[管理番号:2677]
性別:女性
年齢:44歳
初めて質問させていただきます。
数年前から、右乳房下に2センチ程度(エコーの際は2.7センチ程度と言っていました)
のシコリがあり、少し大きいこともあり、マンモグラフィー、エコー検査、触診の結果
良性の腫瘍の様だが念のためと、パコラ生検を行いました。
先日、その結果が出ました。
良性の葉状腫瘍との診断でした。
最初のエコー画像を素人目で見た感じが、葉っぱのように見えていたため、
こちらのサイトで勉強させていただいておりましので、
やはりという感じで受け止めております。
ただ、そうなると手術が重要となると勉強いたしましたので、
葉状腫瘍の手術経験のある田澤先生にもお話を是非伺いたいと
ご連絡させていただきました。
以下、病理組織検査結果です。
◇所見◇
腫瘍組織は間質と上皮成分からなる混合腫瘍で、葉状構造が観察され、
周囲との境界は比較的明瞭ですが、部分的には浸潤性の増殖傾向がみられます。
間質紡錘形細胞には軽度の異形がみられ、まれに核分裂像が認められます(<5/10hHPF)。
細胞密度は高くはありませんが、粗密があります。
上皮成分は線維腺腫
管内型様の
過形成を呈しています。
以上の組織所見から、phyllodes tumor,benignを考えます。
鑑別としてFibroadenomaが挙がります。
以下質問です。
?上記病理組織検査より、間違いなく「葉状腫瘍」と判断した上での治療で
問題はございませんか?
?担当の医師からは、「良性でも摘出が望ましい。
マージンを取っての摘出となる」旨
説明がありました。
マージンについては5ミリ程度を考えているとのことでした。
今後は、4月初旬に乳腺MRI、その結果が4月下旬、その後5月下旬~6月頃に手術予定です。
なお、手術は全身麻酔で1泊2日(手術当日入院、翌日退院)の予定です。
田澤先生はどの様にご判断されますか?
?前述した通り、最初の手術が重要と考えておりますので、
自分でしっかりと見極めて手術をお願いしたい思っています。
その為、田澤先生にも一度診察いただきたいと考えております。
その手順と、その際に必要なものをお教えください。
お忙しいところ恐縮ですが、よろしくお願いします。
田澤先生からの回答
こんにちは。田澤です。
2.7cmの葉状腫瘍、
摘出、いいと思います。
「4cm, 5cmを超えてくる」と、こちらも気をつかいます。
「上記病理組織検査より、間違いなく「葉状腫瘍」と判断した上での治療で問題はございませんか?」
⇒間違いないと思います。
「鑑別としてFibroadenomaが挙がります」とありますが…
もちろん「葉状腫瘍と線維腺腫」はそもそも鑑別しにくいものですが、質問者の場合にはキーワードとして
①葉状構造が観察
②部分的には浸潤性の増殖傾向
③間質紡錘形細胞には軽度の異型
④まれに核分裂像
以上の所見からは(摘出してみたら)「境界悪性」の可能性も全く無いわけではなさそうです。
「担当の医師からは、「良性でも摘出が望ましい。マージンを取っての摘出」
「マージンについては5ミリ程度を考えている」
⇒マージンを付けることで安心です。
「田澤先生はどの様にご判断されますか?」
⇒まず、間違いなく「葉状腫瘍」だと思います。
しかも、(良性葉状腫瘍にありがちな)「線維腺腫としてもいいのでは?」という
程度ではなく、「きっちりとしたマージンが必要」と思います。
その意味でも担当医の「全身麻酔で、マージンをつける手術」を支持します。
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