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転移が心配で、初期治療後の定期検査項目が少なく思えて不安です

[管理番号:965]
性別:女性
年齢:50歳
初めまして、お世話になります。
初期治療後の定期検査について教えてください。
昨年末に乳癌がみつかり、今年の2月に温存手術を受け、術後の病理結果で浸潤性乳管癌(硬癌)でトリプルネガティブ(T1N0M0)と診断されました。その後AC4クール、放射線と初期治療を終えたところです。
ただ、TNBCの私の場合は再発率20%、しかも3年後ぐらいまでに再発するケースが多いから、胸の触診を自分でも行うなど気を抜かないようにと言われました。そして、今後の経過観察について伺ったところ、まずは半年後のマンモグラフィーと血液検査のみと言われました。検査項目が少ないように感じたのですが、時間が限られた中での主治医との会話では、それが病院のポリシーのようだと感じるのが精一杯でした。
ただ、他ではTNBCだと胸腹部CT、腹部超音波検査、骨シンチ、PET検査等の遠隔転移の検査も定期的にされているケースもあるようなので、それと比べてしまって、提示いただいた検査だけではかなり進行してからでないと遠隔転移がわからないのはないかと心配しています。この心配は素人の杞憂でしょうか?
遠隔転移を早期発見しても生存率に変わりはないから胸腹部CT、腹部超音波検査、骨シンチ、PET検査等の定期検査は無用のようにも聞きますが、治療方法が発展している今を踏まえても100%そうなのでしょうか?中には早期発見できたほうがQOLとか生存期間とかが良くなるケースとかは無いのでしょうか?
どうぞよろしくお願いいたします。
 

田澤先生からの回答

 こんにちは。田澤です。
 メール内容を読みました。
 術後の皆さんが「不安や疑問」に思っている事を見事に言い表しています。
 この機会に私の見解をお話します。

回答

「胸の触診を自分でも行うなど気を抜かないようにと言われました」
⇒局所再発が多い訳ではないので、「この担当医のコメントには引っかかります」
 局所再発が本当に心配ならば「担当医自ら3カ月に1回の診察、超音波をするべき」です。
 ○術後診療中に、「患者さん自身が自覚するまで」診断できないようでは困ります。
 
「他ではTNBCだと胸腹部CT、腹部超音波検査、骨シンチ、PET検査等の遠隔転移の検査も定期的にされているケースもある」
⇒私は定期的なCTや骨シンチ、PETなどは全くの無駄だと思います。
 被爆の問題があるので、それ程高リスクなのだと判断して「どうしても定期的な画像診断がしたいならば」腹部超音波とすべきでしょう。
 ただ、ステージ1なので、質問者は無駄に「転移再発を心配」する必要はありません。
 あくまでも「ステージが重要」なのです。(あまりにもTNに拘り過ぎる傾向があるように思えます)
 
「提示いただいた検査だけではかなり進行してからでないと遠隔転移がわからないのはないかと心配しています。この心配は素人の杞憂でしょうか?」
⇒私も、採血腫瘍マーカーは3カ月に1回の方がいいと思います。
 腫瘍マーカーは「転移、再発診断には」大変有用です。(経験的に)
 「3カ月に1回、診察超音波をして、腫瘍マーカーをチェックする」そして1年に1回のマンモグラフィーで十分だと思います。(CTなどは無用)
 
「遠隔転移を早期発見しても生存率に変わりはない」「早期発見できたほうがQOLとか生存期間とかが良くなるケースとかは無いのでしょうか?」
⇒「遠隔転移を根治することは基本的に困難」であることからこのように言われている事は事実です。
 ただし、私は再発治療の経験も豊富ですが(再発治療こそ、最も経験がものを言う分野だと思っています)早期発見すれば「長期コントロールも可能だし、長期コントロールから根治か?と思われる」ケースも数多く経験しています。
 「再発の早期発見も重要」であると私は思っています。