[管理番号:2971]
性別:女性
年齢:43歳
管理番号3024「トリプルネガティブの術後治療および予後等について」の方でしょうか。
ホームページ管理者
田澤先生、こんにちは。
私の場合はどのような術後治療をされるか、また再発率等お尋ねしたく下記記載します。
43歳 女性
経緯:1月初旬人間ドックにてしこり発見
2月初旬 某県立がんセンター受診 乳がんガン確定
3月中旬 MRI CT
4月初旬 手術(温存)
術後の病理結果
浸潤性乳管ガン
トリプルネガティブ(針生検)
腫瘍径(浸潤径) 1.1×1.0×1,1センチ
核異形度2
脂肪浸潤+ リンパ管- 血管- 切除断端- リンパ節 -
センチネルリンパ 0/2
主治医の術後の補助治療案は 放射線+抗がん剤(4から6か月のもの)でした。
しかし、私が抗がん剤を嫌だと言っているので、やれと言い切るのも迷っておられる感じです。
主治医の話では、「おそらく再発は、大丈夫だと思うけど、言い切れない部分もある。
この結果からは、9割が再発しないが、1割はする。
抗がん剤をすると1割の半分(0.5割)が助かるんだ。
あなたがそこに入るかもしれない。
とのことでした。」
0.5割にかけて、抗がん剤をすることについては、かなりの迷いがあります。
この再発とは、局所再発・遠隔転移も含めた再発率なのかは私はわかりません。
ガイドラインでは1.0とあるけれど、皆がそうはくくれないともおっしゃっていました。
おそらく、私の病状を見て1cm前後の目途としてお話ししてくれているのだと思います。
1.先生なら、私にどのような治療を進められますか
2.抗がん剤をした場合、しない場合の再発率、生存率 予後等をおしえてください。
またこの場合の再発率とは、局所再発・遠隔転移を含めたものでしょうか
3.抗がん剤のメニューに
UFTーE
CMF×6
(F)EC×4
(F)EC× 6
(F)EC×4→タキソテール×12
(F)EC×4→タキソテール4
とありますが、脱毛・閉経の副作用が少ないものはどの抗がん剤でしょうか。
またそれは、私にとって有効なメニューでしょうか。
4.トリプルネガティブの遠隔再発も局所再発も同じくらい予後が良くないのでしょうか。
自分ではこのまま抗がん剤なしで行って、局所再発という事態になれば、そのときには抗がん剤をようやくできる心境になるのではないかと思っています。
(都合よく考えていますが)
5、私の病理の結果より、リンパや血管に浸潤がないから私は楽観的に大丈夫と思ってしまっているのですが、このような結果でも遠隔再発することは、抗がん剤をしなければ1割あるのでしょうか。
多くの方からご質問がある中、時間を割いていただき恐縮です。
よろしくお願いいたします。
気持ちよく自分らしく生きられるよう最終的には自分で決めるものですが、後悔ない選択をしたいと思います。
田澤先生からの回答
こんにちは。田澤です
pT1c(11mm), pN0 早期乳癌ですね。
「この再発とは、局所再発・遠隔転移も含めた再発率なのかは私はわかりません。」
⇒遠隔際転移再発のことです。
局所再発は全く別の問題(マージンの取り方など手術要因により決まるもので、ステージなどとは全く別物です)
「1.先生なら、私にどのような治療を進められますか」
⇒トリプルネガティブですから
①腫瘍径≦5mm 無治療
②5mm<腫瘍径≦10mm 要相談
③10mm<腫瘍径 抗がん剤(アンスラサイクリン+タキサン)
質問者は11mmと「非常に微妙」ですが③に該当します。
ということで抗がん剤(アンスラサイクリン+タキサン)とします。
「2.抗がん剤をした場合、しない場合の再発率、生存率 予後等をおしえてください。」
⇒予後とは再発率や生存率のことの総称です。
再発率 | 10年生存率 | |
抗がん剤をしない | 17% | 93% |
抗がん剤をする | 9% | 95% |
「またこの場合の再発率とは、局所再発・遠隔転移を含めたものでしょうか」
⇒違います。
遠隔転移再発についてです。
○局所再発は手術要因で決まる因子です
「3.抗がん剤のメニューに UFTーE CMF×6 (F)EC×4 (F)EC×
6 (F)EC×4→タキソテール×12 (F)EC×4→タキソテール4 とあ
りますが、脱毛・閉経の副作用が少ないものはどの抗がん剤でしょうか。」
⇒UFTとCMFです。
ただし、標準治療ではありません。
「またそれは、私にとって有効なメニューでしょうか。」
⇒標準治療ではありません。
○これらのうち、5番目は「タキソテールではなく、タキソールの筈」です。
また、標準治療と言えるのは3番目のECx4と4番目のECx4→タキソールx12と5番目のECx4→タキソテールx4です。
