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たくさんのしこり

[管理番号:1612]
性別:女性
年齢:40歳

田澤先生、こんにちは。いつもこのサイトで勉強させて頂いております。
先生のご意見を伺いたくメールさせて頂きました。

29歳より子宮筋腫の経過観察をかねて婦人科で胸のエコーを毎年してもらっています。
その頃から胸に痛みがあり、のう胞ができたり消えたりという感じでした。

5年前からは、会社の健診でマンモとエコーを受けています。

3年前のエコーから、左:BD間線維腺腫、右:D部乳腺症との診断を受け経過観察をしており、
今年6月の健診で左:BD間線維腺腫が増大傾向とのことで要精密検査となり、7月に大学病院へ行きエコー、マンモを再度受けました。 胸にしこりが複数あり、全て細胞診できないと言われ、(健診の指摘箇所と思われる)一番大きなしこりだけ細胞診してもらいました。

結果は「正常あるいは良性:左BD領域 血管性間質を軸とする乳頭状集塊を認める。
集塊に筋上皮細胞が存在している。構成細胞は多彩性。乳管内乳頭腫を推定」でした。
周りにガンの可能性がなくもないので、針生検か経過観察を提案され、器具を見せられ怖気づいて
3か月の経過観察を選びました。針の太さからマンモトームだと思います。

先日、再度検査に行き、エコーの結果はしこりの大きさに大きな変化なしとのこと。
今回は、婦人科の先生のすすめもあり針生検をお願いしたのですが、全て針生検できないし
1か所だけしても安心とは言い切れないからと、また半年後の経過観察となりました。
10月半ばのエコー結果です。
左:C領域 9×3 楕円形腫瘤 線維腺腫か乳腺症の疑い 著変なし
   A領域 6×4 分葉状腫瘤 線維腺腫の疑い 著変なし
   BD領域 10×7×11 分葉状腫瘤 境界明瞭平滑 後方エコー増強 血流なし。
   FNAにてIDP。この内側に13×2×11に乳管拡張を認める。 著変なし。

右:AC領域 8×4 内部に粗大石灰化を含む楕円形腫瘤 線維腺腫疑い 著変なし
   A領域 10×2、4×2 楕円形腫瘤 のう胞疑い 著変なし
   BD領域 8×4 分葉状腫瘤 線維腺腫疑い 著変なし
   DE領域 13×4 分葉形腫瘤 線維腺腫を考えるが周囲の乳腺と繋がるようにみえる。
   次回確認要。 ※7月のエコーにはありませんでした。

両側ともに低エコーが強く乳腺症か腫瘤か鑑別が難しい部分が多発。
左脇の痛みが強かったので、エコーをしてもらったところ、馬蹄形リンパ節を認めるのみ
との事でした。触診は、乳腺症の痛みが強かったので、きちんとできていません。
質問ですが、先生ならどのような検査をされるのでしょうか? このような状況で針生検はせず
経過観察でしょうか? 技師によるエコーだったので、専門医がエコーしてくれる小さな開業医に行こうか
迷っていますが、手術をする設備がありません。大学病院以外に県内に専門医がほとんどおらず、
悪性の場合、手術は家から通える距離となる大学病院を選びたいと思います。
違う病院にいくなら、今行くべきでしょうか? 3か月ほど待ったほうがいいでしょうか?

もし、どれか一つでも悪性があった場合は、私の場合は全摘になるのでしょうか?
5年前より子宮筋腫のため中用量ピルを服用しており、今回の件で超低用量に変えたところ
まだ痛みやだるさはありますが、驚くほど乳腺症の症状が治まりました。

でも、左胸の外側と下は局所的な痛みがあります。これは乳管拡張の痛みでしょうか?
出産経験はありません。

長々とすみません。お忙しい中申し訳ないですが、よろしくお願いいたします。
 

田澤先生からの回答

こんにちは。田澤です。

多発腫瘍ですね。
当然ながら、同様なケースは多々経験するところであり「自分なら」という感覚で
メールを読み進めていました。

回答

「質問ですが、先生ならどのような検査をされるのでしょうか?」
⇒勿論、針生検です。
 このケースであれば
 左BDはマンモトーム生検します。
 あとは、実際に「自分で超音波」した上で右も最低1個(BDかDEだと思いますが)は(バネ式)針生検すると思います。
 やはり、両側の場合は「最低1個ずつ」は組織診すべきです。
 
