[管理番号:3306]
性別:女性
年齢:33歳
8月から抗がん剤治療が始まりますが、果たして不足ない治療なのか迷っています。
以下治療の経緯となります。
5月中旬:しこりに気づきクリニック受診、エコー、マンモグラフィの結果クラスⅤの診断。
紹介状にて市民病院を受診予約(3cm位との診断)
6月初旬~中旬:マンモトーム生検、CT、MRI、シンチにて転移なし。
術前診断:トリプルネガティブ、Ki67:70%、ステージ2A、grade3、腫瘍の大きさ4cm。
術前化学療法を勧められるが腫瘍を早く体内から取りたいので手術先行、全摘出を希望。
形成外科医との都合が合うのが2カ月後とのことで再建せずできるだけ早く手術して欲しいとの意向。
6月下旬:手術。
乳頭への浸潤がなかったため乳腺全摘出のみ。
翌日出血のため再手術。
ドレーンが抜けるまで1週間ほど。
翌日退院。
7月中旬現在:浸出液がなかなかとまらないのか全摘出のはずがふくらみあり。
(Hカップですが小さめのハンドタオルを詰めればわからない位)Drはそのうち吸収されるとのことで脇のむくみと共に経過観察。
病理診断は以下の通り。
それを踏まえてTC療法3か月(4回)との指示。
(根拠:リンパ転移と血管侵襲なし、
ステージ2A、インフルエンザが悪化したことがあってからたまに動悸がするので頓服でデパスを服用してること、腫瘍の感じと全摘なので取り切れてるから半年もしなくて平気だろうとのこと)
組織診断報告書
ER(-)、PGR(10~20)、HER2(-)、Ki67;85% トリプルネガティブ
全摘された左乳房が提出されています。
(標本番号;#)
#1;腫瘍、#2-24;左乳房
「乳がん取扱い規約(第17版)」
左C、50X30X25mm、invasive ductal carcinoma、scirrhous>solid-tubular type
f、ly(+)、v(-)、腫瘤外乳管内進展(-)、断端(-)、Nuclear grade:3、
(nuclear atypia:score3、mitotic counts:score3)
pN0(SLN(0/1))、pT2N0M0、stage2A
「組織学的所見」
腫瘍部(#1,5,7-10,19-22)では胞巣状あるいは索状、管状となって増生する腫瘍細胞を認めます。
浸潤巣内にはDCISが散見されます。
腫瘍は浸潤性に増生していますが、一部では周囲との境界は明瞭です。
Scirrhous>
solid-tubular typeのinvasive ductal carcinomaの所見です。
腫瘍径は切片上で30X25mm、割面間で50mmです。
浸潤巣を越えて乳管内を進展するDCISは明らかでありません。
標本5で娘結節とみられる浸潤巣を認めます。
周囲断片は陰性です。
質問として
・グレードの高さ、大きさ、年齢的なことを考えて半年の治療じゃなくてよいのか
(動悸といってもたまになので私としてはアンスラサイクリンが影響する程ではないと思っています)Drは「充分だから。
問題なく取り切れているのだから再発なんてしない方が多いのだから」と仰いますが年齢的にこれからが長いため不足なくしたいのですが
どう説明すれば良いでしょう。
・最大腫瘍径は割面間の50mmということでしょうか?「DCISが散見される」ということは元々いくつかが大きくなって1つになったのかそれは関係なしに元々1つなのでしょうか?
・胸のふくらみ(再建を考えてできるだけ脂肪は残したそうですが)は気にしなくて良いでしょうか。
断端マイナスの結果から残した脂肪の再発への影響はないと思っていいでしょうか。
・TCとアンスラタキサンとの直接比較はないとお書きになっていたと思いますが、予後の目安として治療した場合の再発率を教えて頂きたいです。
田澤先生からの回答
こんにちは。田澤です。
「・グレードの高さ、大きさ、年齢的なことを考えて半年の治療じゃなくてよいのか(動悸といってもたまになので私としてはアンスラサイクリンが影響する程ではないと思っています)Drは「充分だから。問題なく取り切れているのだから再発なんてしない方が多いのだから」と仰いますが年齢的にこれからが長いため不足なくしたいのですがどう説明すれば良いでしょう。」
⇒PgRが陽性ではありますが、ER陰性により「トリプルネガティブに準じた」治療方針でいいと思います。
質問者がおっしゃるように「トリプルネガティブの標準療法」である「アンスラサイクリン+タキサン」とすべきでしょう。
心臓に関しては「循環器科を1回受診してもらう」だけで十分です。
「・最大腫瘍径は割面間の50mmということでしょうか?「DCISが散見される」ということは元々いくつかが大きくなって1つになったのかそれは関係なしに元々1つなのでしょうか?」
⇒おそらく、想像ですが…
DCISとして乳管内を広範に(50mm?)拡がったあと、離れた部位で浸潤をし始めたのではないかと想像します。
「・胸のふくらみ(再建を考えてできるだけ脂肪は残したそうですが)は気にしなくて良いでしょうか。断端マイナスの結果から残した脂肪の再発への影響はないと思っていいでしょうか。」
⇒全摘しているのだからそれは大丈夫です。
「・TCとアンスラタキサンとの直接比較はないとお書きになっていたと思いますが、予後の目安として治療した場合の再発率を教えて頂きたいです。」
⇒EC単独ならば再発率は31%となり「アンスラサイクリン+タキサン」ならば25%となります。
TC>ECによりTC単独ならば25~31%なのだと思います。