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トリプルネガティブ乳がんについて

[管理番号:1103]
性別:女性
年齢:47歳
田澤先生、はじめまして!
6月に右胸にしこりを発見し、7月病院でマンモ、エコ、生検した結果乳がんと診断され、8月7日に右乳房温存、センチネルリンパ節生検の手術をしました。病理報告は以下の通りです。
右胸 rt.breast carcinoma
invasive ductal carcinoma, solid tubular(2a2>2a3)の組織像
22×19×20mm(浸潤癌部)(病変全体=浸潤癌部)
組織波及度f、 腫瘍間質intermediate 、浸潤様式 INF-β ,ly0,v0
乳管内進展(-)、リンパ節n(-)#SLN 0/2 、切除断端 外科剥離面(-)
SBR 管腔形成2・核異型3・核分列数2、grade2
(取扱い規約) 核異型3・核分列数2、grade3
ER 0%(-) 、PR 1%未満(-) 、HER2 0(-)
核クロマチンの濃染を示す不整形核と好酸性の細胞質を持った carcinoma cells が充実性あるいは索状に増殖しています。腫瘤の中心部に壊死巣を伴っています。
これはいわゆるトリプルネガティブですね。色々調べていくうちに気持ちも沈みますが、積極的に治療をしなくてはとも思います。そこで田澤先生のところにたどり着きまして、いろんな質問を読み漁り、大変勇気を頂きました。私も田澤先生のアドバイスを頂けたらと思います、よろしくお願いいたします。
①ネットで調べますと、ki67という数字がよく目にしますが私の場合それがないので、やはり調べてもらったほうが治療の参考になるでしょうか?それと「(取扱い規約) 核異型3・核分列数2、grade3」とありますが、その前に「SBR 管腔形成2・核異型3・核分列数2、grade2」とも書いてありますし、私のグレードは2なのか3なのか、よく分からなくなりました。
②主治医の先生からこれは比較的に早い段階の乳がんで、転移もないしきれいに取り除いてますので、まずは放射線治療をしますと。ただ、その後の治療について、はっきりとはおっしゃらずに、そのまま無治療か、抗がん剤6ヶ月間するか、経口抗がん剤2年間飲むか、自分で考えて決めて下さいといわれ、正直びっくりしました。私は素人で始めて乳がんにかかり何も分からないのに、とても答えが出せると思えません。大変困りまして田澤先生に教えていただきたいです!この3つの治療法で何が一番よいでしょうか?経口抗がん剤は副作用が少ないと聞きますし、髪の毛もあんまりぬけませんので、魅力的といえばそうかもしれませんが、それで再発を防ぐことはできるでしょうか?私としましては、難しくて希望は薄いと承知してますが、完治を目指したいので、ぜひ田澤先生のご意見を聞かせてほしいです。よろしければ使う抗がん剤なども教えていただければと思います。
③田澤先生のQ&Aを拝見して、抗がん剤について術前に行うとある程度効果の程がわかりますが、私みたいに術後に行うと、実際にこの抗がん剤では効いてるかどうかの判断基準はありますか?それともこれしかないので、人事を尽くして天命を待つ状態なんでしょうか?
④私の場合、未だにMRIやCT、骨シンチなどの検査をしたことがないし、主治医の先生からもそういった検査の話は出ませんけど、もしかして遠隔転移や原発癌周辺に異変があったらと思うと不安です、やはり検査したほうがいいでしょうか?私の場合、既に転移している可能性はどれくらいですか?またこれから再発や転移する可能性はどれほどありますか?生存率はどのくらいでしょうか?
⑤私の場合、この乳がんは遺伝性の可能性があると思います。母が40代で卵巣がんになり(もう30年前で、今は完治してます)、叔母(母の妹)も40代で卵巣がんになり、闘病生活3年ほどで亡なりました。そういう場合は何かの検査で発ガン原因を突き止め、より良い治療法というのはありますか?また研究段階の新薬もたくさんあると聞きまして、近頃に認可された新薬ありますか?
⑥乳がんになり、今までのいろんな生活習慣を見直してます。ネットでもよく目にする食事の注意やアルコール、運動など、田澤先生の観点から注意点などを聞かせていただきたいです。あと、高濃度VC点滴やフコイダンなどのサプリメントについてもご意見をいただけたらと思います。
とても長くなりましたが、毎日が不安でこういった直接聞けるところにたどり着いて、大変嬉しくなってついつい…!田澤先生の答えはいつも適切で分かりやすく、す~っと心に入って納得できますので、信頼してます。お忙しい毎日の合間で大量の質問にお答えいただき、大変なご労力を要するものだなと思います。田澤先生の患者さんを思う気持ち伝わってきて、大変敬意を持ちます。ほんとにありがとうございます!
 

