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初診の対応について

[管理番号:1123]
性別:女性
年齢:64歳
お忙しい中、恐縮ですが、相談させてください。
母に、えくぼ状のものと、しこりがあることを申告され、
急いで近くのがんセンターへ付き添って行きました。
その日に、マンモグラフィーとエコーにより、悪性が疑われると言われました。
そこから矢継ぎ早の流れ作業と言わんばかりに、
マンモグラフィーの断面2方向のディスプレイ表示と、
縦幅1.3cm、横幅1.8cm、エコー最大幅(片側モヤモヤの2.3cm)の説明(早すぎてマンモ
画像との対応関係も認識できず)、
細胞診?(細い針としか説明受けてません)を受け、
MRI+針生検?(局部麻酔と太い針と聞きました)の予約と、月末にCT+検査結果の判断の
予約
最後に、”血液検査受けてって”と言われ
診療終了でした。
入室した際には”同席してもらっても何も話すことないけど”と言われ
あまり質問の機会も与えられず、聞くと、”まだわからないから何も言えない”と言われ、
ディスプレイにずっと顔を向けたままデータを見せられただけの診察でした。
こちらは、悪性に動揺したうえ、話が早すぎてついて行けず。
リンパについても、エコーされたものの、
首までエコーしてたみたいですけどと聞くと、”それは通常誰でもやります”と言わ
れ、ターゲット以外の全体には何も言及してもらえませんでした。
とても迅速な種々検査の手配には有難く感じておりますし、
検査データが全く出揃っていないため、何も言えないと仰ることに承知はしておりま
すが、
初診の対応はこんなものが普通でしょうか?
症状と、マンモグラフィーの結果の場所が、
乳房の内側上の方で、且つ、かなり胸壁?(左右対称画像の中央)寄りだったこともあ
り、素人目で見た画像から、嫌な気がして、
骨転移や手術できない可能性があるかの不安がたくさんで、
初診ながら、初診だからこそ聞きたいこともありましたが、
あまり対話が成り立たず、不安が解消されるような言葉もありませんでした。
一般に手術ができれば良い方で、できないこともあると言われたことも、
何かしら見当があるのかと不安に駆られました。
エコーでの最大幅も、実際はわからない3cmくらいあるかもしれないし。と言われま
した。
次回の予約もさっさと決められ、このような診察が続くと、情報も少なく、良いか悪
いかもわからずまま、急ぐべきこともあり、十分に納得しないまま治療が始まってし
まいそうな不安を、母も私も持っています。
先生が、お忙しい中でもご親切ご丁寧に回答されていること、
回答でも診察や執刀のご経験からはっきり明言されていることや、いまの担当医が若
い方である点、
先生はドレーンを使われないという利点を拝見したことも踏まえ
先生に転院も検討に入れセカンドオピニオンさせていただきたいとも検討しています
が、診ていただくことはできますでしょうか(本人は了承済みです。担当医には伝え
ていませんが。)
検査結果は、月末に揃います。その頃の予約はいまからでも可能でしょうか?
また、予約の際、もし手術ができる状態であれば、手術までのおおよその待ち期間も
お伺いできるのでしょうか?
母には、予後状態も認識した納得のいく治療、できるなら安心して手術を受けてもら
いたいのです。
よろしくお願いいたします。
 

田澤先生からの回答

こんにちは。田澤です。
メール内容は了解しました。
「癌センター」らしい(大学病院も同様)医師、対応だと思います。

回答

「検査データが全く出揃っていないため、何も言えないと仰ることに承知はしており
ますが、初診の対応はこんなものが普通でしょうか?」
⇒そんな事はありません。
 本来は全体像を示さなくてはなりません。
 ○私であれば、以下をお話します。
  ①癌の疑いが強いこと
  Ⅱ腫瘍径及び、リンパ節転移の(疑いの)有無…これは超音波して判断すべきも
のです。
 ○また、(その日の内に)針生検(マンモトーム生検とする事が多いですが)しま
す。
 そして全体像についてお話します。
  まず、手術先行となるかどうか(小さくして温存以外に術前化学療法の適応はあ
りません)
  温存の場合には、術後に放射線治療を行うこと
  再発予防として術後薬物療法は必ずあり、その選択には「本日行った組織検査の
結果でわかる腫瘍の性質(サブタイプ)が重要」であること
 
