[管理番号:4826]
性別:女性
年齢:44歳
よろしくお願いします。
4年前、職場の検診で初めてマンモを受け、
左乳房石灰化で精査を受けるようにとの結果が来ました。
近医でみてもらい、良性のもので心配ないとのことでそのままでした。
ここ、指してもらわないと気づかないような小さな砂粒が2,3粒あるような画像でした。
2年後の検診では、健診センターから速達で「至急専門医を受診するように」と来て、別の病院で再度撮ってもらいました。
2年前と比べると
増えているようにも見えましたが、医師は大丈夫でしょうが、念のため
半年ごとに撮ってみましょうと言われ、半年ごとに3回とって、「変化がないので1年後でよい」と言われたのが昨年4月です。
徐々に増えているようにも思え、はっきりさせたいと考えるようになり、昨年10月に精査を希望し、大学病院へ移りました。
そこでも「半年後にもう一度撮りましょう」となり、今年4月に再度マンモを撮ると
医師から増えているのでマンモトームを撮りましょうとやっと言われました。
4年間でみるとじわじわですが、4月の画像では10粒くらいの集合が
縦に3つあります、聞くと内側だそうです
マンモトームの前にMRIを撮り、その結果は異常所見無しと言われたのですが、その時の医師の言葉にハッとしました。
「五分五分と思っていたけど、ちょっと下がったかな」
えっ!私五分五分でがんなの?!と急にあせりました
4年も言われるがまま様子を見ていたことを後悔しました。
徐々に増える石灰化はがんの可能性が高いのでしょうか。
6月下旬にマンモトーム、7月中旬に結果を聞きます。
いつも「何か質問ありますか」と聞かれますが、何を聞いてよいかもわかりません。
結果の時、確認しておいた方がよいことはありますか。
これまで石灰化のカテゴリーなども聞いたことがなく、こちらで少し勉強して後悔しています
がんであった場合、石灰化の集合はすべて取った方がよいのでしょうか
よろしくお願いいたします。
田澤先生からの回答
こんにちは。田澤です。
「マンモトームの前にMRIを撮り、その結果は異常所見無し」
⇒大学病院のMRI好きには、本当に困ったものです。
全く無意味
「徐々に増える石灰化はがんの可能性が高いのでしょうか」
⇒実際に画像を見ていないのでコメントし難いですが…
石灰化の経過観察は「増えるかどうか?」を見ているわけです。
どの程度可能性が高いのか?は(画像を見ていないので)不明ですが、(当然)精査の対象となります。
☆4年間で増加くらいだと、(年齢からは)「乳腺症」でもありえるし、「大人しい乳癌」でもありえます。
これが「半年で急増」だと、「ほぼ乳癌」と考えます。
「結果の時、確認しておいた方がよいことはありますか」
⇒もしも境界病変(flat epithelial atypia, atypical ductal hyperplasiaなど)であれば、(経過観察などせずに)外科的生検などで確定させましょう。
「がんであった場合、石灰化の集合はすべて取った方がよいのでしょうか」
⇒当然です。
もしも癌だった場合は
癌組織が乳管内を拡がっていく過程で「壊死を起こし、そこに石灰化が起こる」のです。
つまり、「癌の範囲は石灰化の範囲を確実に超えている」のです。
イメージとしては、(実際の手術では)「石灰化の範囲をマージンをつけて摘出」が必要です。
質問者様から 【質問2】
先月『石灰化から4年後のマンモトーム』管理番号4826で相談させて
頂いたものです、マンモトームの結果で再度ご相談申し上げます
検査結果は以下の通りでした
医師からは、結果はグレー、このような場合8割は良性の乳腺症、2割が非浸潤性ガンだということ、経過観察する場合が多いが、はっきりさせたいのであれば外科的生検が必要との説明でした。
しかし、外科的生検
でもグレーなことがあると言われ、決断がつかずにいます
【臨床経過及び所見】
左M-1領域に集簇~区域性の石灰化あり、増加傾向であるためステレオガイド下VAB実施
【診断】
1. 左乳腺生検(吸引生検)
Indeterminate.Atypical intraductal epithelial proliferation(AIDEP),flat epithelial atypica(FEA).ST- VAB
【所見】
1) 判定区分
検体適正
鑑別困難
2) 推定組織型
DCIS,ductal hyperplasia
3) 所見
乳管上皮の増生、内部には好酸性の分泌物を認め、一部に石灰化を認め
ます。
Atypical intraductal epithelial proliferation (AIDEP),flat epithelial
atypica(FEA)の所見です
IHC
陽性:ER(99%)、ck14/p63
陰性:Syn
(以上)
① 田澤先生が「もし境界病変だったら…」とおっしゃった結果に当たると思いますが、担当医からは「異形線管」という言い方でした、
同義語でしょうか
② 「ガンだとしても薬がよく効くタイプ」という説明でしたが、これはサブタイプを表すのでしょうか?
