[管理番号:690]
性別:女性
年齢:54歳
質問者様の以前の質問質問が新たな内容のため、別の管理番号としました。 |
早々のご回答、とても興味深かったです。
主治医の先生からは寛解という言葉を聞いたことがありませんでしたので、そういう例もあるんだなーとちょっと希望が出てきました。簡単ではないのでしょうが、ステージ4の人の寛解率はいかほどですか?あと、寛解したあと、その部分に再発がないケースもありますか?
トモセラピーについても私なりに調べてみました。主治医の先生にはまだ話していませんが、リンパ、肺、肝臓転移の私は、どういう場合に適用があるのですか?多発と言われているのでたくさんあるのは間違いないです。でも小さいそうです。
たとえまた出てきてしまうとしても、一度寛解という状態になるのとならないのでは延命期間に違いはありますか?治らないのはわかっています。でも少しでも長く生きられる可能性があるのなら、抗癌剤もトモセラピーも頑張りたいです。
田澤先生からの回答
こんにちは。田澤です。
「リンパ節多発転移、肺多発転移、肝臓多発転移」でホルモン療法中だと思います。
回答
「簡単ではないのでしょうが、ステージ4の人の寛解率はいかほどですか?」
⇒「寛解」には「完全寛解」と「部分寛解」があります。
これは「その人の治療歴」によって大きく異なります。
ただ、「術前後に一度も化学療法を行っていない」方ならば、タキサン(weelky投与)でかなりの高率で「部分寛解」となると思います。(正確な数字を持っていませんが、80%位)
Bevacizumabを併用すると更に強力です。
♯「完全寛解」に関しては、私の経験では「HER2陽性」タイプに多いです。
「寛解したあと、その部分に再発がないケースもありますか?」
⇒部位にもよります。
「縦隔リンパ節」や「小範囲の肺」では、「完全寛解が継続している」経験があります。
ただ、「肝」は一旦「寛解(例え、完全寛解でも)」しても「再燃し易い」印象はあります。
「トモセラピーについても私なりに調べてみました。主治医の先生にはまだ話していませんが、リンパ、肺、肝臓転移の私は、どういう場合に適用があるのですか?」
⇒実際のケースとしては、「化学療法など全身療法である程度コントロールされている」事を前提として
①リンパ節(便宜的に縦隔リンパ節としますが):
化学療法でかなり効果が期待できます。
「完全寛解」したら、その「元あった場所」へ照射するし、「部分寛解」ならば「その小さくなったリンパ節を狙って」照射します。
②肺、肝:
(多発しているとしたら)最も「大きな病巣」を含めて「近々問題となりそうな」病巣を選んで「照射」します。
実は、これは「脳転移と同じ考え方」です。
○化学療法などで「コントロール不良となった際の」症状緩和目的で「今、最も症状の原因となっている病巣をたたきQOLの改善を図る」事もあります。
「たとえまた出てきてしまうとしても、一度寛解という状態になるのとならないのでは延命期間に違いはありますか?」
⇒「単一の化学療法」だけでは差は出にくいですが、「寛解状態」を上手くコントロールすることで「延命期間に差」はでます。
ただ、「化学療法などの副作用の代償として得た延命期間が果たして患者さん本人にとってはどうなのか?」という議論があることは確かです。
○一般に20年以上完全寛解を維持できるのは「2-3%程度」といわれています。
患者さん本人の負担(副作用や経済的な面で)にならずに「十分な延命効果」が得られれば、十分意味はあると思っています。