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浸潤性癌の治療法

[管理番号:737]
性別:女性
年齢:50歳
 
 

質問者様の別の質問

質問が新たな内容のため、別の管理番号としました。
質問者様の別の質問は下記をクリックしてください。
管理番号:934「副作用重視の抗HER2療法」

 
 
田澤先生 初めまして。
先日術後の病理検査結果が出ました。
左胸に2cmのグレード3の浸潤が見つかり、ホルモン感受性の結果を受けて治療方法を決めるということでした。
手術前は非浸潤癌ということでしたので、センチネルリンパ節を取っておらず、リンパへの移転は不明とのことです。
私としては2cmのグレード3ということで転移が心配なのですが、骨シンチやCTもせず、治療法を決めるのに疑問があります。
このまま主治医の言うままに、治療法を決めてしまっても良いものなのでしょうか。
ホルモン感受性の結果が出ていないので、まだ病理検査の詳細は受け取っておりません。
アドバイスを頂けますよう、よろしくお願いいたします。
 

田澤先生からの回答

 こんにちは。田澤です。
「2cmのグレード3の浸潤」「センチネルリンパ節を取っておらず」
⇒これは、少なくとも「標準治療とはかけ離れている」と言わざるを得ません。

回答

「手術前は非浸潤癌ということでしたので、センチネルリンパ節を取っておらず」
⇒術前「非浸潤癌」との診断は「針生検」での診断でしょうか?
 ガイドラインでは「術前針生検での非浸潤癌との診断」では「センチネルリンパ節生検が推奨」されます。
 ○「センチネルリンパ節生検を省略してもいい」ケースは『術前に外科的生検で病変の大部分が非浸潤癌と確認されている場合のみ』です。
 
「2cmのグレード3の浸潤が見つかり」
⇒この場合には、「センチネルリンパ節生検」の追加手術を検討すべきです。
 
 術後、病理結果が判明した時点で『センチネルリンパ節生検しますか?』と提案されましたか?
 私は「センチネルリンパ節生検を追加で行う」事を推奨します。
 
「2cmのグレード3ということで転移が心配」
⇒「リンパ節転移の可能性」は否定できないので、(リンパ節転移が心配ならば、CTを撮影するのではなく)是非「センチネルリンパ節生検」をしてもらいましょう。
 ○ただ、「骨転移や肺、肝転移などの遠隔転移の可能性」は殆どありません。
 
「骨シンチやCTもせず、治療法を決めるのに疑問があります」
⇒「骨シンチやCT」は必ずしも勧めません。(理由は上記です)
 CT位は1度位確認してもいいかもしれませんが、骨シンチは不要でしょう。
 
「このまま主治医の言うままに、治療法を決めてしまっても良いものなのでしょうか」
⇒ポイントは「センチネルリンパ節生検の追加」です。
 
○センチネルリンパ節生検だけなら、15分位で終わってしまいます。(正確な手技の為には全身麻酔が必要ですが)
 
 

 

質問者様から 【質問2 浸潤性癌の治療法】

主治医の先生と話してきました。
主要の径は1.1cmだったそうです。(2cmは私の聞き違いだったようです。)
先生がおっしゃるには、触診でもMRIでもリンパの腫れは見られず、1.1cm程度ではリンパへの転移は考えられないとのこと。経過観察で何かがあっても対応は可能ということでした。
私は何かがあった時は遅いのではないかと思うのですが、先生は大丈夫とおっしゃっています。
また、断端検査の結果はpositiveとなっていました。これについて先生は、断端のそばでがん細胞が見つかっているが、放射線とホルモンの治療で問題ないとおっしゃっています。
これらの所見は間違っていないのでしょうか。
よろしくお願いいたします。
 

田澤先生から 【回答2】

 こんにちは。田澤です。
 「センチネルリンパ節生検」を行わずに「術後、浸潤癌と判明」した訳ですが「11mmだった」事は幸いでした。

回答

「1.1cm程度ではリンパへの転移は考えられないとのこと」
⇒確かにリンパ節転移の可能性は低いです。
 
 本来は「センチネルリンパ節生検をすべき」事には変わりありません。
 
「経過観察で何かがあっても対応は可能」
⇒きっちりと(3カ月に1回程度)超音波で見てもらう必要があります。
 
「断端検査の結果はpositiveとなっていました。これについて先生は、断端のそばでがん細胞が見つかっているが、放射線とホルモンの治療で問題ない」
⇒どの程度(断端陽性の範囲が)なのか不明ですが…
 きちんと、「切り出し図」を見せてもらって説明をしてもらう方が安心です。
 