③ 石灰化の集合は乳房全体に複数あります、その中でもこの半年に増えたのは内側に3つ縦に並んでいる塊です。
その真ん中の石灰化
は殆ど粒がつぶれて小さな尖った石のようになっており、それを狙ってマンモトーム予定でしたが、胸壁の近くで取りづらかったとのこと、全く違う部分(外側)を撮っての検査だったことが気になります(画像をうまく説明できず申し訳ありません)一つの石灰化がガンだったら他もガン、一つが良性だったら他も良性、という理解でよいのでしょうか
④ 外科的生検を希望したところ、「殆どの方は経過観察される、半年後でも命にかかわらない」と言われました。
ここ数年モヤモヤしていることではっきりさせたい気持ちと、生検を受けてもグレーという可能性があるのなら待った方がはっきりするのかなと迷っています。
また、外科的生検をする場合はマンモトームをしたクリップのある所を
切るのでしょうか?上記の気になる石灰化を調べてくださいと言ってもいいのでしょうか?
わかりにくい文面で申し訳ありません
よろしくお願いいたします
田澤先生から 【回答2】
こんにちは。田澤です。
私は、(おそらく)誰よりもST-MMT件数が多く、そのため質問者のようなケースも(当然ながら)数多く経験しています。
「しかし、外科的生検でもグレーなことがあると言われ」
⇒それは誤りです。
「外科的生検で病変を全部採取」すれば、それ以上の回答はありません。
♯グレーというのは「病変の一部でしか判断できないので、全体で見れば癌と言える可能性も十分にある」という事なのです。
「病変全体でグレー」という考え方自体が「完全な認識不足」です。
★もしかしたら、担当医のいう「外科的生検」が(メスで切るが)「病変の一部のみの採取」というイメージなのかもしれません。
本来、(ST-MMTで境界病変と出た場合に行うべき)「外科的生検」は(病変の一部のみでは無意味であり)「病変全体(つまり石灰化の領域全て)を切除すべき」です。(その辺の認識に違いがあるのかもしれません。要注意です)
「① 田澤先生が「もし境界病変だったら…」とおっしゃった結果に当たると思いますが、担当医からは「異形線管」という言い方でした、同義語でしょうか」
⇒同じです。
典型的な表現が「atypical」や「FEA:flat epithelial atypia」なのです。
「② 「ガンだとしても薬がよく効くタイプ」という説明でしたが、これはサブタイプを表すのでしょうか?」
⇒ ERが陽性であることを言っている様ですが…
そもそも(境界病変と出る程度なのだから)癌だとしても「非浸潤癌」であり、「薬物療法は不要と推測すべき」です。
「一つの石灰化がガンだったら他もガン、一つが良性だったら他も良性、という理解でよいのでしょうか」
⇒一連のものであれば、そういうことです。
「生検を受けてもグレーという可能性があるのなら」
⇒その発想自体が全くの誤りです。
「外科的生検をする場合はマンモトームをしたクリップのある所を切るのでしょうか?上記の気になる石灰化を調べてくださいと言ってもいいのでしょうか?」
⇒「一連の石灰化全ての範囲」となります。
(それでは)どうしても広範囲となる場合には「より怪しい部位を推定して切除範囲を決めるべき」です。
質問者様から 【質問3】
石灰化から4年後のマンモトーム→結果について
性別:女性
年齢:44歳
【管理番号4826】
過去2回相談させて頂きました、外科生検の結果で再度教えて頂きたい
ことがいくつかありお願いいたします
生検は執刀する先生がマンモとエコーでよく見て下さり、マンモトー