 
「乳房の内側上の方で、且つ、かなり胸壁?(左右対称画像の中央)寄りだったことも
あり、素人目で見た画像から、嫌な気がして、骨転移や手術できない可能性があるか
の不安」
⇒腫瘍が動く(胸壁浸潤していない)かつ、「広範な皮膚の発赤を伴わない」であれ
ば(通常、そうだと思いますが)、全く心配ありません。
 また、腫瘍が「胸骨や肋骨」に近くても「骨へ直接浸潤など、ありません」
 骨転移はあくまでも「血行性」転移なのです。
 
「先生はドレーンを使われないという利点を拝見したこと」
⇒ドレーンについて、少しコメントさせてください。
 私も2年前までは「普通に」ドレーンを入れていました。
 常識として「乳癌手術は薄利範囲も広く、腋窩もいじるので多少の出血やリンパ液
はあるのが前提」なのです。
  そのような「出血やリンパ液はドレーンをいれて排液しなくてはならない」とい
う発想です。
 ただ、(私も昔は胃や腸などの手術をしていた訳ですが)消化管の手術で入れるド
レーンの意味は全く異なります。
 消化管の場合には「縫合不全や、(腸の場合には、そもそも)感染リスクが高い」
ためにドレーンは存在しているのです。
 
 そもそも「腹の中とは異なり」清潔である乳腺の手術で「本当にドレーンが必要な
のか?」というのがきっかけでした。
 ○手術経験から、「殆ど出血させなくなっていた」こともあり、『手術中の操作さ
え、完璧に行えばドレーンは不要』という結論に至っています。
  その結論が正しいことは、この江戸川病院では「出血や退院延期が皆無」である
ことが証明しています。
 
 ドレーンを入れない事の利点は
 ・入院期間が短い(乳房切除+郭清でも3泊4日)
 ・腕の可動域
 これが、実は最大の利点だと思っています。
 ドレーンが腋窩に入っていると、腕を動かした際の「激痛の原因」となりま
す。
 それで、「ドレーンが入っている間」は殆ど(痛くて)腕が動かせない=「後
日リハビリが必要」となります。
 ♯ドレーンをいれていないので、当院では「術当日から、殆どの方は腕を上ま
で挙げられます」(勿論、リハビリも不要)
 
 ●当院の「宣伝」をしているようで、恐縮ですが「術中術後に出血が無い」ことと
「入院期間」「腕の可動域」など明確な差があることは事実なのです。
 
「先生に転院も検討に入れセカンドオピニオンさせていただきたいとも検討していま
すが、診ていただくことはできますでしょうか」
⇒是非、私に診させてください。
 「ドレーンを入れないこと」が何を意味しているのかが御理解いただければ幸いに
思います。
 
「検査結果は、月末に揃います。その頃の予約はいまからでも可能でしょうか?」
⇒通常の「病院代表からの予約」では3週間待ち位になっているようなので、秘書に連絡してもらうのがスムーズです。
 
「予約の際、もし手術ができる状態であれば、手術までのおおよその待ち期間もお伺
いできるのでしょうか」
⇒「申込みの時点」で「1カ月半」程度となっています。
 勿論、比較的緊急性の有る(腫瘍の増大が明らかに早いなど)場合には「時間のや
り繰り」を行い対応しています。(ぎりぎり詰め込んだ状態ではあるのですが)
 
「母には、予後状態も認識した納得のいく治療、できるなら安心して手術を受けても
らいたいのです」

⇒了解しました。
 乳癌診療とは「どうあるべきか」私なりの信念を持って診療しています。
 当院を選択していただくのが「最善の選択」だと自負しています。
 
 

 

