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トリプルネガティブ乳がん(アポクリン乳癌)T1bの化学療法及びその副作用について

[管理番号:13010]
性別:女性
年齢:64歳
病名:トリプルネガティブ乳がん(アポクリン乳癌)
症状:右手を上げると術後の右胸、右脇の突っ張った感じはありますが、特に気になる症状はありません。
投稿日:2025年08月25日

お世話になります。乳がんプラザでの田澤先生のわかりやすく明快なご説明にいつも感謝しております。
2025年4月上旬、右乳房7時辺縁に境界明瞭可動性良好な腫瘤を自分で発見
同年4月(上旬)日、クリニックに行き、同月11日マンモトーム生研
同年5月(上旬)日、がんであることの告知を受けました。
【生研結果】   3本中1本中に癌を認める、組織推定型 浸潤性乳管がん、硬がん、核グレード2、組織体グレードⅡ、
       In situ病変(-)、検体上の浸潤径:8mm、波及度:g 脈管侵襲:ly0、Ⅴ0、
       バイオマーカー ER 0% PgR 0%、HER:1+ Ki?67 20%
同年5月(中旬)日 紹介状を得て、現在の病院を受診し、PET MRIにより全身検
査をしたところ、右乳房乳首上12時方向に非浸潤性乳管がんが発見
同年7月(中旬)日 手術(右乳房全切除)
同月(下旬)日   退院
【術後の組織検査結果】
浸潤径     1.0㎝
組織体グレード 3
核グレード   3
リンパ節転移  陰性
脈管侵襲    無し
術前化学療法  無し
ステージ    T1b
サブタイプ   トリプルネガティブ
ホルモン感受性 無し(エストロゲン受容体・プロエストロゲン受容体ともに0%)
HER2    +2 Fish陰性
Ki67:   30-50%
断端      陰性
術後、3か月間(4クール)A?を勧められています。
① 術後組織検査の結果を前提にした場合、田澤先生は私に対する最適な治療方法をどのようにお考えになりますか。
  これまでの類似相談の田澤先生のご回答を拝見いたしますと、トリプルネガティブで浸潤径が0.5㎝を超えているので、A
  ?・Tの6か月ということになるかと思いますが、いかがでしょうか。
  ちなみに現在の病院の方針説明では、1㎝以下の病変の場合、術後の化学療法の効果についてはよくわかっていない。アメリ
  カでは化学療法をしてもしなくてもT1bの場合、亡くなる方は5%ほどいる、私の場合は0.5㎝を超えていること、組織
  体グレード、核クレード3、Ki67が30から50%と高値で再発リスクが大きい病状であるので、A?療法3週間後ごと
  4回をお勧めするというものでした。私としては、抗がん剤にはかなりの抵抗を持っており(吐き気が起こるのが非常に嫌で
  す)、そのことは病院に当初から伝えておりますが、私の感情を抜きにして、客観的に考えた時、再発リスクが大きいのにA
  C・T6か月ではなく、AC3か月のみという方針が、「年寄だし、抗がん剤を嫌がっているし、抗がん剤が効くか効かないか
  よくわからないけれど、とりあえず化学療法ACだけやっておこう」ということのように思えるところもあり、何だか中途半
  端感が否めません。
② ガイドラインの「各レジメンの再発リスク抑制効果および有害事象の関係と該当するCQ」という図表によればHER2陰性
  早期乳がんに対して、A?療法よりTC療法の方が再発リスク抑制効果が高いように見えますが、ガイドライン上、TCを「弱
  く推奨する」で、実際にAC療法が勧められるのはどうしてでしょうか(この表は主にサブタイプがルミナ―ルに適用される
  のでしょうか)。
③ 組織検査の結果用紙は渡されていないのですが、保険会社に対する診断書には「Apocrine carcinoma」と
  記載されており、特殊型のアポクリン乳がんであったのではないかと思います。
私の組織検査の結果を総合的に見た場合、いわゆる予後の良い大人しいタイプの予後の良いアポクリン乳がんではないようなので、アポクリン乳がんであるかどうかはこ
  の際考えないで、サブタイプに応じた治療をするべき、という理解で間違いありませんか。
