[管理番号:4973]
性別:女性
年齢:43歳
田澤先生
初めて質問させて頂きます。
お忙しいところ申し訳ありませんが、宜しくお願いいたします。
<経緯>
今年、2月下旬に右胸上部から腋にかけて引きつり感を感じ、市内のクリニックを受診
(8年ぶり)。
触診とエコーを受け、右胸6時方向に5~6mmの腫瘤と近くに2mm程度の腫瘤、
左胸に4mmの線維腺腫が見つかりました。
右胸の腫瘤の形が境界不鮮明でいびつな形をしていること、腫瘤内部の硬さが周辺部より
硬めなこと、腫瘤内部に血流を認めることなどから、総合病院の乳腺外科を紹介してもらいました。
3月初めに総合病院を受診し、触診とエコー、細胞診(腫瘤の最大径は7mm)を実施しました。
(2mm程度の腫瘤については検査していません)
・マンモグラフィー撮影の結果
マンモグラフィー:乳腺が発達していてはっきりしない部分もあるが、左右対称で
特に異常なし。
右胸の腫瘤も写っていない。
・細胞診報告書:クラス2(検体適正)
所見:血液成分や泡沫細胞を背景に上皮細胞が大小様々な乳頭状集塊で多数出現しています。
細胞は異型に乏しく、筋上皮細胞との二相性は保持されています。
乳管内乳頭腫を考えますが、非常に増生の強い細胞像を呈しています。
慎重なfollow upまたは組織学的検索を希望します。
この結果を受け、3か月の経過観察か針生検をと言われ、(バネ式)針生検を希望し実施しました。
検体は5つ採れたとのことで、腫瘤もつぶれたようになったそうです。
・針生検の結果(3月末)
病理組織診断報告書:右胸6時方向の腫瘤より、生検5片
所見:組織学的に、領域性を有して、腺上皮が繊維血管軸を有して乳頭状に増生しています。
筋上皮細胞との二相性は保たれています。
上皮細胞には異型は乏しいです。
周囲の乳腺組織には、乳管の嚢胞状拡張やアポクリン化生が見られます。
免疫染色にて、CD10とp63にて乳頭状に増生する箇所にも筋上皮細胞との二相性が確認されました。
また、上皮細胞はcytokeratin 5/6にモザイク状に陽性です。
乳管内乳頭腫です。
悪性所見は見られません。
病理組織診断:Intraductal papilloma, right breast, needle biopsy.
結果、乳管内乳頭腫であるので切除の必要はない、今後は左胸の線維腺腫も併せて経過観察とし、10月上旬に触診とエコーにより診察ということになりました。
血性分泌があった場合やしこりを発見した場合は、予約を待たずに受診とのことでした。
昨年夏~秋に3か月間位、単孔かは不明の薄黄色の分泌物がほぼ毎日あり、乳頭がかぶれたように痒かったことも報告しましたが、これは異常ないとのことでした。
担当の医師は女性の若い外科医師で、エコーや細胞診・針生検も自ら行い、きちんと採取できたとのことですが、正直なところ、若干不安です。
その病院の医師は大学からの派遣の関係で6か月しかその病院にいないので、継続して診て頂くことができません。
いくつかわからないこともあり、この場で田澤先生にお聞きできればと思っております。
質問1:細胞診の報告書で「乳管内乳頭腫を考えますが、非常に増生の強い細胞像を呈しています。」と記載がありました。
乳管内乳頭腫は一般的に増生が強いとのことのようですが、その中でも特に増生が強いタイプなどがあるのか、また、そのような場合はさらに周囲にがんが発生しやすいなどの違いがあるのでしょうか。
質問2:次回の診察は10月ですが、違う医師が担当になることに不安を感じています。
今回の針生検の結果では乳管内乳頭腫と確定診断が出ましたが、マンモトーム生検ではなかったですし、同じ病院であれば今後もマンモトーム生検は期待できないと思います。
一度田澤先生に診察して頂き、マンモトーム生検を行って頂くことは可能でしょうか。
3月下旬に針生検を行って3か月たちますが、針生検の後にできたしこり(血腫?)が小さくなりません。
少しずつ小さくなっていくのでしょうか。
5本採ってつぶれたようになったとのことなので仕方ないのかとは思いますが、マンモトーム生検には差し支えありませんか。
時期は急ぐことはないと思っていますので、診て頂けるとしたら10月位でいいでしょうか。
その頃には小さくなっているかなと期待しています。
質問3:左胸の線維腺腫ですが、(しばらく検診を受けておらず)以前からあったものか判別がつかないので半年の経過観察という解釈でいいでしょうか。
半年で大きくなっていなければ、今後は年1回の定期検診でいいということになるのでしょうか。
また、右胸で乳管内乳頭腫と確定診断が出た場合は継続的に半年に一度のエコーと年に一度のマンモグラフィーになるのでしょうか。
(外科的摘出も考えております)
このQ&Aを読んでいると、最初から信頼がおける先生の下でマンモトーム生検を行っておけば、もっと安心して結果を受け入れられたのかもと思っています。
長くなってしまい申し訳ありませんが、よろしくお願いいたします。
田澤先生からの回答
こんにちは。田澤です。
「質問1:細胞診の報告書で「乳管内乳頭腫を考えますが、非常に増生の強い細胞像を呈し」「乳管内乳頭腫は一般的に増生が強いとのことのようですが、その中でも特に増生が強いタイプなどがあるのか」
⇒考え過ぎです。
私が(病理医の)コメントを見る限り、(細胞異型は乏しいが)「(低異型度の)癌も否定できませんよ」という「組織診を推奨したい」というメッセージに過ぎないと解釈します。
「質問2:次回の診察は10月ですが、違う医師が担当になる」
⇒いいことではありません。
大学病院の診療を見ていると、どうしても「自分が在籍している間さえ凌げば良い」的な「先送り診療」の元凶と思います。
「一度田澤先生に診察して頂き、マンモトーム生検を行って頂くことは可能でしょうか。」
「時期は急ぐことはないと思っていますので、診て頂けるとしたら10月位でいいでしょうか。」
⇒いいですよ。
(通常考えると)「バネ式針生検で確定診となっている」ようには、思いますが「100%安心」するのはいいと思います。
「5本採ってつぶれたようになったとのことなので仕方ないのかとは思いますが、マンモトーム生検には差し支えありませんか。」
⇒差し支えありません。
マンモトームで取りきることも可能です。(そもそもの目的ではありませんが)
「質問3:左胸の線維腺腫ですが、(しばらく検診を受けておらず)以前からあったものか判別がつかないので半年の経過観察という解釈でいいでしょうか。」「半年で大きくなっていなければ、今後は年1回の定期検診でいいということになるのでしょうか。」
⇒形状次第ですが…
明らかに「線維腺腫と断定できるようなレンズ状~ラグビーボール状」であれば、全く問題ありません。
「また、右胸で乳管内乳頭腫と確定診断が出た場合は継続的に半年に一度のエコーと年に一度のマンモグラフィーになるのでしょうか。」
⇒乳管内乳頭腫自体は癌にはならないので、(同一乳管に癌ができることがあるとはいえ)分泌が無い限り「1年に1回」でいいでしょう。