[管理番号:2228]
性別:女性
年齢:54歳
2012.12 左胸にしこりを発見し受診(3月の検査では異常なし) 針生検の結果 1.8cm MIB1 80%
2013.7 手術 (術前化学療法にて原発5mmまで縮小 MIB1
20% リンパ転移なしリンパ節切除4つ ERとPgR 5% のちホルモン療法 )
2015.9 PET検査で左リンパに局所転移発見(2年目の検診でリンパ節に腫れがあったので検査をする)
2015.12 手術 リンパ節5つ摘出 1つに転移 トリプルネガティブ MIB1 70%
今後の治療について リンパ節に1/9転移の結果により提示されたのは放置する、放射線治療、経口による抗がん剤治療(TS1を1年間)
先の手術でリンパ節に転移していなかったのは(切除した4つは主だった所だそうで局所転移は稀なことと主治医は言っていました)抗がん剤がよく効いて消失の可能性。
今回のは潜んでいたガンによる局所転移と思われる。
他に微小のガン細胞があるかもしれないので叩いたほうがよいのでは。
トリプルネガティブでMIB1が高いので、何かあったらと思うと、治療したほうがよいのではと思ってしまいますが、まだ気持ちが固まりません。
また抗がん剤は結構きつかったのでTS1がどんなものか知りたいです。
田澤先生からの回答
こんにちは。田澤です。
術後ほぼ2年での「腋窩再発」ですね。
一番可能性があるのは「術前化学療法後であるため、(油断して)郭清が不十分となっていた」ということです。
「2015.9 PET検査で左リンパに局所転移発見(2年目の検診でリンパ節に腫れがあったので検査をする)」
⇒この記載からは
PETでは「あくまでも局所(腋窩)再発のみ」のようですね。
全身に転移が無くて幸いでした。
「手術時の取り残し」ということになります。
「2015.12 手術 リンパ節5つ摘出 1つに転移 トリプルネガティブ MIB1
70%」
⇒「1つ」で幸いでした。
「今後の治療について リンパ節に1/9転移の結果により提示されたのは放置する、放射線治療、経口による抗がん剤治療(TS1を1年間)」
⇒あくまでも「局所再発」なので「放射線治療」がいいと思います。
ただし、「初回手術後に照射はしていないのですか?」
していないとしたら、「乳房切除術だった」ということでしょうか?(温存手術ならば、術後照射した筈だからです)
「他に微小のガン細胞があるかもしれないので叩いたほうがよいのでは。」
⇒今回はあくまでも「初回手術時に取り残したリンパ節が増大」したものです。
「全身に潜んでいる」と考える根拠がありません。
やはり「局所治療の追加(放射線照射)」が優先です。
「抗がん剤は結構きつかったのでTS1がどんなものか知りたいです。」
⇒術前抗がん剤として用いた「アンスラサイクリンやタキサン」とは全く異なります。
副作用の程度は軽いですが「下痢や腹痛など消化器症状」が出る事があります。
担当医と「投与量」や「投与間隔」を相談しながら行えば「継続できる」とは思います。
質問者様から 【質問2】
田澤先生へ
お忙しい中ありがとうございました。
とても気持ちが落ち着いてきました。
早速ですが補足として先の手術では術前化学療法、温存手術、放射線治療をしています。
PET検査ではリンパ節のみの局所転移でした。
それから伺いしたいことが3つあります。
1つは、もし他にも何箇所か転移があった場合同時期に大きくなるものなのでしょうか?
それとも時間を前後し大きくなるものなのでしょうか?
2つめはたまに手術したリンパ節の辺りに熱く流れるものが感じられることがあります。
これは滞ったリンパの流れなのでしょうか?
3つめはどうしても脇の下や腕の内側の脇の下から5cmくらいまで違和感を感じていますが、(リンパ浮腫はまだありません)これは終生消
えることはないのでしょうか?
