[管理番号:3935]
性別:女性
年齢:36歳
田澤先生
初めてメールさせていただきます。
36才、5歳と1歳半の子をもつ母です。
授乳中から(1年4ヶ月)あるしこりと断乳後新たに出来た(気づいた)しこりがずっと気になっており、
不安で押し潰されそうになりながら毎日を過ごしています。
その不安から逃れられず、ネットでひたすら検索しておりましたら、貴サイトにたどり着きました。
田澤先生の真摯で、患者目線で不安を取り除いてくださるコメントを拝見するにつれ、少し離れた埼玉県在住なのですが、どうしても先生に診ていただきたい! と強く思い、本日メディカルプラザ市川の予約を取る予定です。
ですが、きっと診ていただけるのは数ヵ月先…。
その前に先生のご意見を伺えたら、きっと診察の日まで安心して過ごせるのではないか、と思い質問させていただいております。
以下、経緯と質問を記載させていただきました。
長文ですが、どうぞよろしくお願いいたします。
【経緯】
2015年5月に第2子出産。
同年7月に右胸下部にしこりができました。
気になってはいたのです。
ですが第1子も完母で育てており、当時、
助産師さんによる母乳ケアをうけていた際、
「しこりがあっても母乳が出ていれば問題ない」
との指導があり、そのままにしていました。
同年10月になってもしこりが取れる気配がなく、
その助産師さんによる母乳ケアを受けましたら、
「一度乳腺外科にいった方がいいと思う」と言われ、急いで近くのKクリニック(乳腺外科)を予約しました。
同年11月、Kクリニックで先生による触診とエコーをしていただいたのですが
触診のときに「どこにしこりがあるの?」と言われ、不安を覚えました。
と言うのも、こんなにはっきりしこりがあるのに、なぜ先生はわからないのかな、と思ったからです。
ここです、と、伝えると「ああ、ここね。」と分かってくださったのですが…。
その次に先生が直接エコーをしてくださり、
「おっぱいが固まってるのかな。乳りゅうかな。
触りすぎで乳腺に腫れも見られるし、授乳中のしこりだから心配ないでしょう。
断乳後半年してから来てください」
と言われたので、まずはひと安心して帰ってきました。
この時第2子はまだ6ヶ月。
断乳は1歳過ぎぐらいにしよう、と思いながら。
今年3月。
健康診断による婦人科検診で、超音波エコーと触診を受けました。
エコーでは異常は見られず。
触診では3cm×3cmのしこりがみられる。
こちらも断乳後再検査をしてください、との結果が送られてきました。
その後しばらくして、某芸能人の方が乳ガンになったとの報道がありました。
それも授乳中のしこりがガンだったことを知り。
急に不安になり、セカンドの意味も込めて
前回とは違うS乳腺外科を予約しました。
9月(中旬)日、S乳腺外科ではまず先生による触診。
「右胸6時にしこりがあるね、エコーしてみましょう」
そして技師さんに両胸をエコーしていただきました。
そのとき、左胸はほぼ乳腺が落ち着いていました。
というのも、授乳開始から半年過ぎでしょうか。
子が右胸ばかり飲むように
なり、あまり左では授乳していなかったからです。
先生はそのエコー写真を見せてくださいながら
「軽い乳腺炎になっていますね、ここの乳腺が他と比べて白く潰れているようになっているでしょう。
ただ授乳中だから乳腺が発達しているし、これ以上は何とも。
左胸は特に問題ないですね。
お子さんももう1歳過ぎていれば断乳して2~3ヶ月後に改めてエコーをしましょう。
現段階では心配ないですよ」
と言われました。
それで9月22日に断乳。
その際母乳ケアを受けました。
助産師さんは
「授乳中は境界線がぼやけているようなしこりだったけれどはっきりしてきたね」
と。
ただ断乳後、やたら乳首と乳房が痒くなったこと。
また新たに右胸上部にできたしこりと毎日ツキンツキンと痛む乳首とじくじく乳房に痛みがあったため、10月(下旬)日に再度S乳腺外科を訪れました。
問診では「アトピーもあるし(私は幼少期からアトピーです)、それですね。
断乳後痒みや痛みが続くのはよくあることですよ。」
その後触診となり、
「右胸上部と下部のしこりは乳腺が固くなったものですね。
エコーは前回からひと月しか経っていないから乳腺もあまり変わっていないでしょうが、再度してみますか?」