ただし、本来そこにTCx4が入ります。
○トリプルネガティブとして「真の標準治療」は4番目のECx4→タキソールx12となります。
「.トリプルネガティブの遠隔再発も局所再発も同じくらい予後が良くないのでしょうか。」
→「局所再発はサブタイプとは無関係」
あくまでも「手術要因」です。(マージンの取り方など)
「自分ではこのまま抗がん剤なしで行って、局所再発という事態になれば、そのときには抗がん剤をようやくできる心境になるのではないかと思っています。」
→これは勘違いです。
局所再発の際には「抗ガン剤」ではなく、「乳房全摘」です。
♯あくまでも「手術要因」です。
「5、私の病理の結果より、リンパや血管に浸潤がないから私は楽観的に大丈夫と思ってしまっているのですが、このような結果でも遠隔再発することは、抗がん剤をしなければ1割あるのでしょうか。」
→上記に「再発率」を記載したとおり、抗がん剤をしなければ「17%」なり、抗がん剤による上乗せは「8%」あります。
質問者様から 【質問2】
田澤先生こんにちは。
質問に回答いただきとても参考になりました。
ありがとうございます。
週明けの診察で、主治医に今後の補助治療の返事をしなければいけないため、1週間空けずに質問をすることとなり、
申訳ありません。
再発率とは遠隔転移率であること、そして私の再発率は担当医がいうよりは高いことがわかりました。
抗がん剤なしでも、83%は発症しないとの見方をすると、やはり抗がん剤は迷います。
ただし、17%発症するのですね。
抗がん剤をすると91%は大丈夫。
数字の見方、とらえ方は不思議ですね。
追加でのお尋ねしたいことがあり、下記記載します。
1.私の再発率について、17%というのは、条件設定はどのようなものですか。
(浸潤径とリンパ節転移の有無、トリプルネガティブであることでしょうか?)例えば核異形度や、リンパ管や血管の浸潤あり・なしは算定に考慮されているものでしょうか?
自分では、「取った細胞にもなく浸潤なく、リンパ管も通ってないから大丈夫の確立は83%以上あるはず。」と思ってしまいます。
2.仮に、浸潤径が9.9ミリだった場合、再発率はどうなりますか?変わりますか?
3.標準治療ではない場合の副作用が少ない「UFT、CMF」をした場合の上乗せ率は、
前回お示しいただきました8%ですか?
標準治療ではないならリ効力が低い?もっと、抗がん剤の上乗せ率は下がりますか?
4.微小ながん細胞がリンパ節を通り越している場合、生活習慣を見直し、心身健康に保っても、その細胞というのは、自分の免疫で消えないものなのでしょうか?
消す方法は抗がん剤だけですか?
この病気になった心当たりに睡眠不足とイライラと両親の看護等大変な苦労がありました。
病気のことは大変ショックでしたが、仕事をしながら、子供たちの受験、私が一人娘でしたのでガンを患った母親のサポートから喪主としての見送り、
そして、認知症を患った父親の案じと喪主としての送り、さらには自身の人間関係の悩み、これら時間がないことに
よる食生活の乱れの上、自分でも何かしておかなければとの無理強いから、週末には資格取得のための専門学校通い。
ずいぶん無理のあることをし、睡眠時間が4時間前後でした。
無理をするな。
と体が知らせてくれたのだと思っています。
ですので、私は、抗がん剤ではなく、自分自身の体の強さを信じたい気持ちでいっぱいです。
このサイトがあることで大変参考になり、ありがたく感謝いたします。
日々の多忙の中継続に努めていただき、助かります。
本当にありがとうございます。
田澤先生から 【回答2】
こんにちは。田澤です。
「1.私の再発率について、17%というのは、条件設定はどのようなものですか。」
⇒浸潤径
リンパ節転移の有無
ホルモンレセプター、HER2
年齢
グレード
○リンパ管や血管の浸潤あり・なしは算定に考慮されていません。
「2.仮に、浸潤径が9.9ミリだった場合、再発率はどうなりますか?変わりますか?」
⇒殆どかわりません。
「3.標準治療ではない場合の副作用が少ない「UFT、CMF」をした場合の上乗せ率は、前回お示しいただきました8%ですか?標準治療ではないならリ効力が低い?もっと、抗がん剤の上乗せ率は下がりますか?」
⇒CMFは「標準治療と数字的にはそれ程かわらない」とは思います。
ただUFTは「CMFに対して非劣勢を証明できなかった(つまり劣っている)」わけです。
勿論、「上乗せ効果などの数字は不明」です。
「4.微小ながん細胞がリンパ節を通り越している場合、生活習慣を見直し、心身健康に保っても、その細胞というのは、自分の免疫で消えないものなのでしょうか?
