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全摘で郭清省略(微小転移の為)後の腋窩照射の要否

[管理番号:1934]
性別:女性
年齢:49歳
田澤先生
管理番号No.861「リンパ節微小転移乳癌への抗がん剤追加要否」/1120「浸潤性微小乳頭がん?」にて本年8月以降、色々ご助言頂き、有難うございます。
本年7/16にA病院にて右乳房全摘手術を受け、センチネルリンパ節に0.2mmの微小転移1個が術後永久病理標本で見つかった為、腋窩リンパ節郭清は省略のままとなり、自宅近くの県立がんセンターへ転院の上、放射線療法を受けることなく、8/21からホルモン療法を開始した者です。
今更ながらですが、私のように全摘で微小転移の為、腋窩リンパ節郭清を省略した患者の場合には、放射線療法(特に腋窩照射)は必要ないのでしょうか。
手術を受けたA病院の主治医(乳腺専門医)からは8/11に「貴方のような症例では局所・所属リンパ節再発の可能性は極めて低く、化学療法でなく、ホルモン療法単独の場合でも放射線療法は不要」との意見を貰いました。
また、12/4に県立がんセンターの現在の主治医(乳腺専門医)にも確認した処、「ly2は有るが、センチネルリンパ節を5ケも取った上で1ケのみ0.2mmの微小転移であり、非センチネルリンパ節への転移の可能性は相当低く、当センターの放射線療法適用基準から見ても腋窩照射は不要と思っている」との意見です。
温存療法の場合には、ガイドライン上、「放射線療法 CQ3-c」で「微小転移で郭清省略の場合には、腋窩照射は基本的に勧められない(グレードC2)」となっていることは認識していますが、全摘の場合には、(個人的な直感に過ぎないのですが)胸壁や鎖骨リンパ節への照射は兎も角、少なくとも腋窩への照射だけは(副作用も軽度と推測され)受けた方が良いように感じ始めており、悩んでいるところです。
(ガイドラインの「CQ7-b」は、全摘で、リンパ節郭清後、1-3ケの転移が見つかった場合で、かつ、恐らくマクロ転移の場合を想定しているように思われ、今回の当方症例に適当なのかは良く分かりません)
ご助言をお願い致します。
 

田澤先生からの回答

こんにちは。田澤です。
「微小転移に対する郭清省略」これ自体はコンセンサスが得られていると考えます。
更に、その際に「腋窩照射」を追加すべきかは、(質問者がご自分でおっしゃっているように)ガイドライン上「基本的に勧められないC2」となっています。
根拠となった臨床試験であるIBCSG 23-01は91%で乳房温存術が行われているという背景がありますが、ガイドライン上は「乳房切除術にも適応」されています。
 
○腋窩照射は不要と思います。(私だったら勧めません)
 せっかく「郭清省略」できたのに「腋窩照射で患肢浮腫などの有害事象が起きたら」無意味となります。