と言われたので、エコーをお願いしました。
技師さんによるエコー後、先生が前回の写真と比較しながら
「乳腺は落ち着いてきていますよ、しこりは問題なさそうですから大丈夫。
心配ないですよ」
と言われましたので、そこでまた安堵して帰ってきました。
のですが…。
一番最初のKクリニックでは"乳りゅう"
S乳腺外科では"軽い乳腺炎"と"乳腺が固
くなった"
と診断結果が異なっていることに遅ればせながら気づき不安にかられました。
現時点のしこりの感触ですが、
右胸上部のしこりはコリコリしていて丸いような形で動きます。
右胸下部ですが、大きさは少し小さくなってきたような気もします。
形は平べったくて丸いというか楕円形というか…。
こちらも動きます。
【質問】
・授乳期のしこりがこんなに長く続くものなのか。
・このしこりと新たに気づいた右胸上部のしこりも本当に乳腺が固くなっているだけなのか。
・授乳中から続く体の不調(しょっちゅうある胃腸のトラブル、右腕肘周辺にだるさ、そして左足鼠径部に痛み)はしこりと関連しているのだろうか。
・授乳期のしこりだからと、がんが見逃されてはいないだろうか。
・このしこりは生検したほうがよいものなのだろうか。
・もしがんのしこりだったとしたら1年以上経っていることになる。
それがとてつもなく怖い。
そしてこんなにも不安にかられるのにも理由があります。
・しこりがどういった原因で発生しているのかが結局分かっていないこと。
・S乳腺外科では先生によるエコーではなかったので見逃されている所見があるのではないか、と思ったこと。
(田澤先生のコ
ラムを拝見してそう思いました)
・母が4年前(当時65歳)乳がんになっていること。
・私は子を妊娠するまで出版系で働いており、当たり前に深夜4時帰りや付き合いの飲み会がしょっちゅうある、ひどい生活を続けていたこと。
(今の第1子妊娠前に流産もしています)
このことから、毎日不安で不安で仕方ありません…。
先生はこのしこりについて、どう思われますか。
どうかご教示くださいませ。
田澤先生からの回答
こんにちは。田澤です。
「不安で押し潰されそうになりながら毎日を過ごして」
⇒2つのクリニックを受診して「異常無」と言われても、「不安な毎日」では困ったものです。
質問者を非難しているわけではなく、QandAでも最近感じる「医師不信」の風潮を言っているのです。
「信頼を勝ち得ない」医師側にも勿論問題はありますが、「誤診を煽りたても報道」にも大いに罪はあるように思います。
「授乳期のしこりがこんなに長く続くものなのか。」
⇒続く事はあります。
2つのクリニックの診療内容から類推するに…
一番可能性が高いのは「乳瘤」です。
「乳瘤」は「授乳中」はもとより「断乳後も暫く継続」することもあります。
「・このしこりと新たに気づいた右胸上部のしこりも本当に乳腺が固くなっているだけなのか。」
⇒私自身が診察している訳ではないので、勿論はっきりしたことは言えませんが…
乳瘤は「乳汁鬱滞」により乳腺が硬くなるものなので、同じ事を表現しています。
「・授乳中から続く体の不調(しょっちゅうある胃腸のトラブル、右腕肘周辺にだるさ、そして左足鼠径部に痛み)はしこりと関連しているのだろうか。」
⇒違います。
ホルモンの影響が大きいようです。
「・授乳期のしこりだからと、がんが見逃されてはいないだろうか。」
⇒2人の医師が診ている訳だから、その可能性は「かなり低い」と考えます。
「・このしこりは生検したほうがよいものなのだろうか。」
⇒画像で明らかに「乳瘤と判断」できれば不要です。
「・もしがんのしこりだったとしたら1年以上経っていることになる。それがとてつもなく怖い。」
⇒気持ちは解りますが…
その可能性は低いです。
「このことから、毎日不安で不安で仕方ありません…。」
⇒質問者のように、「きちんと病院を受診している」人が「安心できる」ようでなければ困ったことです。(正直な感想です)
質問者様から 【質問2】
田澤先生
先日はご回答いただき、本当にありがとう
ございました。
嘘ではなく、先生の回答を拝見しながら涙が出ました。
お答えいただいた内容、一つひとつを噛みしめ、そして納得がいき、不安がするすると解きほぐれていきました。
本当に本当にありがとうございます!