田澤先生からの回答

 こんにちは。田澤です。
 pT2(22mm), pN0, triple negativeですね。
 但し、ly0, v0なので「充実腺管癌、中心壊死」と共に考え合わせると「局所で膨張性に急速増大」したが、「転移していく所見に乏しい」タイプと言えます。

回答

「やはり調べてもらったほうが治療の参考になるでしょうか?」
⇒何の参考にもなりません。
 「Ki67」はルミナールタイプに対し、「化学療法をするべきか?否か?」という参考にすぎません。
 治療法がすでに決まっている「トリプルネガティブやHER2タイプ」で行う意義は全くありません。
 
「私のグレードは2なのか3なのか、よく分からなくなりました」
⇒グレードは3です 
質問者は以下の★に相当します。
(参考までに)
「核グレード」は「核異型の点数」+「核分裂の点数」です。
・核異型 
弱い:1点
中間:2点
★強い:3点
・核分裂 
5個未満(10視野で):1点
★5~10個(10視野で):2点
11個以上(10視野で):3点
・核グレード(NG) 核異型の点数+核分裂の点数
2点、3点 :核グレード1 
4点    :核グレード2
★5点、6点 :核グレード3 
 
「その後の治療について、はっきりとはおっしゃらずに、そのまま無治療か、抗がん剤6ヶ月間するか、経口抗がん剤2年間飲むか、自分で考えて」
⇒これは正直驚きました。
 担当医は乳腺外科医ではないのでしょうか?
 それとも、標準治療に従う事を良しとしない「going my way type」なのでしょうか?
 標準治療としては「抗がん剤6ヵ月=アンスラタキサン」です。
 私も「アンスラタキサン」を勧めます。
 ○「無治療」も「経口抗がん剤2年間(これはUFTの事ですが)」も、決して「勧める」ことはありません。
 70歳以上とか、本人が「脱毛など点滴抗がん剤はどうしてもしたくない」という際に、考えるべきもので『最初から提案されるべきものでは無い』と思います。
 
「難しくて希望は薄いと承知」
⇒明らかな誤りです。
 標準療法である「アンスラタキサン」を行えば、80%程度で根治します。
 「根治の希望が薄い」というのは「明らかな誤り」です。
 
「使う抗がん剤なども教えていただければ」
⇒アンスラタキサンは「アンスラサイクリン」と「タキサン」の組み合わせです。
 「アンスラサイクリン」3週間に1回(計4回)
 薬剤 
 ファルモルビシン(+エンドキサン併用)
 「タキサン」にはドセタキセルとパクリタキセルがあります。(そのどちらかを行います)
 薬剤 
 パクリタキセルならば毎週投与で12回
 ドセタキセルならば3週間に1回(計4回) 
 
「実際にこの抗がん剤では効いてるかどうかの判断基準はありますか?」
⇒ありません。
 ご本人のいうように「人事を尽くして天命を待つ状態」なのです。
 ○使用する抗がん剤は(再発しない限り)「アンスラサイクリンかタキサン、もしくはその両方」しか適応がないのです 「効かないから替える」と言う事ができない以上、「やるべき事はやって(人事を尽くして)、効果(再発しない)を期待」するべきです。
 
「私の場合、未だにMRIやCT、骨シンチなどの検査をしたことがないし、主治医の先生からもそういった検査の話は出ません」
⇒珍しいですね。
 私は「PETや骨シンチは不要」だと思っていますが、「温存する場合には、乳房内の拡がりを必ずMRIで確認」するようにしてます。
 「(転移は無いとは思いながらも)全身検索としてCTを」撮る事が多いです。(これは省略してもいいとは思っています。 ただ、患者さんの方で心配されることが多いので撮影しているのが現状です)
 
「やはり検査したほうがいいでしょうか?」
⇒(もう温存術が終了して断端陰性が解っているのだから)乳房MRIは不要です。
 それと、「遠隔転移は、ほぼ確立ゼロ」と思います(経験上)ので、(ご本人が、どうしても確認しないと不安という気持でも無い限り)CTも骨シンチも不要です。
 
「既に転移している可能性はどれくらいですか?」
⇒上術のように、「ほぼゼロ」と思います。
 
「またこれから再発や転移する可能性はどれほどありますか?」
⇒アンスラタキサンを行えば、20%前後となります。
 
「生存率はどのくらいでしょうか?」
⇒85%前後になります。
 
「私の場合、この乳がんは遺伝性の可能性があると思います」
⇒身うちで「卵巣癌」がお二人いらっしゃって、ご本人が「トリプルネガティブ」であれば、可能性はあります。
 
「何かの検査で発ガン原因を突き止め、より良い治療法というのはありますか?」
⇒遺伝性乳癌卵巣癌症候群なのかは「遺伝カウンセリング」を受けた上で「遺伝子検査」をすれば解ります。
 しかし、「治療法」に変わりはありません。
 普通に「トリプルネガティブとして」アンスラタキサンとなります。
 
「また研究段階の新薬もたくさんあると聞きまして、近頃に認可された新薬ありますか?」
⇒ありません。
 いろいろ期待された薬剤はありましたが、「現段階」では「有効と証明された薬剤」はありませんし、認可もされていません。
 
