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トリプルネガティブ 今後の治療について

[管理番号:7312]
性別:女性
年齢:51歳
病名:
症状:

はじめまして。

お忙しい中、貴重な一枠をいただき、感謝いたします。
よろしくお願いします。

2月末に近所のクリニックにて左乳ガンが判明致しました。
その際はエコーにて1センチ程度の小さいものなので命にはかかわらないよ。
大丈夫と言っていただき、がんばって治そうと思っていました。

その後、3月半ばに大病院にて色々検査した結果、しこりは最大で2,4センチ(MRI)、
ER5%、PgR1%、Her21+、ki67 60%と判明し、トリプルネガティブに準じた治療をしましょうということになりました。

化学療法は術前をすすめられましたが、一刻もはやく取り除きたい気持ちが強く、術後にし、手術は来週の予定です。

そこで、不安がたくさんあるため、いくつか質問をさせてください。

①ki67が高いと進行速度がはやいときくのですが、どの程度はやいのでしょうか。
ネットなどみているとありえないスピードの方もおられ、怖くてたまりません。
最近、左胸がチリチリするのでどんどん広がってないか不安です。

②術前化学療法だと、先週にははじめられたと思うのですが、私が術後を選んだので二週間あいてしまいました。
この選択は正しいのかいまだに悩んでいます。
大丈夫でしょうか。

③トリプルネガティブでなおかつki67が高いと再発率が高いとよくみかけるのですが、これは術後に化学療法をしても変わらないでしょうか。
また、どのくらいの確率で再発せずに完治できるでしょうか。

④ホルモン感受性は全く期待できないということでしょうか。

これから、手術、化学療法と強い気持ちで立ち向かわないといけないってわかっていますが、悪い情報ばかり目に入り、なかなか受け止めることができません。

田澤先生、よろしくお願いします。

 

田澤先生からの回答

こんにちは。田澤です。

「①ki67が高いと進行速度がはやいときくのですが、どの程度はやいのでしょうか。」
→考えすぎ!(USとMRIでの評価の違いは当たり前)もしも同じなら、両方やる意味が無いですよね?

「最近、左胸がチリチリするのでどんどん広がってないか不安」
→10000%無駄な不安です。『今週のコラム 111回目 大事なことは、これら①~④の病気など世の中には無いのです。それは(我々医師には)自明なことなのです。』を熟読ください。

「この選択は正しいのか」
→正しい。
 そもそも「トリプルネガティブだから術前抗がん剤を勧める」という方が誤りなのです。

「③トリプルネガティブでなおかつki67が高いと再発率が高いとよくみかける」
→10000%誤り(議論の余地なし)

「術後に化学療法をしても変わらないでしょうか。」
→化学療法は「術前にやっても、術後に行っても予後は同じ」(議論の余地なし)

「また、どのくらいの確率で再発せずに完治できるでしょうか。」
→術後病理がでてから考えましょう。

「④ホルモン感受性は全く期待できないということでしょうか。」
→少しはありそうです。

「悪い情報ばかり目に入り、なかなか受け止めることができません。」
→そんな「くだらない」情報を見るのは止めましょう。
 それはいつ?
 「今でしょ。」

 
 

 

質問者様から 【質問2 今後の治療について】

性別:女性
年齢:51歳
病名:
症状:

お忙しいなか、いつもありがとうございます。
こちらでわたしも色々勉強させていただいています。

4月中旬に手術をし、先日病理の結果がでまし
たので、再度ご相談させてください。

[病理結果]
浸潤径 16×11ミリ
ER 15%
PgR 0%
Her 1+
グレード3
Ki67 50%
センチネルリンパ節 -

ルミナールBという結果でした。

グレード3、Kiが高い、ホルモン感受性が極めて低い(PgR-もあり)などから、ハイリスクということで、今後の治療としてEC4クール後、パクリタキセルをやり、その後ホルモン剤ということになりました。

オンコタイプの話も少しでましたが、おそらく高リスクとでるだろう、それならはやく治療をすすめた方がいいと言われました。

わたしはTC4クールでいいのでは?と思ったんですが、グレード、Ki、ホルモン低感受性、年齢などから考えても、アンスラタキサンできちんとやる方がいいといわれました。

