Site Overlay

副作用重視の抗HER2療法

[管理番号:934]
性別:女性
年齢:50歳
 
 

質問者様の別の質問

質問が新たな内容のため、別の管理番号としました。
質問者様の別の質問は下記をクリックしてください。
管理番号:737「浸潤性癌の治療法」

 
 
お忙しい中、いつも丁寧で迅速な回答を頂きまして有難うございます。先生に従って行けば、きっと良い方向に進むことが出来ると信じ、日々勉強をさせて頂いております。
妻がまだ抗がん剤へ踏み切れずにおり、田澤先生の所へセカンドオピニオンへ行けずにおります。
他の方のQ&Aを拝見したところ、ハーセプチンと合わせる抗がん剤の種類や投与回数について、いろいろな方法があることを知りました。
病院で頂いたハンドブックには事前にAC療法を4回⇒パクリテキセルとハーセプチンを併用で12回⇒ハーセプチン単剤で18回となっていました。本人は、それだけの期間と回数、副作用に耐えられる自信が無いようです。
実際に私の妻の場合では、どの抗がん剤を何回程度当てるべきでしょうか。
まだ診察をして頂いていないので、確定はできないと思いますが、病理結果から分かる範囲で結構です。目安を教えて頂ければ納得できるかもしれません。
お忙しい中、同じようなことを何度も質問をしてしまい、申し訳ありません。
 

田澤先生からの回答

 こんにちは。田澤です。
 左pT1c(11mm), NG3, HER2type
 右pT1a(4mm), NG1, luminal type
 で行う「抗HER2療法」ですね。

回答

「病院で頂いたハンドブックには事前にAC療法を4回⇒パクリテキセルとハーセプチンを併用で12回⇒ハーセプチン単剤で18回となっていました」
⇒これは「スタンダード」です。
 AC療法を4回をそのままとして「パクリタキセルとハーセプチンを併用で12回」の替りに「ドセタキセルとハーセプチンを併用で4回」とするレジメンもあります。
 
「それだけの期間と回数、副作用に耐えられる自信が無いようです」「実際に私の妻の場合では、どの抗がん剤を何回程度当てるべきでしょうか」
⇒提案は2種類です。
①パクリタキセルとハーセプチンを毎週投与(12回)⇒ハーセプチン単剤(14回)
 これは、ハンドブックにあるスタンダードレジメンとは異なり「AC療法を行わない」やり方です。
 「最初の12回の毎週通院」は「通院は大変」ですが、「副作用は格段に楽」です。 その後のハーセプチン単剤には副作用はありません。
②タキソテール+エンドキサン+ハーセプチン(4回)⇒ハーセプチン単剤(14回)
 これは、「全て3週毎通院」となります。
 ①と比較すると「通院回数が少ない」ことが利点ですが、「副作用は①よりは、やや強い」と言えます。
 効果に関しては①との直接比較はありませんが、「パクリタキセル(毎週12回)=ドセタキセル(3週投毎投与4回)」と考えると②の方が「エンドキサン分」上乗せされると思います。
 
○どちらもスタンダードの「ACx4が省略」されるため、頑張れる筈です。
 特に①であれば、「副作用って、こんなもの?」という程度であることも十分期待できます(副作用の感じ方には個人差がありますが)
 
 

 

質問者様から 【質問2 副作用重視の抗HER2療法】

田澤先生
妻のための治療法ご提案有難うございます。
別のテーマでご回答頂いていたことに気が付かず、お礼が遅くなり申し訳ございませんでした。
今回ご提案いただいた「副作用重視の抗HER2療法」は、副作用を軽くすることを重視してご提案頂いた方法ですので、標準の治療より効果は薄れるのだと思います。
生存率、再発率などの治験結果が無い方法だと思われますが、どの程度の効果があるとのご判断でしょうか。
何度も質問をしてしまい、申し訳ございません。
細かいことで恐縮ですが、何卒よろしくお願いいたします。
 

田澤先生から 【回答2】

 こんにちは。田澤です。
 「副作用重視の抗HER2療法」として前回、weekly PTX+HER(12回)⇒HER(14回)をお勧めしました。

回答

「標準の治療より効果は薄れるのだと思います。」
⇒直接比較をしていないので不明です。
 
「生存率、再発率などの治験結果が無い方法だと思われますが、どの程度の効果があるとのご判断でしょうか。」
⇒「どの程度の効果」というのは説明しずらいですが…
 
 
 「weekly PTX+HER(12回)⇒HER(14回)」を行った臨床試験では対象が「リンパ節転移の無いHER2陽性乳癌」であり、質問者の状況と類似(センチネルリンパ節生検をしていないので正確には不明ですが)しています。
 そこでは「浸潤癌の再発の無い生存率」が3年間で「98.7%」という驚異的な数字でした。
 再三コメントしているように「標準療法との直接比較はありませんが」早期のHER2陽性乳癌には「この治療で十分」と思わせるものだと思います。
 
○是非、「化学療法無しのハーセプチン単剤」ではなく、この方法をお勧めします。
 

田澤先生から 【回答3 副作用重視の抗HER2療法】

田澤先生
ご回答ありがとうございました。
常に患者のことを考えて、ベストな方法を提案して下さり感謝しております。
先生の気持ちを妻に伝え、ハーセプチン単剤ではなく、抗がん剤との併用をするよう説得します。