○「センチネルリンパ節生検の件」にしろ、「断端の件」にしろ「随分アバウト」な印象を持ちます。
 流されずに、「自分自身で納得して」治療を行う必要があります。
 
 

 

質問者様から 【質問3 浸潤性癌の治療法】

田澤先生
ご返事をありがとうございます。リンパ転移の可能性が低いということが分かり、少し安心しました。私もやはり、納得をした上で次の治療に移りたいと思います。
センチネルリンパの検査については、ホルモン感受性の結果を聞くときにもう一度相談してみます。
もしも経過観察をして何か見つかった時の対応をすると場合、どのような状態になった時に、どのような対応をすることが考えられるのでしょうか。
何度も質問をしてしまい、申し訳ございません。次回先生に確認すべきことが分からないため、よろしくお願いいたします。
 

田澤先生から 【回答3】

 こんにちは。田澤です。
 「術後に1.1cmの浸潤癌」と解ったのに「センチネルリンパ節生検」をされなかった方ですね。
 こういう事があるので、(術前の摘出生検での非浸潤癌の確定無しには)「センチネルリンパ節生検の省略は推奨されない」のです。

回答

「どのような状態になった時に、どのような対応をすることが考えられるのでしょうか」
⇒「腋窩リンパ節が腫大」した際に、「リンパ節郭清(手術)」をするということです。
 この場合には「あくまでも(転移リンパ節の)取り残し」という事になるので、「局所療法(手術)が最優先」となります。
 
 

 

質問者様から 【質問4 セカンドオピニオン】

田澤先生
いつもお忙しい中、丁寧なご回答をくださり有難うございます。
ホルモン感受性の結果が出たので、今後の治療方針についてお話を聞いてきます。そのときに「切り出し図」を見せて頂き、断端の結果もお聞きしようと思います。
治療は今後長期に渡る話になると思いますので、納得をして進めたいと考えております。田澤先生にセカンドオピニオンをお願いすることはできますでしょうか。
また、そのときに断端検査の結果、追加切除が必要というご判断の場合、田澤先生に施術をお願いすることもできるのでしょうか。もちろんその場合には予後治療を含めてお世話になりたいと考えております。追加切除は最初に切除した医師でなければ難しいと聞いているのですが、追加切除を勧めない先生に施術して頂くことには不安があるのです。
セカンドオピニオンの資料を取り揃えたりしていると、最初の施術(7月初)から時間が経過してしまい、放射線や薬物治療の開始が遅れてしまうことを懸念しております。一般的に術後治療はどのくらいまで時間を開けて良いものなのでしょうか。
たくさんの質問をしてしまい、誠に申し訳ございません。よろしくお願いいたします。
 

田澤先生から 【回答4】

 こんにちは。田澤です。

回答

「田澤先生にセカンドオピニオンをお願いすることはできますでしょうか。」
⇒大丈夫です。
 今までの質問内容で「診療状況は完全にわかりました(断端にかんしては、病理レポートと切り出し図が必要ですが)」
 
「そのときに断端検査の結果、追加切除が必要というご判断の場合、田澤先生に施術をお願いすることもできるのでしょうか」
⇒大丈夫です。
 その場合には「センチネルリンパ節を追加するか」相談もしましょう。
 
「一般的に術後治療はどのくらいまで時間を開けて良いものなのでしょうか」
⇒焦る気持ちは、十分解りますが…
 全く心配ありません。
 術後温存乳房照射は「術後5カ月以内に開始」すれば大丈夫だというデータがあります。
 
 全身療法(ホルモン療法や抗がん剤)の開始時期についての参考データはありませんが
 放射線照射に準じた考え方(5カ月以内に開始)でいいと思います。
 
 

 