質問者様から 【質問2】

先週木曜に母を診察していただきました○○です。
お忙しい中お時間をいただき有難うございました。
先生に手術していただけるなら、の日を提示していただきましたが、
遠方であることが母のネックになっていることと、毎日毎日進行とリンパ転移の不安に押しつぶされそうなことで、1日でも早く手術してもらいたく、今の病院で11月末に手術を受ける予定になりました。
せっかく枠をご提示いただいたのに、申し訳ありません。
田澤先生の手術の目安は、初診から2ヶ月、診断から1ヶ月(半)と仰っていましたが、
早期でもないのに、初診から2ヶ月半、診断から2ヶ月(診断までに検査は一通り 終えました)ただ手術を待つだけの日々で、ステージ(大きさ、リンパ転移の数)が予後と関係するこ
とが非常に怖くなり、なんでもっと早く、手術予定日を提示された2ヶ月前に動かなかったかと、本当に本当に悔やんでいます。
最初は、低悪性度に安心したものの、測る度に腫瘍径が数ミリ増え、不安ばかりが募り、再度質問させていただきます。
1.今までの検査の経過で、リンパ節転移の可能性が増えていないか不安です。
9月中旬の針生検の結果で、ごく僅かなリンパ管侵襲像を認めます、とありました。
CTは9月末に撮りました。
エコーは、針生検前と、10月末の再エコーでおそらくリンパ節転移なし。これはCTも参考にしていると思います。
11月頭の田澤先生 のエコーでも、リンパ節は陰性の可能性が高いと言っていただけました。
他の方への回答で、リンパ節転移は、数ヶ月単位の話と拝見しましたが、
2ヶ月も前のCTの所見は、検査結果としては古くありませんか?信頼できるものでしょうか?
センチネルリンパ節生検をしないと確定しないのは理解していますが、
エコーで陰性の可能性が高いままでも、結果的に手術(田澤先生の診察から3週間後です)で3、4個ものリン
パ転移が判るという可能性もありますでしょうか?
2.ルミナルタイプですので、アロマターゼ阻害薬を処方される予定です。
この薬は、女性ホルモンを抑えるものと漠然と理解しておりますが、これは、増殖を抑えるとともに、既に体内に残っているかもしれないガン細胞を死滅させる(抗がん剤のよう
な?)役割もあるのでしょうか?
ホルモンという餌の発生を抑えるので、体内に残っているものも、餌が減り、力が弱まり死滅する、という理解は合っていますか?
早期発見も大事ですが、早期治療が本当に大事だと痛感しております。
手術後、病理結果が出たら、Adjuvant!Onlineを参考にしたいと思います。
その際、また相談させていただいてもよろしいでしょうか。
実際に田澤先生に診察していただいて、本当にこのQ&Aの回答はいつされているのかと、
先生のお身体が心配になりました。どうぞご自愛ください。
 

田澤先生から 【回答2】

こんにちは。田澤です。
「2ヶ月も前のCTの所見は、検査結果としては古くありませんか?信頼できるものでしょうか?」
⇒CTはそもそも「不要」です。
 リンパ節は「超音波で評価」することで十分です。
 いずれ「センチネルリンパ節生検」をするわけですから。
 遠隔転移の心配をする必要は全くありません。
 
「3、4個ものリンパ転移が判るという可能性もありますでしょうか?」
⇒殆どありません。
 
「これは、増殖を抑えるとともに、既に体内に残っているかもしれないガン細胞を死滅させる(抗がん剤のような?)役 割もあるのでしょうか?ホルモンという餌の発生を抑えるので、体内に残っているものも、餌が減り、力が弱まり死滅する、という理解は合っていますか?」
⇒その通りです。
 実際に「ホルモン療法単剤」で「再発率が低下する」ことからご理解ください。
 
「手術後、病理結果が出たら、Adjuvant!Onlineを参考にしたいと思います。その際、また相談させていただいてもよろしいでしょうか」
⇒勿論いいですが…
 ○ただ「数字などに振り回されて」不要な心配をするよりは、『やるべきことをやり、無用な心配はしない』ことをお勧めします。