[管理番号:94]
性別:女性
年齢:28歳
初めまして!
相談させていただきます!
三日ほど前から両胸がはっていて痛みがありました。
1月の終わりに生理がおわりそろそろまた生理かなーと思っているのですが昨夜、痛い胸を触っていると右胸の横真ん中ぐらいにしこりを見つけました…
しこりは触ると逃げるように動く感じがします…
乳がんの可能性が高いでしょうか?
田澤先生からの回答
こんにちは。田澤です。
「生理前にみつけたしこり」ですね。
心配なことと思います。
それでは回答します。
回答
乳癌の可能性は低いと思います。
乳腺症の可能性が高いと思います。
生理前には女性ホルモン(エストロゲンとプロゲステロン)の影響で子宮内膜が肥厚するように、乳腺組織も増殖して張ってきます。
このような中で、(硬い)線維化により、(部分的に、あたかもしこりのように)硬くなった正常乳腺組織を「乳腺症」といいます。
また、乳腺症の部分症としての「のう胞」(水が貯まった袋)や、女性ホルモンの影響を受け易い良性腫瘍である「線維腺種」も候補に挙がります。
乳癌の可能性が低いと考える理由
(年齢)
年齢というと、非科学的に感じるかもしれませんが、そうではありません。
乳癌の発生に大きな影響を与えている「エストロゲン」に曝されている時間(年数)が重要なのです。
20代では、まだまだ「高エストロゲン状態」に曝されている年数が短いので、乳癌は発生しにくい
これが30代後半⇒40代と「より長期間の高エストロゲン状態」に曝されて急速に乳癌が増加する理由です。
よって10代の乳癌は極めて稀(この年代で乳癌が発生した場合には、もともとも遺伝子異常=遺伝性乳癌を考えます)
20代でも30代の僅か13分の1しかありません。
(参考)2010年の全国統計 | ||||||||
年代 | 10代以下 | 20代 | 30代 | 40代 | 50代 | 60代 | 70代 | 80代以上 |
乳癌数 | 2 | 295 | 3780 | 13523 | 14830 | 17855 | 10895 | 6891 |
この表を見ていただくと、乳癌は(他の癌と比較して)「若い方に多い癌」とはいっても、「30代後半から急速に増加し、50代、60代にピークを迎える」ことが解ります。
ピークを過ぎた「70代、80代でさえも、20代に比べると20倍~30倍以上であることに注目してください。
参考にしてください。(私の臨床経験)
◎これらは「単なる数字」ではなく、私の臨床経験とも完璧に一致します。
- 「20代のしこり」の殆ど(99%以上)は、乳腺症、線維腺腫(特に生理前に見つける事が多い)
- 「30代のしこり」も、大多数が乳腺症、線維腺腫、ごく僅か(数パーセント)が乳癌
- 「40代のしこり」となると、2~3割に乳癌が混じってきます。(数年前より自覚していたものを除く)
- 「50代~60代のしこり」 良性腫瘍<乳癌の方が多い
- 「70代以降」 新しく自覚したものの殆どが乳癌
癌の発生
「癌」は「遺伝子異常」で引き起こされます。「遺伝子異常」は細胞分裂の際のエラーなので、細胞が古く(歳をとる)なるに従って増加します。
これが一般に「癌」が高齢者に多い理由です。
◎乳癌の場合には、この「細胞の老化(高齢になればなるほど増加)」と「エストロゲンの暴露(40代以降低下)」の両方がかかわっているので、「50代~60代にピークを持ちながらも、70代、80代でも乳癌が多い」となるのです。