の変更)で返すというのは(大変申し訳ありませんが)私が最も嫌う考え方です。
「薬を変えて、局所は様子見でも大丈夫なのでしょうか。」
⇒私は全く賛成しません。(上記とおり)
質問者様から 【質問5 再質問6225 局所再発の手術について】
性別:女性
年齢:45歳
病名:
症状:
局所再発の手術を終え、
今月初めての超音波検査を受けました。
左腋窩、右頸部に腫れているリンパがあったようです。
腫瘍マーカーは正常でした。
大きさなど詳しい説明もなく、「大丈夫そうですね。しばらく様子を見ましょう。」と
主治医は特に気にしなくてもよいと言っていますが、
不安でなりません。
実は、
4月の会社の健康診断でマンモと超音波を受け、
右の局所再発の指摘以外にも
・左腋窩リンパ腫大
・左右乳房石灰化
の指摘あり、
3月のPET右副神経リンパに集積あるが、癌の病変ではないようだがフォローしてください
との指摘があり、
5月の術前に、「右乳房以外も詳しく調べて欲しい。本当に大丈夫なのか?」と主治医に訴えているのですが、いつも様子を見ましょうと言われて本日に至ります。
この病院では、CTと超音波、腫瘍マーカー以外は検査を受けたことがありません。
とても不安なので、11月に予定されていたCT検査と診察を10月上旬にしていただくようにお願いをしました。
私は遠隔転移をしている可能性が高いのでしょうか?
または、左乳房原発の可能性があるのでしょうか。
右の局所再発の細胞検査も検体不適性で外科生検になりました。
超音波検査を主治医の先生がしてくださったのは、このとき限りで、超音波検査は毎回検査技師の方です。
きちんとした検査や診断をしてもらえているのかが不安です。
田澤先生に診察をお願いしたく市川のクリニックに予約の相談をしたのですが、最短で12月と言われてしまいました。
今の病院でこのまま検査をするしかないのでしょうか?もしくは検査を
受けるべきなのでしょうか?もしも、左リンパや乳房に癌があり、手術適応なら、ぜひ田澤先生にお願いしたいのです。
このQ&Aで、「いくつかのターニングポイントがありました」と先生がコメントなさっているのを読むにつけ、私が今まさにターニングポイントでは?
と、毎日悶々としています。
田澤先生から 【回答5】
こんにちは。田澤です。
「・左腋窩リンパ腫大」
「・左右乳房石灰化」
「3月のPET右副神経リンパに集積あるが、癌の病変ではないよう」
→物事はシンプルに考えましょう。
「何でもかんでも不安」では、よくありません。
まず「乳房の石灰化」は無視してもいいでしょう。(石灰化の99.99%は「乳がんとは無関係」な原因で起きるのです)
また「副神経リンパ節の集積」も「どうでもいい所見」です。(そんな部位のリンパ節転移は「私が」見たことがありません)
★唯一「左腋窩リンパ節腫大」だけは、実際に見てみないと解りませんが…
まず「乳癌が対側腋窩に転移することは極めて稀」であり、かつ(その主治医が)
「大丈夫そうですね。」と言っているのだから、「12月の市川(3か月フォロー)」で大丈夫だと思います。(そのくらいは主治医を信じましょう)
質問者様から 【質問6 再質問:局所再発の手術について】
性別:女性
年齢:45歳
病名:乳がん
症状:腋窩リンパ節の腫れ
田澤先生
こんにちは。
前回、ご相談させていただいた内容からすこし状況が変わりましたため、ご連絡させていただきました。
予約させていただいた12月29日の市川での田澤先生の診察を待ちわびながら、先日、今お世話になっている病院でCTを受けました。
「CTの結果は、遠隔転移は見当たらないが、9月の超音波で手術した右側の腋窩リンパ節が1cm程度に腫れていますので、経過観察しましょう。」と言われました。
お忙しかったようで、触診すらしてもらえませんでした。
9月の技師さんによる超音波直後の診察では、画像を見ながら、左の腋窩が腫れていると言われたので本当に右であるか確認したところ、「左腋窩は型的にみて、心配なさそう。
怪しのは右かな…。
遠隔転移はないので、あまり悩まないで」とのことでした。
11月中旬に診察する時にまた超音波検査(技師さんによる)するそうです。
右腋窩がリンパ節転移なら、郭清するそうです。
怪しいと言われつつ触診も生検もしないままの経過観察が、怖くてなりません。
こんなにのんびりとしていて大丈夫なのでしょうか?
私が心配しすぎなのでしょうか。
癌であった場合、5月の右乳房の手術の時も、あったということでしょうか。
田澤先生から 【回答6】
こんにちは。田澤です。
CTとか技師の超音波(特に「腋窩リンパ節」はあてになりません)だけで判断す
る、その担当医の診断に私は興味がありません。
『今週のコラム 151回目 (自分で)「どれだけの数、エコーしてきたのか?」それが重要なのです。』の中の「2.実際の例①」をご参照ください。
「怪しいと言われつつ触診も生検もしないままの経過観察が、怖くてなりません。」
⇒実際の所見はどうなのか不明ですが…
解決は、私が「腋窩細胞診」することです。(自分でエコーもしないその主治医がたとえ腋窩細胞診しても、その結果を「私が」信用することは絶対にありません)
もしもご希望ならトップページの「確定診断(生検)メール」で申し込んでください。
質問者様から 【結果7 局所再発の手術について】
性別:女性
年齢:45歳
病名:なし
田澤先生の診察:[診察あり]
田澤先生の手術:[手術なし]
11月に局所再発の診断をしていただくべく、市川で診ていただき、超音波の段階で「異常なし」と先生におっしゃっていただき、本当に安心することができました。
白黒つかない状態が長いこと、検査を希望しても、主治医の先生に度々、経過観察と言われたことは、精神的に辛かったため、確定診断フォームでご相談してから、早い日程をご提示いただけたことも本当にありがたかったです。
田澤先生と乳がんプラザに、感謝の気持ちで一杯です。
<Q&A結果>