先生に巡り合えたことを感謝しております。
ありがとうございました。
田澤先生から 【回答2】
こんにちは。田澤です。
「早速ですが補足として先の手術では術前化学療法、温存手術、放射線治療をしています。」
⇒今回「腋窩照射を追加する」のであれば(前回の)「放射線照射野の検討」が必要となります。
「温存乳房照射」では「腋窩部が、かなりの程度入っている」可能性があります。
「照射野がかぶる」のであれば、「照射不能」となります。
「PET検査ではリンパ節のみの局所転移でした。」
⇒それは幸いでした。
やはり、「手術時の(単なる)取り残し」だと思います。
「1つは、もし他にも何箇所か転移があった場合同時期に大きくなるものなのでしょうか?それとも時間を前後し大きくなるものなのでしょうか?」
⇒この「他にも何箇所か転移」とは「腋窩リンパ節」の事でしょうか?
それであれば、(今回)「郭清して(他には)転移が無かった」のですから心配ありません。
他の部位(遠隔部位)に関しては「リンパ節とは無関係」です。
それで、念のために「TS-1]などの話が出ているのです。
「2つめはたまに手術したリンパ節の辺りに熱く流れるものが感じられることがあります。これは滞ったリンパの流れなのでしょうか?」
⇒リンパ流を感じることはありません。
流れているとしたら「血流」を感じているのだと思います。
「3つめはどうしても脇の下や腕の内側の脇の下から5cmくらいまで違和感を感じていますが、(リンパ浮腫はまだありません)これは終生消えることはないのでしょうか?」
⇒これは「肋間上腕神経の障害による感覚以上」ですが、「厳密には元通りにはなりません」
ただし、(徐々に)その感覚が気にならなくなります。
質問者様から 【質問3】
田澤先生様
5月CA15-3 21.9 旧)CEA1.2
6月CT検査 心臓の裏側にリンパの腫れ
前回のアドバイスにより家族とも熟考した結果
TS1を2月末からまず2週間試したところ、
いきなり4回の下痢がありました。
あと数日というときにインフルエンザにもかかり
白血球の数値が下がりすぎたため
次回の経口を3週間開けて再度することになりました。
その後たいした副作用なく過ごしています。
昨年12月の術後6月中旬にCT検査をしたところ、乳がんの心配はないものの
心臓の裏側のリンパが腫れているのがわかりました。
再度10月にCT検査の予定ですが、先生にしつこくきいたところ腫れが引かなければ
PET検査をしてがんがあれば抗がん剤治療となるとの返事でした。
心臓の裏側のリンパの腫れはがんによるものか心配でありますが、3月くらいからの
肩甲骨の辺りの違和感も事実で、はじめのうちはたまにチクっとしたりだったのが
今では重しのように感じられ他に考えられる病気もあるのではないかと思い始めました。
このまま主治医のいうように10月まで待てばよいのか考える日々です。
経過観察ではありますが、もしがんであったとしたら現在服用している
TS1は効果がないということなのでしょうか?
先生の経験上このような場合他科への受診を進めることもありますでしょうか?
ご多忙のところよろしくお願いいたします。
田澤先生から 【回答3】
こんにちは。田澤です。
「心臓の裏側のリンパが腫れ」
⇒縦隔リンパ節ですね。
単独であれば、「転移を強く疑うものではない」と思います。
経過観察で妥当と思います。
「3月くらいからのくらいからの肩甲骨の辺りの違和感も事実で、はじめのうちはたまにチクっとしたりだったのが今では重しのように感じられ他に考えられる病気もあるのではないかと思い始めました」
⇒これは「考え過ぎ」です。
他の疾患などありません。
御心配なく。
「先生の経験上このような場合他科への受診を進めることもありますでしょうか?」
⇒ありません。
縦隔リンパ節の「軽度?の」腫れなど幾らでもあります。
乳癌からの転移は完全には否定できませんが(その意味ではCTでのフォローは妥当です)「他の疾患の疑い」など全くありません。