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線維腺腫の癌化

[管理番号:7795]
性別:女性
年齢:38歳
病名:浸潤性乳管癌
症状:

田澤先生こんにちは。

元々、2012年に検診の乳腺エコーで12×20mmの腫瘍を指摘されました。
マンモには何も映らず、触ってもわからない腫瘍で、CNBで線維腺腫と診断。
サイズが大きくなれば切除と言われ、以降半年毎のエコーと1年毎のマンモで経過観察中でした。

今年2月のエコーでも異常なかったのですが、8月になんとなくいつものしこりとは違うような違和感があり、定期検査でマンモは異常なしでしたが、エコー上も浮腫が見られ明らかに今までと様子が違うとのことで、その場でCNBを施行し、3日後に造影MRIを撮りました。

結果、浸潤性乳管癌(ルミナールB)、グレードⅢ、ER:10%、PgR:0、
HER2:1+、ki67:60%、24mmと微妙にサイズアップしてました。

MRIの画像を見たところ、元々の線維腺腫を囲むように周囲だけ造影剤が写り、中は真っ黒に映っていました。
乳腺の中央に比較的限局しているものの、腫瘍から乳頭に一筋の線が写っていて、皮膚は残せるものの、乳頭を含んで乳腺は全摘が望ましいと言われ、同時再建で10月下旬に手術予定になっています。
その後、卵子凍結をしてから化学療法予定です。

こちらのQ&Aを拝見していて、経過観察は半年毎のエコー、年1回のマンモというのは基本で、割と造影MRIも早く撮っていただいたのだなと思っています。

入院設備がないクリニックだったこと、妊孕性温存も含めて実施できる病院へ転院しました。
転院先では元々乳腺が硬く、腫瘍も乳腺の奥にあるからなかなか触っても気づきにくいので、経過観察をしていたから、
むしろこの段階で発見出来たと言われました。

線維腺腫が癌化することはよくあることなのでしょうか。
半年毎の経過観察でもっと早く気付くことが出来なかったのでしょうか。

10月まででどれだけ大きくなるのかが不安です。

 

田澤先生からの回答

こんにちは。田澤です。

「線維腺腫が癌化することはよくあることなのでしょうか。」
⇒それは100%ありません。

 良性は未来永劫良性であり、悪性も未来永劫悪性なのです。

「半年毎の経過観察でもっと早く気付くことが出来なかったのでしょうか。」
⇒そうではなく(問題点はそこではなく)
 CNBで診断できなかったところにあります。

 
 

 

質問者様から 【質問2 】

線維腺腫の評価
性別:女性
年齢:38歳
病名:浸潤性乳管癌
症状:

田澤先生、こんにちは。

先日は質問にお答えいただき、ありがとうございました。

そこで疑問に思ったことを質問させてください。

ブログの中で、乳腺症など腫瘤非形成病変の確定診断については、広範囲に評価できるMMTEが望ましいというのは理解しています。

それは腫瘤性病変である線維腺腫でも適応すべきなのでしょうか。

画像上、明らかに線維腺腫を疑い、CNB中も線維腺腫であるとの結果が出ていても部分的に違うものがある可能性を考えた方がいいのですか。

線維腺腫で一般的に摘出を検討するのは3cmを超えるものとなっていて、実際に経過観察中も3cmを超えるようであれば取りましょうと言われていました。

文献をあたってみて、線維腺腫内乳癌の症例も全くないわけではないようです。
線維腺腫についても摘出して、調べるべきなのかどうなのかと思いました。

一般的に癌が触れて認識できるサイズになるには約7年かかるという情報に触れたものの、ずっと自分で触って確認してきて、急に変化を感じたのは1ヶ月前のことです。
今回のCNBの結果でも線維腺腫と浸潤性乳管癌、線維腺腫内部が壊死しているとの所見がありました。
細胞活性度から判断して線維腺腫の表面上に現れた癌細胞が増殖して線維腺腫内が壊死したのか、元々線維腺腫内に7年前からあったのか疑問に思いました。

行政の乳がん検診は一般的に40歳からですし、今回の線維腺腫も自分では全く気づかず、30歳で受けた人間ドックでたまたま見つかりました。

同時に乳腺症も指摘されましたが、しこりは年中あるので特に意識したこともありませんでした。
検診対象者でない若い年代の乳がんは見つかった時点で進行していることが多いとのデータも見て、30代では自己検診か自ら人間ドックなどを受け予防するしかないのでしょうか。
先生のご経験から、検診を受ける年齢などについてお考えがあれば教えていただきたいです。

 

田澤先生から 【回答2】

こんにちは。田澤です。

申し訳ありませんが…
物事の本質を外れています。

線維腺腫が癌化することなどなく、(〇〇が癌化するかもしれないなどのコメントは)診断に自信が無い医師の戯言にすぎません。

★実際は…
 「バネ式針生検(CNB)」を用いるのか?「MMTEが必要なのか?」
 それは、その医師が「その病変に対して100%確定診断をつける自信があるデバイス」を選択すべきであり、『もしもデバイスの選択の誤りで診断できなかったとしたら、(それは)病変を外したのと同様のミス』なのです。