  それと言うのもアポクリン乳がんには抗がん剤が効かない、効きにくいという情報を見たり、私の場合、一側多発性の乳がん
  ですが両方ともアポクリン乳がんであるという組織検査結果だったようで、このことが再発しやすい乳がんの徴憑であれば苦
  しい化学療法を乗り越えたところで、再発という結果になるのではないか、化学療法をすることに意味があるのだろうかと思
  うことがあります(あれこれ考えたところでやってみないとわからないということは頭では理解しているのですが、いろいろ
  考えてしまいます)。
④ 4月(中旬)日のマンモトーム生研では「検体上の浸潤径8mm」となっています。
  今回7月(中旬)日実施の術後、浸潤径1㎝と説明されていますが、これは3か月の間に2mmほど浸潤径が大きくなっており、
  これは増殖性の高いがんであったということでしょうか。
⑤ 私の場合、田澤先生のお使いになっているソフトによれば、今後、無治療での再発リスク、病院の言う通りA?のみ実施した場
  合の再発リスク、AC・Tフルコースを実施した場合の再発リスクのパーセンテージはどの程度になりますでしょうか。
⑥ 現在の病院の提案に従った場合、実は私にはA?が効果がなく、TCの方が効果があるというリスクがあると思いますが、そ
  れは実際にやってみて、先々の状況を見ないとわからないということでしょうか(同じような質問で申し訳ありません)。
⑦ A?の心毒性についてですが、私の年齢(64.5歳)、そして、20代のころより、高脂血症(直近で総コレステロール26
  4)は心筋梗塞・心不全のハイリスク因子にならないでしょうか。
⑧ 抗がん剤は脳血管関門により脳には回らないと聞いていますが、そうすると結局のところ、抗がん剤では脳転移は防げないと  いうことになりますか。
⑨ 職業(知的サービス業)柄、ケモブレインの副作用が起こった場合、業務に多大な支障を来たします。ACあるいはタキサン
  系の抗がん剤の副作用としてケモブレインが起こりやすいかという点について田澤先生のご経験からは何かお感じになるとこ  ろはございますか。
⑩ 抗がん剤を投与する際、副作用軽減のために頭、手先・足先についてcoolingを行おうと考えております。
  頭皮については以前、coolingが抗がん剤治療の妨げにならないという田澤先生のご回答がありましたが、手先・足先について
  も抗がん剤治療の妨げになるということはないという認識で大丈夫でしょうか。
⑪ 私は、身長163㎝、体重44㎏ですが、ネットに出ていた体表面積(Dubois式)の計算式によれば、1.44で抗がん剤投
  与量(A?60/600と言われています)は一回辺り86mg/㎡でこれを4回ということは合計で344mgということに
  なりますか。ただし、生涯投与量は500mgでそれは体表面積1㎡である場合、という理解で大丈夫でしょうか。 

田澤先生からの回答

こんにちは。田澤です。

さすがに質問が多すぎなので要点だけをまとめます。

1.pT1bは(エビデンスとして数的に正確な評価をすることは不可能なので)あくまでも「抗がん剤を考慮する」にとどまる。
2.結果的に抗がん剤を選択するのであれば(トリプルネガティブといえども)TC療法が許容される。
3.アポクリン癌は(明らかにおとなしいタイプというものでなければ)基本的にはサブタイプに応じた治療選択となる。

上記と思います。
もう一つ、なぜ(TCではなく)ACを勧めているのか?について(あくまでも可能性として)回答すると
TCの場合にはdocetaxelによるanaphylaxieや痺れ、浮腫みなどのため、副作用がシンプルでかつ(制吐剤の進化により)対処しやすいanthracyclineを(low riskへの)第一選択としているのではないでしょうか?

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再質問をする場合、下記日付以降にしてください。
(回答が公開されてから2週間後)
2025/9/15
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