 ○繰り返しますが「アンスラタキサン」なのです。
 
「食事の注意やアルコール、運動など、田澤先生の観点から注意点などを聞かせていただきたい」
⇒食事は「イソフラボン」がいいようですが、「豆腐や味噌汁など和食がいい」と思います。(閉経後の脂肪も良くないので)
 アルコールは「飲みすぎなければ」いいと思います。
 運動は「健康な生活が免疫力を上げる」こともあるだろうし、「生活習慣病」にもいい筈です。
 
「高濃度VC点滴やフコイダンなどのサプリメントについて」
⇒以前のQandAでもコメントさせてもらったのですが
 これらは「有効では無い」というのが結論です。
 
★質問者の場合は、「早期乳癌」であり、「ly0, v0 =脈管侵襲もない」ので、極めて局所でのみ増殖という印象を受けます。
 治療意欲も感じられますので、是非「アンスラタキサン」で頑張ってください。
 
 

 

質問者様から 【質問2】

メッセージ本文:
田澤先生、こんにちは。
お忙しい中迅速にご返信をいただき、ほんとに感謝感謝です!安心の出来る駆け込み
寺がある感じで、大変助かっております。
とても分かりやすくて、素人の私でもすぐに理解できました。先生に背中を押され治
療法もはっきり分かってきたし、再発や転移などの心配はありますが、予後もさほど
悪くないことで、前向きに「アンスラタキサン」でがんばらせていただきます。あり
がとうございます!
あと少し質問させてください。
私が治療を受けているのは乳腺外科専門の個人病院で、主治医の先生は乳腺外科医で
間違いないです。当時はとにかく早く診察及び手術が出来る病院を探しました、残念
ながら田澤先生の病院を見つけることが出来ませんでした。後に考えてみるとその病
院で今まで受けた治療などの過程で疑問を感じることは多々ありました。
最初に3Dマンモ、エコ受けて、中心に壊死(のう胞?)があると言われ、大人しい
タイプの癌で根治できるとのことで、針生検をして帰りました。その次に行った時に
生検の結果は浸潤性乳管癌と伝えられ、その時に何日後に手術することを決めたが、
トリプルネガティブという話はまったく出ませんでした。三回目(手術の日)、到着
してから、「浸潤癌なので、リンパもやりますか?」と聞かれ、「はい」と答えてか
らセンチネルリンパ節生検をする運びになったんです。手術は日帰りでほんの4時間
で帰途に着いたのも、後に調べてみたら大概の方は何日か入院するんですね。当時は
あんまりにも乳がんに対して知識がなく、大人しい癌と言われて、ろくに自分で調べ
もしなかったのがいけませんでした。
まず、もしトリネガもしくはステージ3と分かれば、遺伝性も考慮して全摘を選んだ
かもしれませんのに、手術までに温存以外の選択肢がまったく提示されませんでし
た。それとのう胞があるのに生検で癌細胞が散らばるかもしれないと、田澤先生が書
いたことがあるのを思い出して、私の場合散らばっていないのかしら?と冷や汗で
す。更にセンチネルリンパ節生検って手術当日に決めるものでしょうか…と思って
しまいます。田澤先生も仰ったように、MRIしない(その病院にはMRI設備がない)で
手術や、治療法はっきりしない等など考えると、主治医との信頼関係が大事で腕のよ
い先生だと信じておりますが、少し気が重いです。
通っている病院では放射線治療の設備がないから、他の病院で受けることになりま
す。もう手術してから一ヶ月以上経ちますけど、まだ紹介状頂けず、それで放射線治
療のタイムリミット的に大丈夫でしょうか?もし田澤先生の病院で放射線治療という
のは受けることできるでしょうか?どのくらいの待ち期間になるでしょうか?今まで
ほとんど病気したことがなくて、知識が乏しく四苦八苦している状態で、どうかよろ
しくお願いします。
 

田澤先生から 【回答2】

こんにちは。田澤です。
個人病院との事、何となく診療の状況が解りました。
「標準治療に固執しなくてもいい」とは思いますが、「提案もしない」のは今の時代
やはり問題はあるように思います。(私の私見です)

回答

「それで放射線治療のタイムリミット的に大丈夫でしょうか?」
⇒大丈夫です。
 術後照射は術後5カ月以内に開始すれば大丈夫です。
 
「もし田澤先生の病院で放射線治療というのは受けることできるでしょうか?」
⇒可能です。
 当院は「トモセラピーを3台持っている」ので「十分対応」できますし、実際に他
院からの受け入れも多い病院です。
 心配ありません。
 直接「担当医から当院の放射線科 ハ○医師宛に紹介していただければOK」です。
 
「どのくらいの待ち期間になるでしょうか?」
⇒私が院内紹介をしている感覚だと、「1カ月位」だと思います。
 質問者がどちらにお住まいなのか、不明ですが「30回通院」大丈夫でしょうか?

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