[管理番号:3420]
性別:女性
年齢:19歳
こんばんは。
はじめまして。
19才娘の病状の質問です。
この春に胸のしこりを気にしだし、7月末乳首から血の混じったような分泌物があり、すぐ8月(上旬)日に受診→検査
(血液検査、エコー、マンモグラフィ、細胞診、心電図等)エコーで8
cmあるとのことで、(下旬)日に摘出手術を抑えられました。
(下旬)日から入院します。
(中旬)日に結果と手術の説明、昨日CT検査行った際にたまたま主治医に会い「良性」とのお話。
(中旬)日に細胞の検査(針生検?でしょうか?)で結果は入院の際に聞けるとのこと。
こちらを拝見して、大きさや年齢のこともあり、手術方法のアドバイスを頂けたらありがたく思います。
マージンはどのぐらい?全摘はしなくて良いのか?追加手術で大丈夫なのか?
自分のことでないので、余計に心配しております。
本人も再発→再手術は避けたい様子、宜しくお願い致します。
田澤先生からの回答
こんにちは。田澤です。
「8cmの葉状腫瘍疑い」「血性分泌がある」
⇒非常に気になる所見です。
「マージンはどのぐらい?」
⇒2cmは付けましょう。
「全摘はしなくて良いのか?」
⇒葉状腫瘍は癌とは異なり「圧排性増殖」なので、「悪性葉状腫瘍のような広範な皮膚所見を伴わない」限り全摘は不要です。
「本人も再発→再手術は避けたい様子」
⇒正に、「そこが大事」です。
解っている医師ならばいいのですが…
質問者様から 【質問2】
葉状腫瘍のことを色々知ることができ、質問に答えて頂けるこの場を設けて頂き、担当患者さんも沢山診ていらっしゃるのに時間をさいていただいてることに感謝致します。
ありがとうございます。
関東圏に住んでないので、受診出来ればいいのですが残念です。
先日、結果と手術の説明を聞いて参りました。
葉状腫瘍、線維腺腫、または乳管内乳頭腫の疑いとのこと。
針の検査、分泌物は異常なし、良性とのこと、この日に針生検をしました。
結果は入院の時に聞けるということです。
乳腺は摘出するので(←この部分はマージンではないですね?)母乳はあげれなくなりますとのこと。
再発防止に2cmマージンを
つけてもらえるか聞きましたところ…マージンは2cmも付けることはしない→良性?年齢が若い、変形を気にしていただいてる様子?初発だからでしょうか?
私どもの地域では、良く診られる乳腺外科と聞いてます。
なるべく早く摘出した方が良いと思っております。
この病院で手術をお願いするつもりではいるのですが、田澤先生のアドバイスとの温度差に戸惑っております。
①針生検の結果次第だと思いますが、葉状腫瘍ならマージンを付けてもらうように強く伝えるべきでしょうか?再発が心配です。
実際に診てらっしゃる専門の先生の判断にお任せし、素人の私がそこまで気にすることはないのでしょうか?今の時点で不確かな状態でこのような質問で申し訳ありません。
もし、何かアドバイスがあれば、宜しくお願いします。
※知り合いから聞きました別の乳腺外科のある病院に受診する予定です。
(紹介状書いてもらいました。)
田澤先生から 【回答2】
こんにちは。田澤です。
実際の画像所見を見ていないので、勿論確定的な言い方はできません。
ただ、今回のメール内容で気になる部分「葉状腫瘍、線維腺腫、または乳管内乳頭腫
の疑い」に注目しました。
画像診断で「線維腺腫と葉状腫瘍」は区別が付きずらいのですが、なぜ「乳管内乳頭腫なのか?」
前回のメールで「血性分泌」と記載がありましたので「ここからの連想」なのか?
それとも「画像上、乳管内乳頭腫を思わせるような所見(乳管に連続するような)」があるのか?
通常「画像で区別」がつきます。
◎細胞診
乳頭腫ならば「細胞診で乳頭状病変が採取される」ので「細胞診」した段階で、そのような所見がなければ「乳頭腫は除外」できるのですが…(8cmもあるのに、細胞が上手く採れていないのかもしれませんね)
細胞診が上手く取れないのであれば、「最初から」針生検すればよかったのに…
◎針生検
入院時に「針生検の結果がわかる」ようですから、(線維腺腫と葉状腫瘍は組織診でも区別がつきずらいですが)『少なくとも乳管内乳頭腫なのかfibroepithelial
tumor(線維腺腫や葉状腫瘍)なのかの区別はつく』筈です。
「針生検の結果次第だと思いますが、葉状腫瘍ならマージンを付けてもらうように強く伝えるべきでしょうか?再発が心配です。」「何かアドバイスがあれば、宜しくお願いします」
⇒マージンについては「強調」しておいた方がいいでしょう。
「良性腫瘍であれば、なるべくぎりぎり取りたい」と考えている(横着な)医師も多いのです。
何故かというと、①「手術する際にマージンをつけるのは手間がかかる(腫瘍だけを摘出するのは非常に楽)②マージンを付けた場合変形をしないように工夫するにに手間がかかる(良性腫瘍だけを摘出すれば全く変形しない)
それに加えて(しばしば経験することですが)術前の針生検(マンモトームさえも)で「良性の葉状腫瘍疑い」⇒(術後、全体の病理評価では)「境界悪性、時には悪性葉状腫瘍」とされるケースもあるのです。
♯術前の針生検で「良性」だったので、「ギリギリで切除しましたが、摘出標本での評価で境界悪性でした。もう一度手術しますか?」みたいな事態は避けましょう。