みなさん。こんにちは。田澤です。
毎回、私がこれを執筆している時には、最も幸福感に包まれている時です。
何故なら、「先週までの貯まっていた宿題(QandAの回答)」を終え、「今週の手術と外来の予習」及び「その他、事務仕事」を終え、ようやく「肩の荷」が降りた、まさにその時なのです。
こう書くと、私を可哀想に思われるかもしれませんが、ちょっと違います。
9月頃(システムの問題でQandAを休止していた)1週間の「物足りなさ」といったら、大変なものでした。
人間、「緩みっぱなし」では人生つまらないですよね。
「忙しさ」があるからこそ、そらから解放された「充実感」が引き立って思える。
もしも(あり得ない事ですが)宝くじが当たって、「一生働かなくて済む身分」となり、「好きな時に、(例えば)ドバイの超高級ホテルに泊まった」としても、「忙しい中で、ようやく絞りだした、たった1日の温泉宿」に勝るとは思えませんよね?(ちょっと、極端でした。すみません)
…ここまでは余談でした…
それでは本題に入ります。
「乳房痛」
9月の傍芸能人の一言(正確ではありませんが…)「痛みが最初だった」から始まりました。
「私も、乳房痛がある。」「私も!」「私も!」
乳腺外来は(おそらく日本国中)「乳房痛」の患者さんで溢れかえりました。
私は「乳房痛=乳癌ではない」というつもりはありません。
実際に「痛みを伴う乳癌」もあることはあるのです。(少数派ですが)
それでは、我々乳腺外科医が「乳房痛」と聞いて、まず思い浮かべる事は…
『女性ホルモンによる刺激症状』です。
♯以下に、その機序を図示します。
子宮と乳腺は「それぞれ無関係」と言えます。
ただ、共通点として両方ともに「卵巣が支配している」のです。
『卵巣から』のエストロゲンの分泌上昇により 乳腺はどんどん「増殖し、浮腫状となり痛み」やがて、『卵巣』からの分泌低下により乳腺はどんどん「張りがとれ、痛みが改善」するのです。
同様の『卵巣から』のエストロゲン分泌が「子宮内膜の増殖⇒脱落(これを月経と呼ぶ)」を起こします。
○それでも、あなたは言うかもしれません「でも、月経が終わっても痛みが続くんですけど…」
ここが第2のポイントです。
「30代後半」から『卵巣が衰え始め』分泌が不規則となってくるのです。
「私、20代ですけど…」若いあなたは、そう言うかもしれません。
⇒「ストレス」によっても『卵巣機能に影響が出てバランスが崩れる』のです。
「でも、乳房痛が片側なんですけど…」
⇒ホルモンバランスが原因ならば「両方に起こるのではないか?」当然の疑問です。
ただ、実臨床の場において「乳房痛で受診される方の大部分が片側の痛み」なのです。
これは、「両方だと(ホルモンバランスが原因かな?と)安心」する方も「片方だと(もしかして乳癌?と)不安」になり、結果「片方の乳房痛の方」が受診されることが多いことに原因が有るようです。
○乳房痛は「少し様子をみて」、みましょう。
原因が「年齢による卵巣の衰え」にしても「ストレスによる一時的なアンバランス」にしても、「暫く様子をみると改善」する筈です。
もしも「乳癌による痛み」であれば、「そこにしこりがある」筈だし、「痛みは持続性(ホルモンバランスに左右されない)」なのです。