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術後の治療方針について御教授下さい

[管理番号:12585]
性別:女性
年齢:56歳
病名:右浸潤性乳癌(硬性型) ステージ1 ルミナールA
症状:
投稿日:2025年03月23日

田澤先生、はじめまして。
乳癌疑いとなってから、いつも勉強させて頂いております。
背景や条件によって本当にそれぞれの答えがあるものだと実感しております。これだけたくさんのQ&Aに丁寧に対応して下さっており、迷える子羊の私達患者にとっては本当に救われるサイトを運営して下さっていることに感謝申し上げます。

56歳 (閉経後1年半)
私は昨年12月に健診で乳癌疑、1月に針生検を経て結果乳癌の診断を受けました。
CNB; ICD(scirrhous type), HER21+,ER6(80%),PgR6(80%),Ki67(6%),cT1N0M0 腫瘍約1.7cm
2月に温存手術+センチネルリンパ節生検を受け、先日病理結果の説明を受けました。

術後の病理結果は・・・
腫瘍の大きさ 1.4cm (浸潤系=腫瘍径)  断端陰性
浸潤性乳管癌 硬性型
センチネルリンパ転移 なし
脈管侵襲 v,Lyともに陽性
組織学的波及度 f
リンパ節転移 なし
ER TS8
PgR TS6
HER2 1+
Ki67 15%
グレード 2 (2.Ⅱ)
PT1cPN0 ルミナールA

結果説明としては・・・
① 腫瘍は1.4cm 断端は全周性に陰性で放射線は省略で良い
(この病院の判断基準に基づくものであり問題ないと考えてるが、心配なら照射は可能とのこと)
② 「問題は脈管侵襲があることと、Ki-67が高めでギリギリなので抗がん剤が要検討。
抗がん剤をあまりやりたくないと思っているなら、ホルモン療法だけとするのもダメではないけど・・・。オンコタイプで判定しても良いが、高額なことと、高リスクだったら抗癌剤勧めることになるし・・・。どうしますか?」とのことでした。
このデータから高リスクと出る可能性が高いと思われますか?と質問したところ「微妙です」と。
微妙と考える根拠を尋ねると
「腫瘍が1.4cmあり、脈管侵襲がV,Lyともに陽性、Ki-67が15%と高め、グレード2、ホルモンは陽性だがPgRが少し低いこと」が理由とのことでした。
オンコタイプチェックを是非勧めるという感じでもなく、微妙とする内容が多かったので、私も即決できず1週間後までに検討してきますと結論は保留にしてきました。

これまで私が先生のサイトを中心に勉強した印象からは最初に結果を眺めた時には、
ステージ1ルミナールAでホルモン療法の適応。オンコタイプも受けず抗がん剤なしで良いのかなと思いました。
(「Ki-67は臨床的には20%以下ではルミナールAで良し」「ルミナールAでは化学療法の上乗せがない」「グレードは参考で良い」「脈管侵襲は気にしなくてよい」などのコメントを拝見しておりましたことなどからの私の勝手な判断です)
ただ主治医から「腫瘍が1.4cmあり、脈管侵襲がV,Lyともに陽性、Ki-67が15%と高め、グレードも2、ホルモンは陽性だがPgRが少し低い」ことが、抗がん剤追加の検討要素になると言われ、単品では「参考で良い」ものや「気にしなくて良い」ものなどでも、これだけ組み合わさってくると考え方を見直す必要があるのかと不安になりました。改めて色々と調べてみたものの、結論にたどり着けずに落ち着かなくなってしまいましたので、田澤先生のお力をお借りさせて頂ければと思った次第です。

① については先生のお話では温存では全例照射が標準治療ということでしたので、施設基準では照射省略でも「心配なので放射線治療希望します」とするのが適切でしょうか?
② については単項目での評価は重要視するほどではないにしても、それが複数になった場合にどういう評価をするのが正しいのか、そして 私は積極的な抗がん剤使用の希望はありませんが、オンコタイプを受けて方針を決定した方が良い状態なのでしょうか?

お忙しいところ大変申し訳ないのですが治療方針につき御教授頂けますと幸いです。
どうぞよろしくお願い致します。

田澤先生からの回答

こんにちは。田澤です。

① 腫瘍は1.4cm 断端は全周性に陰性で放射線は省略で良い
(この病院の判断基準に基づくものであり問題ないと考えてるが、心配なら照射は可能とのこと)

⇒温存手術は「そもそも」術後照射が前提なので(断端が陽性の場合のみに適応があるわけでは全くありません)何かの理由が無い限り(高齢やハイリスクなど)省略は進められません。

② 「問題は脈管侵襲があることと、Ki-67が高めでギリギリなので抗がん剤が要検討。
抗がん剤をあまりやりたくないと思っているなら、ホルモン療法だけとするのもダメではないけど・・・。オンコタイプで判定しても良いが、高額なことと、高リスクだったら抗癌剤勧めることになるし・・・。どうしますか?」とのことでした。
このデータから高リスクと出る可能性が高いと思われますか?と質問したところ「微妙です」と。

⇒Ki67=15%が「ギリギリ」とは、(その医師の解釈には)実に驚きです。

十分な低値です。
なので(Ki67で考えると)抗癌剤は寧ろ不要と思いますが、金額が高いとはいえやはりOncotypeDXを勧めます。

① については先生のお話では温存では全例照射が標準治療ということでしたので、施設基準では照射省略でも「心配なので放射線治療希望します」とするのが適切でしょうか?
⇒その通り(上記)

② については単項目での評価は重要視するほどではないにしても、それが複数になった場合にどういう評価をするのが正しいのか、そして 私は積極的な抗がん剤使用の希望はありませんが、オンコタイプを受けて方針を決定した方が良い状態なのでしょうか?
⇒OncotypeDXをお勧めします。(おそらく確率的にはlow riskとなると思います。経験上PgRも高くKi67も低いので)

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再質問をする場合、下記日付以降にしてください。
(回答が公開されてから2週間後)
2025/4/10
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