消す方法は抗がん剤だけですか?」
⇒生活習慣による効果は証明されていません。
トリプルネガティブで唯一証明されている再発予防治療は「抗ガン剤だけ」です。
質問者様から 【質問3】
田澤先生、ありがとうございます。
かかっている病院は、情報開示請求をしないと、病理結果をもらえなかったので、
詳細を今日もらいました。
帰宅後、結果を読んでおりましたら、文面で気になるところがあるので、ご助言をお願いします。
下記「5」について、
とった細胞からいえることは、顔つきが悪いが、核分裂が盛んでなかったということでしょうか。
(大変悪いマフィアのボスが、デンと構えてあんまり子弟を増やしていない状況で採取されたのでしょうか。
これが、暴れだしていたら・・・と思うと怖いです。
また、体のどこかに、このようながんが新しくできてこないかも心配事項です。)
※病理結果には、nuclear garade 2 (atypia score 3 mitotic score 1) historogical grade 2 (tubule foemation 2 : 3+1+2=6) との記載があります。
これらと関係していますか?
「6」について
記載の仕方から、「なんだかわからないけど・・・一応、乳管癌にしておこう。」といった印象を受けます。
病名を指定しにくいタイプだったのではないかと。
粘液癌、もしくは、乳頭がんの可能性はありますか。
「7」について
通常の乳がんと異なるパターンとはトリプルネガティブということでしょうか?
それとも、例えば、胃や腸にできてもおかしくない腫瘍が、たまたま乳房にできたということでしょうか?
「文面全体」について
私にあった腫瘍は、「これ」と指定できるものではなく、バラエティ乳がん?
だとしたら、どんなものが体内に潜んでいるかもしれないので余計に補助治療が必要でしょうか。
「6」「7」について
セカンドオピニオンで再度、結果を検討してもらった方がよいのでしょうか。
腫瘍の部分は右内側上の1か所でした(右AE領域)
パチンコ玉ができているような感じで、少々痛みがありました。
浸潤径:1,1×1.0×1.1
文面↓
「1.切除検体。5×4×2cm 割面では、白色充実状、境界明瞭な結節を認める。
2.組織学的に腫瘍は、小塊状、あるいは拡張した不整な腺管を形成して浸潤する。
3.腺管内部には(タケカンムリに師の漢字)状構造や、低乳頭状の構造がみられる。
4.腫瘍は、繊細な線維血管性の間質に隔壁され、粘液癌あるいは、微小乳頭癌のように、
空間に浮遊しているように見えるが、細胞外粘液は、はっきりせず、また微小乳頭癌様の配列も示さない。
5.腫瘍細胞は、多彩で、核小体の目立つ類縁形の核を有する立法状のものや、円形状のものや、合胞体状のものがみられる。
壊死は認められず、核分裂像は稀である。
6.浸潤性乳管癌とするが、トリプルネガティブでCK5/6(-)、AR(-)、GATA-3は非常に少量が陽性である。
7.免疫染色では、通常の乳がんとは異なるパターンを示す。
8.CDX2(-)、PAX8(-)で消火器、婦人科臓器、腎等からの転移を示す所見はない。
DCISは認められない。
切除断端は陰性。
上記により、ホルモン等の感受性があるか、遺伝子検査ができるかを再度調べていただきましたが、
本日、ER,PGR,HERS2 すべてスコアが0であることもおしえていただきいました。
また遺伝子の検査も意味はないと言われて、化学療法の詳細説明を聞くことになりました。
どうしてもやった方がいい場合は、CMFにしたいです。
田澤先生から 【回答3】
こんにちは。田澤です。
「下記「5」について、とった細胞からいえることは、顔つきが悪いが、核分裂が盛んでなかったということでしょうか。」
⇒そういうことです。
「※病理結果には、nuclear garade 2 (atypia score 3 mitotic score 1) historogical grade 2 (tubule foemation 2 : 3+1+2=6) との記載があります。これらと関係していますか?」
⇒mitotic score1が細胞分裂が少ない(10視野で5未満)ことを示しています。
「病名を指定しにくいタイプだったのではないかと。粘液癌、もしくは、乳頭がんの可能性はありますか。」
⇒普通の浸潤性乳管癌です。
「通常の乳がんと異なるパターンとはトリプルネガティブということでしょうか?
それとも、例えば、胃や腸にできてもおかしくない腫瘍が、たまたま乳房にできたということでしょうか?」
⇒かなりマニアックな記載です。
細かい記載は気にしない様にしましょう。
「私にあった腫瘍は、「これ」と指定できるものではなく、バラエティ乳がん?だとしたら、どんなものが体内に潜んでいるかもしれないので余計に補助治療が必要でしょうか。」
⇒考え過ぎです。
「セカンドオピニオンで再度、結果を検討してもらった方がよいのでしょうか」
⇒無意味だと思います。
治療には全く影響をあたえません。
「また遺伝子の検査も意味はないと言われて、化学療法の詳細説明を聞くことになりました。」
⇒ここでいう遺伝子検査とは「Oncotype DX」のことですか?
それであれば、triple negativeには適応がありません。
また、もしも「遺伝性乳癌であるかの遺伝子検査と言う意味だったとしても」治療法に何ら影響をあたえないのです。