[管理番号:141]
性別:女性
年齢:43歳
半年前にシコリに気づき受診し、マンモとエコーを受けました。小豆粒位のシコリで、乳腺症嚢胞との診断でした。最近、違う場所にシコリを見つけ同じ病院に行きました。
嚢胞と診断でした。前と違いシコリが大きく(2.3㎝×1.6㎝)3つ袋があり、1つが、核になって悪さをする場合があるから、念の為細胞診をしときましょうという事になって中の液体を抜いたら、血液が混ざってるわ、あまり良く無いと言われて…
マンモの時、圧迫されて黄色い汁は毎回出ます。それに、血液は混ざってないと思います。
半年前の画像には、何も写ってなく、急に出来たなぁ、との事でした。
結果は、2週間待ちなんですが、結果が大丈夫であっても、年齢的に取った方がいいと思うと言われました。確率的に悪い結果は、何%位でしょうか?
どれだけ取るのでしょう?何故取る方がいいのでしょうか?
お忙しい中すみませんが、回答よろしくお願いします。
田澤先生からの回答
こんにちは。田澤です。
「内容が血性である」嚢胞ですね。
「記載されている診療内容」には私も同意見です。
それでは回答します。
回答
「確率的に悪い結果は、何%位でしょうか?」
⇒(今回の細胞診で悪性が出る確率という意味だと思いますが)細胞診で「悪性」がでる確率はそれほど高くありません。 10%以下でしょう。
「どれだけ取るのでしょう?」
⇒今回の病変のみを摘出します。
但し、(低い確率ですが)もし「細胞診で悪性が出た場合」には、乳癌の診断となりますから、その場合には「2cm以上は大きめに切除=乳房部分切除」となります。
「何故取る方がいいのでしょうか?」
⇒「悪性」の可能性があるが、「摘出以外には診断確定が困難」であるからです。
- 「悪性」の可能性があると考える理由
①内容が血性である
②半年間で「2.3×1.6cmのものが」新たにできた
③40代以降で「新たにできる」腫瘍は「癌の可能性」が高くなる
- 「摘出以外には診断確定が困難」と考える理由
これは「嚢胞内腫瘍」だと思います。
嚢胞内腫瘍は「嚢胞壁に存在する小さな腫瘍」の周りを「血性の液体」が充満している状態です。
「血性の液体」の中には悪性細胞は現れない事が多いため、「中身を(細胞診や場合によっては針生検などで)何度検査」しても診断はつかない事が多いのです。
★この場合唯一の確定診断の方法は「嚢胞ごと、全部そっくり摘出」することです。
「嚢胞ごと、そっくり摘出」して顕微鏡で見ると、「壁にある極小さな腫瘍」も診断できるのです。
血性の嚢胞を診た場合(20代など若年者を除く)
私も、全く同意見であり、その「血性嚢胞を摘出」を強く勧めます。
「血性嚢胞」は乳腺症などでできる「通常の嚢胞」と同じに考えてはいけません。
◎「内容液が血性の場合」には腫瘍が存在し、その腫瘍からの出血などで「(血性)液体が貯留」して「嚢胞内腫瘍」という状態である可能性が高いのです。
診断方法は「摘出」が原則であり、顕微鏡で「病理診断」しないと確定診断できないことが多いのです。
質問者様より 【質問2】
お忙しい中すぐに回答していただきありがとうございました。
先生みたいな方がいらっしゃって、本当に有難いです。何度もすみません、また質問させて下さい。
細胞診の結果がどうであれ、嚢胞は取ってしまおうと思います。
今の細胞診の結果は、悪性の可能性の確率は10%以下と田澤先生の回答でわかりました。
嚢胞を摘出して、細胞診した結果の悪性の確率は、どれ位なものですか?
もし、悪性だった時、浸潤癌と非浸潤癌の確率も教えて欲しです。
また、摘出の際の傷口はどれ位になりますか?
胸はかなり小さめで、できている箇所は乳輪の真上2㎝位です。胸はかなり小さくて脂肪があまりないので、見た目凹みますか?
今は、中の液体を抜いたので、触ってもシコリのように感じる物はわかりません。
あと、今の結果待ちの細胞診をした時に、血液が出てきたわと、ビックリされたような感じで、私に、ぶつけたか?と聞かれました。
出てきた血を見て、ぶつけて出た血か、腫瘍による血か、違いはあるものですか?
注射器の中の抽出物を見ましたが、濁った液に血がマーブル状にある感じでした。全部混ざって、全体が血の色のようではなかったです。
色は、茶色血でした。今出たようなキレイな色ではなかったです。
また、回答お願いします。
何度もすみません。
田澤先生から 【回答2】
こんにちは。田澤です。
それでは回答します。
回答
「嚢胞を摘出して、細胞診した結果の悪性の確率は、どれ位なものですか?」
⇒(あくまでも私の経験ですが)4割くらいでしょう。
※正確な統計的数字は存在しません。
「もし、悪性だった時、浸潤癌と非浸潤癌の確率も教えて欲しです。」
⇒浸潤癌は1割程度、ほとんどが非浸潤癌です。
「また、摘出の際の傷口はどれ位になりますか?」
⇒「腫瘍の大きさや、皮膚からの距離(深さ)にもよりますが」 3cm程度だと思います。
「見た目凹みますか?」
⇒大丈夫です。 よほど大きな腫瘍でない限り変形しません。
「出てきた血を見て、ぶつけて出た血か、腫瘍による血か、違いはあるものですか?」
⇒わからないのですが、いくらかの違いはあります。
打撲などによる出血によるもの:純粋な血液や血塊
腫瘍による血性:明らかに血液が混じってはいるが純粋な血液ではない(血液混じり)
※質問者の表現からすると、「腫瘍による血性」に近いように思いました。
★「細胞診の結果がどうであれ、嚢胞は取ってしまおうと思います」⇒ いい決断だと思います。 応援しています。
質問者様より 【質問3】
毎回すぐに回答いただき、ありがとうございます。
昨日、細胞診の結果を聞きに行ってきました。
先生からは、細胞はしっかり取れてました、良性で嚢胞の切除はどちらでもいいと言われました。
どっちにしても、取った方がいいと言われてたので、どっちでもいいと言われたら、大丈夫ならそのままで様子をみたいと思ってしまいます…。
田澤先生、意見を聞かせて下さい。
細胞診検査報告書は、
判定: 検体適正; 正常あるいは良性 判断: Suggestive of benign cystic lesion 細胞所見: Papanicolaou分類: Class2 血性背景に、泡沫細胞と筋上皮細胞との二相性を保持した乳管上皮細胞集塊が認められます。明らかな悪性所見は認められません。 出現細胞: 円柱上皮細胞 1+ 赤血球 3+ 好中球 1+ リンパ球 1+ 組織球 1+ |
という、報告でした。
やっぱり、どうであれ取った方がいいですか?
