[管理番号:4174]
性別:女性
年齢:58歳
田澤先生、はじめまして。
いつも乳がんプラザで勉強させて頂いております。
11月下旬に左乳房の乳頭乳輪温存手術を受け、
術後の病理結果は以下の通りでした。
腫瘍径 1.10×1.90×1.20
核異型スコア:2,核分裂スコア:2(5/10HPF),核グレード2
ER:Allred PS5 IS3 TS8, PgR:Allred PS1,IS2,TS3
ly0,v0
HER2:score 1
SNB(0/2)
Ki-67については術前は22%、術後の病理組織診レポートには
載っていませんでした。
術前の針生検ではエステロゲン受容体もプロゲステロン
受容体も+
でしたが、術後はエステロゲン受容体は変わらず+ですが、プロゲステロン受容体は+/-と医師より告げられました。
このプロゲステロン受容体が+/-という結果をどう考えれば良いのかが、わかりません。
術後の病理結果の方が正しいと考えると、私の場合はルミナールAになるのでしょうか、それともルミナールBとなるのでしょうか?
そして、術後の治療としては「ホルモン治療をすることになるが、抗がん剤についてはどちらでも良い」と主治医の先生から言われております。
私はB型肝炎の無症候性キャリアのため、なるべく抗がん剤はしたくないと考えておりますが、もしルミナールBだとすれば、やはり化学療法を行った方が良いのでしょうか?
また、抗がん剤をした場合の上乗せ効果についても教えていただけますか?
以上です。
どうぞ宜しくお願い申し上げます。
田澤先生からの回答
こんにちは。田澤です。
「このプロゲステロン受容体が+/-という結果をどう考えれば良いのかが、わかりません。」
⇒おそらく(手術標本の処置が不適切となり:どうしても手術標本は大きいため、ホルマリン固定不十分になりがち)手術標本でPgRの染色性が低下したのだと思います。
術前の針生検標本は、採取後すぐにホルマリン容器で十分な量のホルマリンで固定されます。
○つまり、(術前の値である)「PgR陽性が正しい」と解釈します。
「私の場合はルミナールAになるのでしょうか、それともルミナールBとなるのでしょうか?」
⇒Ki67=22%だからルミナールAと判断します(私なら)
『今週のコラム53回目 Ki67が「30未満」ならホルモン療法単独、Ki67が「30以上なら、Oncotype DXを推奨」しています。』をご参照ください。
♯ただ残念なことに「手術標本ではない」ので病変全体を反映していない可能性があります。
「私はB型肝炎の無症候性キャリア」「もしルミナールBだとすれば、やはり化学療法を行った方が良いのでしょうか?」
⇒ルミナールAだと思いますが…
どうしても不安なら是非、OncotypeDXしてみましょう。
(もしも)化学療法をする場合はHBVのDNAを定量しながら(モニタリング)、(必要に応じて)核酸アナログ(バラクルード)を投与する必要があります。
♯予め核酸アナログの予防投与の有効性が明らかとなっています。
「また、抗がん剤をした場合の上乗せ効果についても教えていただけますか?」
⇒2%です。(ホルモン療法単独で10%の再発削減効果があり、そこに化学療法を加えても+2%の上乗せとなります)