「このような状況で針生検はせず経過観察でしょうか?」
⇒経過観察など、全く考えられません。
 最低限、左BDは組織診すべき(できればマンモトーム生検)です。
 
「専門医がエコーしてくれる小さな開業医に行こうか迷っています」
⇒その医師は「手術していない」のですか?
 開業しても「提携病院で手術をしている」ことが多いのが乳腺外科医に多いスタイ
ルであり、それであれば「診断能は信頼できる」と思います。
 何故なら、「診断と治療(手術)は非常に密着」しており、「手術をすること」で
「診断の目が向上する」ことを実感しているからです。
 その意味で、「ほとんど手術経験の無いまま」「乳腺専門医」と称して 開業して
いるような医師(特に女性医師が多い)の診療は酷いものが多いと実感しています。
 それは、「紹介されてくる患者さんに対する診療から」常々感じているのです。
   
「違う病院にいくなら、今行くべきでしょうか? 3か月ほど待ったほうがいいで
しょうか?」
⇒待つべきではありません。
 「診断」するなら早い方がいいです。
 
「どれか一つでも悪性があった場合は、私の場合は全摘になるのでしょうか?」
⇒そんな事はありません。
 1つが癌だった場合、全ての腫瘍(のう胞は除く)は針生検(最低限、細胞診)すべきです。
 その上で、「他に悪性所見が無い場合」は当然「温存術」が選択されるべきです。
 
「左胸の外側と下は局所的な痛みがあります。これは乳管拡張の痛みでしょうか?」
⇒「乳管拡張」に痛みはありません。
 「ホルモンによる刺激症状」です。
 

質問者様から 【質問2】

この前はお返事ありがとうございました。
あれから検査してもらう病院を婦人科の先生に相談し、先月は体調を崩していたこともあり、ようやく金曜日に専門医のいる総合病院に かかりました。

会社の健診履歴と大学病院のレポートを渡し、針生検をしてほしい とお願いしましたが、検査の結果で決めるといわれました。
エコーは技師ではなく先生にしてもらいたいとお願いしたのですが、軽く触診だけ してくれ、エコーは技師がするのがうちのルールだからと、またエコー&マンモと 検査を受けました。
半年間に3回同じルーティン検査です。
病院選びですが、外科医が自らエコーしてくれるのと、専門医がいる病院で技師がエコーしてくれるのは究極どちらがいいですか?
あと細かい質問があるのですが、①乳頭腫は分泌はなしで細胞診も正常あるいは良性となっていても マンモトームをすすめるのは、まず乳頭腫の確定と近傍に病変がないかの 確認ですか?

②近傍の病変は、エコーでもわかるのですか?

③マンモトームをしてもらう場合、一度は医師によるエコーをしてもらう べきですか? ぶっつけ本番で大丈夫ですか?

④医師が自主的にマンモトームの必要性を感じなければ、無理にお願いするのは 諦めたほうがいいですか?こうなると、一般外科医の病院に行くしかないですが。

⑤細胞診した辺りのじーんとした痛みがずっと続いてます。
うつぶせになると 奥に石ころがあるような感覚です。
ピルの休薬中はほかのチクチクした痛みは 収まりますが、ここだけは痛みが取れません。
これもホルモンの刺激でしょうか?
とりあえず、火曜日にエコー&マンモの結果を聞きにいきます。

総合病院の先生も技師も、大学病院の先生(○○県で一番権威ある先生みたいです) に診てもらっているのに~とちょっと冷ややかです。
私一人がモヤモヤして騒ぎ過ぎてる感じです。
また長くなってしまいすみませんが、よろしくお願いいたします。

田澤先生から 【回答2】

こんにちは。田澤です。

「病院選びですが、外科医が自らエコーしてくれるのと、専門医がいる病院で技師が
エコーしてくれるのは究極どちらがいいですか?」
⇒そんな選択を私はできません。
「外科医」とは「一般外科医」ですよね?
 やはり、それは勧められません。
 
「専門医がいる病院で技師がエコーしてくれる」
⇒このパターンが意外に多い事に驚かされる毎日ですが、そんなとこばかりでは無
いでしょう。
 
「①乳頭腫は分泌はなしで細胞診も正常あるいは良性となっていても マンモトームをすすめるのは、まず乳頭腫の確定と近傍に病変がないかの 確認ですか?」
⇒「乳頭腫は細胞診で診断は無理」です。
 その意味で「組織診が必要」と思います。
 ただ、「針生検(バネ式にしろ、吸引式にしろ)」で「近傍の病変の評価」はできません。
 
「②近傍の病変は、エコーでもわかるのですか?」
⇒エコーでは解りません。
 私が想定しているのは(乳頭腫と)「同一乳管内にある、とても小さな病変」です。
 エコーで見えないレベルの話です。
 
「③マンモトームをしてもらう場合、一度は医師によるエコーをしてもらう べきですか? ぶっつけ本番で大丈夫ですか?」
⇒「ぶっつけ本番」と言っても、いざマンモトーム生検をする場合には「その医師
は、其の病変を超音波で確認する」のだから、何ら問題はありません。
 