どっちでもいいなら、考えても大丈夫ですか?と言いました。
半年後にまた病院に行きます。
心配なら、3カ月位で来てもいいよ、切除は急がないし、考えても大丈夫と言われました。
なぜ、どっちでもいいと言う判断になったのでしょうか?
次の人が待ってると思うと、時間を気にしてその場で聞けなくて…毎回、田澤先生に質問してすみません。
田澤先生から 【回答3】
こんにちは。田澤です。
「血性嚢胞」の細胞診の結果がでたのですね。
予想通り「嚢胞内容液」からは「悪性が出なかった」との事。
それでは回答します。
回答
「やっぱり、どうであれ取った方がいいですか?」
⇒取った方が安全です。
(前回の回答にも記載しましたが)「血性嚢胞」の内容液からは「悪性細胞」が出る事は多くはありません。
「血性嚢胞」で心配しているのは「嚢胞内腫瘍」の可能性です。
「嚢胞内腫瘍の診断」には「内容液の細胞診では不十分」なのです。内容液に腫瘍細胞が(たまたま)含まれているとは限らないのです。
「針生検」でも不十分です。摘出が最も安全なのです。
「なぜ、どっちでもいいと言う判断になったのでしょうか?」
⇒「嚢胞内腫瘍は内容液の細胞診では診断は不十分」とは解っていても、細胞診で「良性」と出ていると「摘出を勧める根拠」に乏しくなると考えたのでしょう。
「特に御本人に迷いがある場合には」余計に、「無理をしてまでは勧めない」という微妙な変化が生じたのだと思います。
◎摘出しなければ、「確定診断は得られない」事は間違いないですが、「3カ月待ってはいけない」などということは勿論ありません。
十分「自分が納得するまでの」時間的余裕はあります。
たとえ、(3~6ヵ月で)経過をみている中で「エコー像が変化してきた」というタイミングに摘出となったとしても、遅すぎる訳ではないのです。(1~2年空いてしまったら怖いですが)
質問者様より 【質問4】
毎回、すぐに回答していただき、ありがとうございます。お忙しいのに大変有難く感謝致します。
また、質問させて下さい。
細胞がしっかり取れてたと聞いたので→その結果が良性だった訳ではなく、出ていた細胞は良性だっただけで、ひょっとしたら、まだ出ていなかった細胞があって、それが腫瘍の悪い細胞であるかもしれないって事なんですね…
→それは、切除して調べなければわからない
それを調べた結果、4割が悪性であるという事(前回回答して下さった)
このままじゃ、全然安心じゃないですよね…
切除の方向で考えてますが…
経過観察をしてて半年以上たって、変化があり、やっぱり切除しましょか!となった時は、遅いですか?
どんな、変化がありますか?
田澤先生が言われる、1~2年あくと怖いとは?
何度もすみません、よろしくお願いします。
田澤先生から 【回答4】
こんにちは。田澤です。
前半に期待されている「細胞がしっかり取れてたと聞いたので→その結果が良性だった訳ではなく、出ていた細胞は良性だっただけで、ひょっとしたら、まだ出ていなかった細胞があって、それが腫瘍の悪い細胞であるかもしれないって事なんですね…→それは、切除して調べなければわからない」
⇒これは質問者が理解されている通りです。
それでは回答します。
回答
「経過観察をしてて半年以上たって、変化があり、やっぱり切除しましょか!となった時は、遅いですか?」
⇒遅くはありません。
半年程度では(仮にもし癌であったとしても)まだまだ十分早期であり、(その場合の)治療内容も殆ど変らないでしょう。
「どんな、変化がありますか?」
⇒(もし癌であったならば)嚢胞壁の(癌)細胞成分が(超音波で解る程度に)大きくなり全体の形に変化が起こる可能性があります。
「1~2年あくと怖いとは?」
⇒(もし癌であったならば)浸潤癌となり明らかな「腫瘍形成」を起こす可能性があります。
質問者様より 【質問5】
先生、毎回丁寧に回答いただきありがとうございます。
まだ、今すぐにと答えを出せない自分がいますが、切除が一番いいと分かっていますので、逃げないで早めに実行します。
毎回、沢山の方を助けられてる先生、尊敬します。この様なサイトがある事本当に有難いです。
大変でしょうが、ずっと続いていく事期待しています。
また、不安な時は質問させて下さい。
本当にありがとうございました。
田澤先生から 【回答5】
こんにちは。田澤です。
しっかり考えた上での決断であれば、いいと思います。
◎摘出しないとしても、「最低限の経過観察」だけは続けてください。