ステージ1で安心したのですが、主治医はそれより顔つきが悪いことが気になるようで、わたしも日に日に落ち込んでいます。

抗がん剤をやることで再発率をどのくらい抑えられるのか質問したところ、それはわからない、抗がん剤がきくかどうかは術前にやらないとわからないと言われ、なかなか前向きに頑張ろうとなれない自分がいます。

抗がん剤の効果もルミナールならそれほど上乗せがないという話もみたことがありますし、その上、ホルモン感受性が低いため、ホルモン剤の効果も期待できないとなるとやはり再発率が高いのではととても気になります。

①わたしの病理はやはりハイリスクで再発率が高いのでしょうか。
また、5年10年の生存率はどのくらいになるでしょうか。

②抗がん剤の選択はEC+パクリタキセルでいいでしょうか。
また、完遂すればどのくらい上乗せが期待できますか。

③わたしのような病理だと、オンコタイプをやる意味はないのでしょうか。

④ホルモン感受性が低いため、ホルモン剤も期待できないのでしょうか。

⑤田澤先生はステージが一番予後と関係するとおっしゃっていて、安心していましたがやはり悪性度が高いとステージよりは悪性度が予後と関係するのでしょうか。

1センチ以下の超早期の方でも、オンコタイプでハイリスクとでている方もいて、不安で仕方ありません。

⑥最近、腰痛があり不安です。
術後1ヶ月で転移とかありますか?

前向きに頑張ろうと思うのですが、これから苦しい治療をしてもすぐに再発してしまうのではないかという不安な気持ちでいっぱいです。

田澤先生、よろしくお願いします。

 

田澤先生から 【回答2】

こんにちは。田澤です。

1期、早期乳癌確定です。
おめでとうございます。(1期の10年生存率は95%位はあるでしょう)

「ステージ1で安心したのですが、主治医はそれより顔つきが悪いことが気になる」
→経験不足のようです。
 早期乳癌で再発することが如何に少ないのかは、(そもそも)統計(ステージ別生存率)で明らかですね。
 頭でっかちになると「木を見て森を見ず」細かいことだけに焦点が向くようです。

「抗がん剤がきくかどうかは術前にやらないとわからないと言われ」
→その医師に苦言をするのも嫌なのですが…

 「効くかどうか?」など(そもそも)判断すべきではなく、「サブタイプに応じた治療をしなくてはならない」という意識が足りないようです。
 ★術前に行って(目に見える腫瘍が小さくなったから)効くとか、(小さくならなかったから)効かないなどと判断して、勝手に治療を捻じ曲げることはあってはならないのです。

「5年10年の生存率はどのくらいになるでしょうか。」
→細かいところはOncotypeDXすると解りますが…

 冒頭で記載したとおり95%近くにはなるでしょう。

「②抗がん剤の選択はEC+パクリタキセルでいいでしょうか。」
→私だったらTCです。

「また、完遂すればどのくらい上乗せが期待できますか。」
→これはOncotypeDXしなくては解りません。

「③わたしのような病理だと、オンコタイプをやる意味はないのでしょうか。」
→Ki67が20-40%をグレーゾーンとして(その場合)私はOncotypeDXを勧めています。
 ただ、実際には50%でもlow riskとなることはあるので、患者さん側から希望があれば「積極的に」勧めています。

「④ホルモン感受性が低いため、ホルモン剤も期待できないのでしょうか。」
→15%は十分だと思います。

「悪性度が高いとステージよりは悪性度が予後と関係するのでしょうか。」
→違います。
 もしも、そうなら「ステージの意味」は?

 ステージとは予後の目安のためにあるのです。(そうでなかったらステージ〇期です。と言う意味がありますか??)

「1センチ以下の超早期の方でも、オンコタイプでハイリスクとでている方もいて、不安」
→??
 冷静になりましょう。

 ステージとOncotypeDXは無関係ですよ。(よく考えてみましょう)

「最近、腰痛があり不安です。術後1ヶ月で転移とかありますか?」
→確率的には
 無いでしょう。