また、メディカルプラザ市川の予約も来年2月に取ることができました。
まだ先ではありますが、田澤先生に診察していただける。
その事実が私に大きな安心感を与えてくれています。
当日、どうぞよろしくお願いいたします。
実は昨日Kクリニックを受診し、何とも腑に落ちない診断を受けて帰ってまいりました。
(受診したのは、母乳ケアの助産師さんに断乳後2ヶ月を目処に絞りきった方がいいか、確認のため行ってみてください、と言われたからなのですが)
そこで、新たに気になる事が出てまいりまして、再度質問させていただいている次第です。
【Kクリニックの診察】
触診、先生による両胸エコー。
そして結果は
「右の6時のしこりは脂肪かな?これはずっと消えないかな。
右胸上部のしこりはエコーでは見えないんだよね。
左は大丈夫。
おっぱいはもう絞りきらなくていいよ」
とのこと。
"脂肪かな?" "消えないかな"
そんな疑問系のしこりってあるのでしょうか…。
しかも前回は「乳瘤かな?」でしたのに。
先生の言葉が腑に落ちず、
思わず
「前回、断乳してしばらくすればしこりは消えていくと言われていたのですが。本当
に脂肪なんでしょうか?」
先生「うーん」
私「このしこりは生検しなくていいものなのでしょうか。
これは癌にはならないのですか」
とお聞きしたのですが、
先生「あー、これ(右胸6時にあるしこり)以前からあったやつだよね。
大丈夫、
大丈夫。
何かあったらまた来てくださいね。
お大事に。」
と打ち切られ、聞きたいことも聞けずに診察終了となってしまいました。
前回の質問で田澤先生から
乳瘤は「乳汁鬱滞」により乳腺が硬くなるものなので、同じ事を表現しています。
と教えていただき、乳瘤=乳腺が固くなる、という診断は同じなのだな、と理解したのですが
・乳瘤と脂肪のかたまりは似たようなものですか?なぜ同じ先生の診断が変わるのでしょうか。
エコーでは区別がつきにくいから、今回は"脂肪のかたまり"となったのでしょうか。
それとも乳瘤が食生活か何かの影響で脂肪のかたまりに変わったのか…。
診断結果が変わったことが気がかりなのです。
・乳瘤と脂肪のかたまり。
どちらにせよ、
この診断結果を癌かもしれない…と不安がる必要はないでしょうか?
・過去Q&Aを拝見したところ、
エコーで見えないしこりはたくさんある、
「過誤腫 hamartoma」
正常乳腺組織であるため、(シコリ様に触れても)「超音波では正常乳腺組織=所見が無い」となるのです。
とのことですが、今回受診したKクリニックでは先生が直接エコーをしてくださっているので、右胸上部のしこりも過誤腫だと考えてよいでしょうか。
また、実際に田澤先生に診察していただいてからでないと判断できないことは重々わかっておりますし、どうしようか迷ってもいるのですが…。
・脂肪のかたまりであるしこりは本当に消えないのでしょうか。
また、良性でも気になるしこりは取ってもいいのでしょうか。
このことを気にかけながら、田澤先生に診察していただける日まで過ごすのが嫌で再度質問させていただきました。
お忙しい中、申し訳ありません!
どうぞよろしくお願いいたします。
田澤先生から 【回答2】
こんにちは。田澤です。
メールを拝見しての感想としては
その担当医が正確な用語を用いた診断をしてはいないようですが、ただ「癌では無いことには、絶対の自信をもっている」ことは窺がえます
「・乳瘤と脂肪のかたまりは似たようなものですか?なぜ同じ先生の診断が変わるのでしょうか。エコーでは区別がつきにくいから、今回は"脂肪のかたまり"
となったのでしょうか。」
⇒実際には乳腺内に「脂肪の塊」なるものは存在しません。
おそらくその医師は「全く所見がない=正常乳腺」という意味で「異常無い=脂肪のかたまりのようなものだよ。気にする事無いよ」と表現しているように思います。
「診断結果が変わったことが気がかりなのです。」
⇒「大した所見ではない」ことは(おそらく)共通だと思います。
「大した所見では無い=何と表現しようか?=今回は脂肪の塊と表現しよう」という軽い気持ちのようです。
「・乳瘤と脂肪のかたまり。どちらにせよ、この診断結果を癌かもしれない…と不安がる必要はないでしょうか?」
⇒全くありません。
我々乳腺外科医は「癌かどうか?」に非常に強く関心をもっています(当たり前ですが)
それと比べると(癌では無いと判断した時点で)「診断にはいい加減となりがち
(患者さんを安心させるという意味では、本来ココが大事なのですが…)」です。
「右胸上部のしこりも過誤腫だと考えてよいでしょうか。」
⇒可能性はあります。
「・脂肪のかたまりであるしこりは本当に消えないのでしょうか。また、良性でも気になるしこりは取ってもいいのでしょうか。」
⇒実際は…
脂肪の塊ではないでしょう。
乳瘤なのか、全く(乳汁鬱滞の影響の無い)ただの「過誤腫」なのか、いずれにしても「癌では無い」ようです。
取る事は可能です。
「このことを気にかけながら、過ごすのが嫌」
⇒気持ちは解りますが…
「癌では無い」という判断は確かなようです。
もうすこしKクリニックの医師を信用してあげましょう。(癌かどうか位は乳腺専門医であれば区別はつきます)