ムをした場所(脇側 時計でいうと1時位の位置です)と反対側(内
側、時計でいうと9時位)を手の親指大とりました。
結果、非浸潤ガン
でした。
想像していたよりかなり大きく切られましたが、手術の傷もきれいで
全く変形していないこと、そしてはっきり診断がついたことに安堵し、
結果は受け入れています。
「外科生検でもグレーかもしれない」と言われたことで色々と不安に
なり、生検ではっきりしなければ転院しようと思っていましたが、生検
をして下さった先生が丁寧に対応下さり、このまま手術も受ける気持ち
になりました。
もっともその先生が執刀医とは限りませんし、きれいに
切ってもらえたといっても、全摘になりそうですが。
【診断】
Primary breast cancer. Ductal carcinoma in situ(DCIS, non-comedo type).
【所見】
ホルモン受容体 P&P 約90%
Ki-67 約10%
HercepTest 2+(ただしinsituでの評価です)
切除標本の大きさ 縦2.6cm × 横4.2cm × 高さ2.0cm
乳腺腫瘍の組織学的分類 Noninvasive ductal carcinoma
乳管内進展巣を含めた径:4.0cm × 2.2cm × 1.2cm
脈管侵襲 リンパ管侵襲 lyo 血管侵襲 vo
乳管内進展 +
水平切除断端 cut surface 陽性 5cm以内陽性 頭側、内側 標本番
号4,5,7,8,9,10
体表側断端 断端に癌が露出しています 標本番号8
下床断端 断端に癌が露出しています 標本4
DCIS異形度 LOWgrade
Key slide 7
IHC:ER 90%
これから再度MRIを撮って温存か全摘か決めるそうですが石灰化が全
体にあり、マンモトームが境界病変であったことから「あなたの場合全摘がいいかもね」と言われました。
① 石灰化は4年前から指摘されており、じわ~と増え、昨秋から今春にかけて小石のような塊が現れてきました。
4年前から乳癌だったということでしょうか?もう少し早く確定していれば全摘せずに済んだのではと思ってしまいます。
② 病理検査について どのようなタイプのガンでしょうか?皆
さんがおっしゃっているサブタイプ?等はお聞きしていません。
③ 全摘すれば放射線もその後の薬物療法もなしでよさそうですか?これまでの経過で自分でも全摘した方がよいかと思っています。
小学生の娘達にとってショッキングな姿になることが気がかりですが、癌なのだからと自分に言い聞かせ決心しなければと思っています。
④ 今後はずっと経過観察が必要でしょうか。
再建の希望について聞かれましたが、再建すると診察の時邪魔ではないでしょうか?整容性以外にはメリットもデメリットもないのでしょうか
診察の時にきちんと質問できず、いつも数日してからもやもやしてしまいます。
次の診察までにこのQ&Aで疑問を解消し、一歩ずつ進むことができます。
このような場を設けて下さり本当に感謝しております。
田澤先生から 【回答3】
こんにちは。田澤です。
「4年前から乳癌だったということでしょうか?」
⇒勿論、その通りです。(癌は最初から癌、良性は最後まで良性なのです)
「病理検査について どのようなタイプのガンでしょうか?」
⇒低異型度非浸潤癌です。
非浸潤癌にサブタイプは無いし、不要です。
「今後はずっと経過観察が必要でしょうか。」
⇒非浸潤癌で全摘すれば「根治」となるので、経過観察不要です。
通常の検診でいいのです。
「整容性以外にはメリットもデメリットもないのでしょうか」
⇒ありません。