「④医師が自主的にマンモトームの必要性を感じなければ、無理にお願いするのは諦めたほうがいいですか?こうなると、一般外科医の病院に行くしかないですが。」
⇒其の辺の事情は私には「解り兼ねます」が、「患者さんが希望しているのなら、検
査してあげればいい」と思いますが…
 
「⑤細胞診した辺りのじーんとした痛みがずっと続いてます。うつぶせになると 奥に石ころがあるような感覚です。ピルの休薬中はほかのチクチクした痛みは 収まりますが、ここだけは痛みが取れません。これもホルモンの刺激でしょうか?」
⇒「細胞診の影響」かもしれません。
 
「総合病院の先生も技師も、大学病院の先生(○○県で一番権威ある先生みたいです) に診てもらっているのに~とちょっと冷ややかです。」
⇒この辺の感覚は私には「理解不能」です。
 大学病院の医師などは「絶対的な診療経験に乏しい」わけで、「権威」など何の足しにもなりません。

質問者様から 【質問3】

術前抗がん剤
性別:女性
年齢:47
病名:浸潤性小葉癌
症状:痛み、痒み、変形
投稿日:2023年5月19日

田澤先生、以前は大変お世話になりましてありがとうございました。

残念なことに、5月(上旬)日に浸潤性小葉癌の告知をされました。

あれから信頼のおける乳腺科医に巡りあえず、近年は外科の先生によるエコーとマンモで経過観察をして頂いておりました。

昨年夏、右胸の下部(B~D領域)に乳腺症とは違う痛みと熱を感じたので、診察を受けたところ、炎症だろうと抗生物質を処方されました。
 その時は、痛みと熱がおさまりました。
また冬頃から痛みが戻ってきていたのですが、乳腺炎だろうと放置してしまいました。
大変、反省しております。

転院の経緯は省略しますが、現在は以前にかかった大学病院にて抗がん剤→全摘→放射線→ホルモン療法10年の診察を提示されています。

以下は、4/(中旬)に受けた針生検の結果です。
ER:10%以上
PGR:10%以上
HER2:1+
MIB-1陽性率:10%
腫瘍径:エコーで測りきれない。
5cm以上の扱いです。
しこりというより散らばっているタイプだそうです。

リンパ節細胞診1か所:Negative
この数値より腫瘍内科医からは(患部を見ておりません)、おとなしい癌と言われましたが、私の胸の現状は乳輪より下半分の皮膚が肥厚しざらざらして内側に変形しております。
日常もヒリヒリと痛みがありますし、お風呂に長く浸かると、しみて痛いです。
 出血はありませんが、これは皮膚浸潤に該当するのですか?

以下は、4/(下旬)に受けた単純CT(咳喘息のため)の結果です。

肺転移を指摘できません。

肝臓に影あり。
転移を否定できない。
→5/(上旬)の腹部エコーにて良性血管腫だろうとの判断。

前縦隔腫瘍あり(胸腺腫か?)→主治医は年齢的によくある良性胸腺腫だろうとの判断。

両腋窩に小リンパ節はみられるが、有意な腫大は指摘できません。

主治医からも腫瘍内科医からも腫瘍が大きいので術前抗がん剤を勧められています。

抗がん剤が効かなければ、転移する可能性があることは私から確認しました。

抗がん剤は半年継続で、途中で大きくなった時だけ手術に切り替えると言われています。

5/(中旬)に左胸しこりのマンモトーム、右脇2か所の細胞診を追加で行い、5/(下旬)に結果報告があります。

5/(下旬)の結果の前に、5/22には手術先行か術前抗がん剤か返事をしないといけないのですが、
田澤先生、端的に、術前抗がん剤をしたほうがいいでしょうか?

手術先行にするなら、病院の都合で手術枠がすぐにないので、自分で病院を探して下さいと、言われています。
日がなさ過ぎますし、病院を探せないリスク、病状の不安要素が多すぎますので、今月末から抗がん剤治療から始めた方が無難でしょうか?
抗がん剤が効きづらいタイプだけど、効かないわけではないと言われ、踏み出せません。

また、ルミナールAは抗がん剤が効きづらいという記事を目にしますが、遠隔転移やリンパ転移があった際は、効果が出やすく
なるのでしょうか?

長々と申し訳ございませんが、助言を頂けると大変ありがたいです。

田澤先生から 【回答3】

こんにちは。田澤です。

5/(下旬)の結果の前に、5/(下旬)には手術先行か術前抗がん剤か返事をしないといけないのですが、
田澤先生、端的に、術前抗がん剤をしたほうがいいでしょうか?

⇒メール内容をみると…

「現状は乳輪より下半分の皮膚が肥厚しざらざらして内側に変形」しているようなので、現状「手術不能」なのでは?
そうであれば術前抗がん剤が必要となります。

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再質問をする場合、下記日付以降にしてください。
2023/5/29
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