Site Overlay

DCISの補助治療について

[管理番号:3056]
性別:女性
年齢:41歳
田澤先生 初めまして。
いつもHPを拝見させてもらっております。
ガンがわかって恐怖で怯えてた時にこちらのQ&Aですごく元気づけられ、感謝しております。
昨年末、乳腺クリニックにて検診を受けたところ、気になるもの(嚢胞)があるという事で細胞診を行いクラス5が出たため、3月に左胸上部内側の温存手術(とセンチネル)を終えました(MRIでの広がり1.8×1.2×0.8cm)
術前はステージ1だと言われていましたが、(細胞診で悪性と出たため針生検はやりませんでした)術後の病理でホルモンレセプター陽性の非浸潤乳管ガンとわかりました。
非常におとなしい正常の細胞に近いものですよ、と聞き、今は前向きに放射線治療を受けているところです。
質問1、放射線治療後のホルモン療法はやってもやらなくてもどちらでもいいですよ、と言われていますが田澤先生のご意見を伺いたいです。
やる事によって再発や遠隔転移の可能性はどれくらい低くなるんでしょうか。
質問2、ki67やグレードというのは聞いてないんですが、聞くべきですか?
以上長くなりすみません、よろしくお願いします。
 

田澤先生からの回答

こんにちは。田澤です。
嚢胞内腫瘍でDCIS おそらくintracystic papillary carcinomaのようなものだったのでしょう。
検診で見つかり大変幸運でした。
「質問1、放射線治療後のホルモン療法はやってもやらなくてもどちらでもいいですよ、と言われていますが田澤先生のご意見を伺いたいです。」
⇒不要です。
 治療には必ず副作用が存在します。
 閉経前のホルモン療法(タモキシフェン)には「子宮体癌のリスク」があります。
 浸潤癌であれば、「再発予防効果とこの子宮体癌のリスクは十分バランスする」のですが、非浸潤癌では「子宮体癌のリスクの比が高くなる」わけです。
 
「やる事によって再発や遠隔転移の可能性はどれくらい低くなるんでしょうか。」
⇒質問者がいうところの「再発」とは「局所再発」のことですか?
 ○「局所再発」と「遠隔転移再発」に分けましょう。(再発とは局所だけでなく、遠隔転移をも表現する用語です)
 局所再発はあくまでも「手術の状況(マージンの取り方)」に大きく左右されます。
 遠隔転移再発は、「そもそも非浸潤癌ではゼロに近い(理論上、ゼロ)」ので「数値で表される程の効果」はありません。
 ○再発(局所にしろ、遠隔転移にしろ)ではなく、同側や対側乳腺への「新規発生予防効果」はありますが、それは「子宮体癌の発生」とバランスしません。
 
「質問2、ki67やグレードというのは聞いてないんですが、聞くべきですか?」
⇒DCISにKi67は適応外です。(そもそも抗ガン剤の可否のための指標なので、DCISでは全く無意味)
 グレードは「非浸潤癌である以上」これも全く無意味です。
 ♯DCISを手術せずに放置した場合の、将来的に浸潤癌になるスピードや微小浸潤があるかの指標にはなりますが、「手術して摘出している以上無意味」なのです