質問者様から 【質問5 ハーセプチンの使用方法】

田澤先生
いつもお世話になっております。
患者の夫です。
本日、ホルモン感受性の結果を聞いて来ました。
左胸
 浸潤部  長径11mm
 乳管内病変 35×25mm
 pT   pT1c
 組織型  Scirrhous carcinoma
 Grade   核grade 3(3+3)
 浸潤範囲 gf
 浸潤様式 INFb
 脈間浸襲 ly0 v0
 断端   positive(標本7)
 腫瘍部標本1~7(浸潤部3,4,5)
 HER2 3+
 ER   陰性0%
 PR   陰性0%
右胸
 浸潤部  長径4mm
 乳管内病変 25×25mm
 pT   pT1a
 組織型  Scirrhous carcinoma
 Grade   核grade 1(2+1)
 浸潤範囲 gf
 浸潤様式 INFb
 脈間浸襲 ly0 v0
 断端   negative
 腫瘍部標本9~12
 HER2 1+
 ER   陽性80~90%
 PR   陽性80~90%
先生は、左胸はハーセプチンで治療、右胸はホルモン治療(タキサン)と放射線治療を行うとのことでした。
ハーセプチンは抗がん剤を使わずに単独で行うとのこと。
標準治療では抗がん剤と併用すると聞いていたのですが、先生は長径1.1cmの初期がんであるから、ハーセプチン単独で十分効果がある。抗がん剤を使っても、その副作用に見合う上乗せ効果は得られないであろうとのことでした。
いろいろと調べてみると、抗がん剤を併用することで数パーセント上乗せされると書いてあったのですが、実際にはどの程度の効果があるものでしょうか。
セカンドオピニオンのことも相談したのですが、多くのドクターは抗がん剤を勧めるので、不安になってそちらを選んでしまうと副作用に苦しむ事になるとのことで、よく考えてからセカンドオピニオンをした方が良いと言われました。
妻は、抗がん剤を使わずに済むのであればそちらが有難いと言っておりますが、抗がん剤は副作用に比べてメリットのない選択肢なのでしょうか。田澤先生のご意見を伺えると幸いです。
これまでの経緯も含め、随分標準治療と違うことばかりで驚いていますが、今後の長い治療をQOLの向上も含めてどのように考えていけば良いのか、悩んでおります。
田澤先生にばかり頼ってしまって申し訳ないのですが、アドバイスを頂けますよう、よろしくお願いいたします。
 

田澤先生から 【回答5】

 こんにちは。田澤です。
 左pT1c(11mm), NG3, HER2type
 右pT1a(4mm), NG1, luminal type
ですね。
○浸潤癌なのに、「センチネルリンパ節生検を追加しない」事やハーセプチンを単剤で行おうとしているのですね。
 随分、標準治療からの乖離が目立ちます。

回答

「抗がん剤を併用することで数パーセント上乗せされると書いてあったのですが、実際にはどの程度の効果があるものでしょうか」
⇒15%程度だと思います。
 
「抗がん剤は副作用に比べてメリットのない選択肢なのでしょうか。田澤先生のご意見を伺えると幸いです」
⇒メリットは十分にあります。
 HER2タイプは「最も抗がん剤の効果が確実」なサブタイプです。
 ハーセプチンの効果を引き出すためには「化学療法の併用が必要」であることが解っております。
 決して「ハーセプチン単剤」はお勧めできません。
 ♯一度でも「通常の抗がん剤を行って、副作用で断念」したのであれば、その場合には「ハーセプチン単剤だけでもした方が良い」という理屈は解りますが…
 
「今後の長い治療をQOLの向上も含めてどのように考えていけば良いのか、悩んでおります」
⇒ハーセプチンに組み合わせる化学療法(TCなら4回)はQOLとのバランスを考えても(今後のために)行うべきです。
 得られる効果が絶大なのです。
 
 

 

質問者様から 【質問6 浸潤性癌の治療法】

田澤先生
いくつか分からないことがありましたので再度質問させて頂きます。
田澤先生のところでセンチネルリンパ節検査をして頂く場合、「正確な手技の為には全身麻酔が必要」と書かれておりましたが、入院は必要でしょうか。
もしリンパ節検査で転移が見つかった場合、追加郭清もしなければならないのでしょうか。
入手した病理レポートには「断端:positive」としか書かれていませんでしたが、今の先生からは断端のそば数mmのところに癌細胞が見つかっている、との説明を受けました。positiveという結果だけではそこまで分からないと思うのですが、病理結果のどこを見ると分かるものでしょうか。今の先生が病理レポート以外の資料を持たれているのでしょうか。
恐らくKi67の検査もしていないのだと思うのですが、田澤先生のところへ転院した場合、今後の補助治療の方針にはKi67は不要と思われますか。もし必要と思われる場合、田澤先生から病理の方へKi67の追加検査を要請して頂くことは可能でしょうか。それとも執刀医から要請しないと追加検査をして頂けないのでしょうか。
お忙しい中、何度も質問してしまい、申し訳ございません。よろしくお願いいたします。
 

田澤先生から 【回答6】

 こんにちは。田澤です。
 浸潤癌(11mm)の診断であれば「センチネルリンパ節生検」はやっておいた方がいいと思います。
 また「HER2 type」にとって「化学療法+trastuzumab(ハーセプチン)」は必須です。

