[管理番号:5756]
性別:女性
年齢:39歳
初めまして。
よろしくお願いします。
18日の入浴中に左胸にしこりがあるのに気付き○○日に乳腺外科を受診してきました。
しこりは割と大きく(触った感覚では3センチ程度)、しこり自体触って痛いという事はありませんが、触った後は胸に違和感があります。
しこりは丸い小さなボールのようで硬さは割りと硬く(ゴルフボールほど硬くはないがコリコリしている)、触るとクルクル動くような感覚があります。
乳腺外科を受診した所、触った感じでは乳腺症だとの事でしたが、エコーとマンモ検査をしました。
触るとはっきりした感覚のしこりでしたが、エコーとマンモでは、しこりの境界がはっきりせずでした。
担当医師から乳腺症と乳癌は見分けにくい事の説明も受け、はっきり診断する為に、
MRI検査と針生検をする事になりました。
MRIは○○日に、予約がいっぱいで針生検が来週です。
はっきりした診断が出ず大変不安に思っています。
この情報だけで、乳癌の可能性はどれくらいあるのかご意見いただけたらと思います。
また1~2ヶ月くらいの間隔で入浴時に胸を触ってみていますが、覚えている限りで1ヶ月前にははっきり分かるしこりは無かったと思います。
3センチ程度のしこりが急に出来て、これがもし癌だとしたら進行癌だという事でしょうか?
また葉状腫瘍などの可能性もあるでしょうか?葉状腫瘍であればエコーやマンモをした時点である程度判断出来るのでしょうか?
田澤先生からの回答
こんにちは。田澤です。
「乳腺外科を受診した所、触った感じでは乳腺症だ」
「触るとはっきりした感覚のしこりでしたが、エコーとマンモでは、しこりの境界がはっきりせず」
⇒これを「腫瘤非形成性病変」といいます。
ここで「病変」という名称が誤解を与えそうですが、実際は「(癌などの)疾患」かもしれないし「乳腺症などの(病気ではないもの)」かもしれません。
☆「腫瘤非形成性病変」は
1.非浸潤癌など(腫瘤としては)認識できないが癌である場合
2.局所的に線維化が強くなり硬くなっているだけの乳腺症である場合
上記1,2があるのです。
それで担当医の「乳腺症と乳癌は見分けにくい事の説明」となるのです。
「はっきり診断する為に、MRI検査と針生検をする事になりました。」
⇒MRIは(診断には)全く無意味な検査です。(MRIに頼る医師は私は信用していません)
問題なのは「腫瘤非形成性病変にはバネ式針生検は確定診断とならないことも多
い」ということです。
トップページの『腫瘤非形成性病変』をご覧になった上で、『今週のコラム 104回目 バネ式針生検の登場は、(あたかも全自動洗濯機の登場のように)現場を変えたのです。』をご参照ください。
☆せっかく(痛い思いをして針生検されても)「今回は良性だったけど、悪性の部分もあるかもしれない~3カ月後に経過をみましょう」的な「極めて曖昧な(私の最も嫌う)状況」になるリスクがあります。
つまり(腫瘤非形成性病変には、最初からバネ式ではなく)マンモトーム生検すべきということです。(そして、それは上手に用いる者にとっては100%確定診断となるのです)
「この情報だけで、乳癌の可能性はどれくらいあるのか」
⇒担当医の様すからすると…
可能性は低そうです。
ただ、(上記コメントしたように)「バネ式針生検で良性と出た結果がどこまで信頼できるのか?」という問題があります。
☆無駄に経過観察された揚句に「やっぱり、癌でした」これだけは絶対に避けてください。(そのためのマンモトームです。)
「3センチ程度のしこりが急に出来て、これがもし癌だとしたら進行癌だという事でしょうか?」
⇒それは違います。
重要なことは、「我々乳腺外科医」にとって、「進行癌を診断することは最も楽(見た瞬間に解る)」なのです。
今回、担当医が診断に苦慮しているのは「微妙な所見だから」です。
「微妙な所見(最初から癌と判断できない)の進行癌」など1000%ありえません。
「また葉状腫瘍などの可能性もあるでしょうか?葉状腫瘍であればエコーやマンモをした時点である程度判断出来るのでしょうか?」
⇒その通り。
「しこりの境界がはっきりせず」という葉状腫瘍はありません。