[管理番号:7181]
性別:女性
年齢:42歳
病名:なし
症状:しこり 腕のしびれ
初めまして、田澤先生。
先月母(72歳)が乳がんになり、色々情報収集していて、先生の乳がんプラザのQ&Aに辿り着きました。
この度は母ではなく、私の症状の件で問い合わせさせて頂きました。
2016年6月、2017年6月とマンモグラフィーと触診の乳がん検診を受診し、異常なしでした。
2019年1月、私(42歳)も自己検診をしました。
すぐに右胸の上内側にしこりを発見し、2/(上旬)エコーを撮って貰ったところ『触診は良性っぽいが、縦長で形が気になる。
大きさは1cm位』と言われ、2/(中旬)マンモグラフィーと細胞診を行いました。
細胞診の結果が2/(下旬)になるのですが、気になる事があります。
しこりを発見する前から、時々右の二の腕に痛みがありました。
精神的な事もあると思うのですが、2/(上旬)エコー以降 右指先のしびれがとてもひどいです。
脇の下などを調べたところ、腕の付け根付近に先生の言う『ごろりと触れる』かわかりませんが、何かある様に思えてきました。
リンパ節転移のしこりなら、素人でもすぐにわかる感じですか?
エコーの際、担当の先生には何も言われませんでした。
微熱も1週間続いていて、先生の言う『女性ホルモンによる刺激症状』だと良いのですが、どう思われますか?
あと万が一、細胞診の結果が悪性の場合は、田澤先生に手術をお願いしたいと思っております。
大阪に住んでいるので、あまり伺う回数を掛けれないのですが、どこまで地元で検査してから伺うと効率が良いとかありますか?
あと手術をお願いするとなれば、今ならどれ位先になりますか?
お忙しい所申し訳ございませんが、よろしくお願い致します。
田澤先生からの回答
こんにちは。田澤です。
「精神的な事もあると思うのですが、2/8エコー以降 右指先のしびれがとてもひどい」
→これは100%無関係
「リンパ節転移のしこりなら、素人でもすぐにわかる感じですか?」
→これも100%無関係
リンパ節転移は「よっぽど大きくならないと触知しない=1cmの腫瘍では(万が
一転移があったとしても)よっぽど大きくなることはありえない」
「微熱も1週間続いていて、先生の言う『女性ホルモンによる刺激症状』だと良いのですが、どう思われますか?」
→100%その通り(議論の余地なし)
「どこまで地元で検査してから伺うと効率が良いとかありますか?」
→いずれにしても2回受診が必要なので…
★万が一、細胞診で悪性だった場合(可能性が高いとは思いませんが)
初回受診日 診察→全身麻酔のための検査→針生検
2回目受診日 MRI→術式決定説明同意書入院案内
以上でいいのでは?
「あと手術をお願いするとなれば、今ならどれ位先になりますか?」
→1か月半くらいです。
質問者様から 【質問2 】
細胞診の結果
性別:女性
年齢:42歳
病名:
症状:右胸しこり、腕の痺れ
田澤先生、お世話になります。
いつも『乳がんプラザ』のQ&Aで勉強させて頂いております。
前回の質問の続きになります。
自己検診で右胸にしこりを発見し、触診&マンモ&エコー後に細胞診をして先週結果が出ました。
・標本適否: 適正
・赤血球: 多数
・好中球: 少数
・円柱上皮細胞: 中等量
(他の細胞成分の項目は空欄でした)
・判定: クラスⅢa
・所見: 核異型に乏しい裸核状細胞が見られるなか、異型性に乏しい乳管上皮細胞の集塊を認めます。
筋上皮細胞の付着が伺われます。
FAを考える細胞像です。
クリニックの先生曰く『良性の線維腺腫みたいだから経過観察にしましょう。4ヶ月後にまた来て下さい。
元々エコーで周りがモヤモヤしていて、境界が曖昧なので細胞診をした』と言われました。
しこりの大きさは最大の所でも1cm弱との事です。
一安心したのも束の間、田澤先生の『細胞診は術者の技量が非常に大きい。
検体量が不足している為にクラス3が出る事もある』と言っておられたのを思い出し、その場で針生検をお願いしました。
『ここでも針生検出来るけど、しこりも大きくないから、ちゃんと判定されるかはわからない。
市民病院なら紹介出来ます』と言われたので、紹介状を貰って、明日行く予定です。
そこで田澤先生に質問があります。
①(田澤先生ではない他の医師が細胞診をした事を考慮した上で)上記の細胞診結果はどう思われますか?やはり悪性の可能性は捨て切れませんか?針生検をして確定診断した方が良いですよね?
②細胞診の所見の意味がイマイチ理解できません。
詳しくご説明頂けますでしょうか?
③以前にもお伝えしていました『右脇に何か挟まってる感と熱感、二の腕のだるさ、指先の痺れ』が1ヶ月毎日続いております。
腕の付け根をギューっと縛られて、パッと離した後の様な状態が最近は日々ひどくなってます。
乳がんの所見として当てはまりますか?
④針生検でも確定診断が出来ない場合はあるのでしょうか?もし線維腺腫や診断不可能な場合は、手術で摘出生検をして調べた方が良いですか?
⑤エコーで言われた『周りがモヤモヤしていて、境界が曖昧』なしこりでも、線維腺腫の可能性はありますか?
お忙しい中お手数お掛けしますが、よろしくお願い致します。
田澤先生から 【回答2】
こんにちは。田澤です。
「①(田澤先生ではない他の医師が細胞診をした事を考慮した上で)上記の細胞診結果はどう思われますか?やはり悪性の可能性は捨て切れませんか?針生検をして確定診断した方が良いですよね?」
→その通り。
「②細胞診の所見の意味がイマイチ理解できません。詳しくご説明頂けますでしょうか?」
→「異型性に乏しい乳管上皮細胞の集塊」が「筋上皮細胞」を伴っている=癌細胞ではない
ということ。
「③以前にもお伝えしていました『右脇に何か挟まってる感と熱感、二の腕のだるさ、指先の痺れ』が1ヶ月毎日続いております。」
「腕の付け根をギューっと縛られて、パッと離した後の様な状態が最近は日々ひどくなってます。」
→「今週のコラム 111回目 大事なことは、これら①~④の病気など世の中には無いのです。それは(我々医師には)自明なことなのです。」及び「お知らせ」の『「生理と関係なく、胸や脇が痛い」方は、QandA「左胸と背中の痛み」をまずはご一読ください。』をご一読ください。
「乳がんの所見として当てはまりますか?」
→100%無関係(上記)
「④針生検でも確定診断が出来ない場合はあるのでしょうか?
もし線維腺腫や診断不可能な場合は、手術で摘出生検をして調べた方が良いですか?」
→針生検で十分です。
「⑤エコーで言われた『周りがモヤモヤしていて、境界が曖昧』なしこりでも、線維腺腫の可能性はありますか?」
→「可能性がある」というよりは…
その「可能性が高い」と思います。
質問者様から 【結果3 針生検の結果について】
性別:女性
年齢:42歳
病名:線維腺腫
田澤先生の診察:[診察なし]
田澤先生の手術:[手術なし]
バネ式針生検の結果が出ましたので、ご報告致します。
【病理診断】
benign(良性)
Fibroadenoma of the right breast(右乳房の線維腺腫)
【所見】
二層性を示す腺管と粘液腫状の間質の増生を認めます。
線維腺腫として矛盾しません。
これからは半年に一度の経過観察となりました。
先生からの回答で勇気づけられました。
お忙しい中、本当にありがとうございました。
<Q&A結果>