回答

「入院は必要でしょうか。」
⇒全身麻酔なので、入院(前日入院、翌日退院)が必要です。
 手術自体も「15分程度」と入院してもらうのも、申し訳ない気もしますが(正確な手技のためには)「局所麻酔で行うことは勧められません」
 センチネルリンパ節生検など、「腋窩操作」は「大事な神経やリンパ管、血管などが豊富」なので、正確な手技が最優先なのです。
 ♯更に、万が一「追加郭清を行う」ことになっても(局所麻酔では)対応困難となります。
 
「リンパ節検査で転移が見つかった場合、追加郭清もしなければならないのでしょうか」
⇒2mm以上の転移が見つかった場合は「追加郭清が原則」です。
 但し、「患者さん自身が希望」すれば「事前の話し合いの中で」『センチネルリンパ節に転移が見つかっても、郭清しない』などの取りきめも可能です。
 
「病理結果のどこを見ると分かるものでしょうか。今の先生が病理レポート以外の資料を持たれているのでしょうか」
⇒「切り出し図(実際の標本の写真及び、そこに病変の拡がりを図示したもの)」がある筈です。
 更に言えば、「病理医に直接聞いている」可能性もあります。
 
「今後の補助治療の方針にはKi67は不要と思われますか」
⇒不要です。
 Ki67はもともと「luminal type(ホルモン療法が有効であるタイプ 質問者の右側のタイプ)」で「化学療法を追加するかどうか?」の為のものです。
 ○質問者はHER2 typeであるので「抗HER2療法 ハーセプチン+化学療法」が(Ki67に関係無く)推奨されます。
 
 

 

質問者様から 【質問7 ステージ1 グレード3の生存率】

田澤先生
早々にご回答有難うございました。
いつも多くの質問に、ひとつひとつ丁寧に解答されているご姿勢、ただただ頭が下がる思いです。一人でも多くの先生が田澤先生のように患者のことを思って、治療に当たってくださればと心から思います。
妻の病理結果で、抗がん剤を使わなかった場合と、抗がん剤を使った場合の10年後の生存率、再発率を教えて頂けないでしょうか。
以前、抗がん剤を併用すると効果が15%向上するとご回答くださいましたが、それが生存率として具体的にどのような数値にあたるのかを妻に伝えたく、お願いいたします。
妻は、生存率を数%の向上させるために、抗がん剤で他の臓器を壊してしまうのは避けたいと申しており、何とか説得をしたいのです。
何度も同じようなことを質問してしまい、申し訳ございません。
よろしくお願いいたします。
 

田澤先生から 【回答7】

 こんにちは。田澤です。
「生存率を数%の向上させるために、抗がん剤で他の臓器を壊してしまうのは避けたい」
⇒抗がん剤は副作用は確かにありますが、殆どが可逆性(元に戻る)であり、「臓器を壊す」というのには当らない事に注意が必要です。
 「癌に抗がん剤は無駄」などと無責任な事を「本にしている」人も見かけますが、「膨大な努力のもとに築きあげた英知」を否定するのは如何なものでしょうか。

回答

「妻の病理結果で、抗がん剤を使わなかった場合と、抗がん剤を使った場合の10年後の生存率、再発率を教えて頂けないでしょうか」

抗がん剤を使わなかった場合:10年生存率79.9% 再発率 29.7%
抗がん剤を使った場合   :10年生存率87.6% 再発率 14.7%
 乳癌の場合は再発しても10年以上、生存する方も多いのでこのような数字となります。
 先の回答で効果が15%と記載したのは 再発率29.7-24.7=15%の事です。
 
○「抗がん剤で他の臓器を壊してしまうのは避けたい」という気持ちは解りますが、「効果と副作用のバランス」からすると「抗HER2療法(ハーセプチン単剤ではありません)は最も推奨度の高い治療なのです。
 
 

 

質問者様から 【質問8】

田澤先生
いつも丁寧にご回答を頂き、有難うございます。
頂いた数値を妻に伝え、抗がん剤治療を勧めるようにします。
今の先生が夏休みに入ってしまうため、先生の所へ伺えるのは8月下旬以降になってしまいそうです。
セカンドオピニオンをお願いできるようになりましたら、小平様に連絡をさせて頂きます。
よろしくお願いいたします。
 

田澤先生から 【回答8】

 ご丁寧にありがとうございます。
 初期治療(手術~術後補助療法までを言います)は大変重要なところです。
 是非、納得のいくようにしてください。
 ご連絡お待ちしております。
 江戸川病院 乳腺センター 田澤



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