[管理番号:12545]
性別:女性
年齢:56歳
病名:浸潤性小葉がん
症状:術後、アロマターゼ阻害剤服用開始。今後放射線治療開始予定
投稿日:2025年03月07日
初めまして
左乳房全摘手術、腋窩リンパ節郭清をした妻の今後の治療について、ご教授頂きたくお願いいたします
現在、妻はホルモン療法「レトロゾール2.5mgの服用」開始した段階です(妻は「閉経後」)
【経緯】
2024年6月、自分で左脇のリンパの辺りのしこりに気付き乳腺外科を受診する。
マンモとエコーでは乳房に異常所見は無く、リンパ部のしこりは3cm程の大きさで、
細胞診を実施。結果、「悪性」であり、原発が不明との事で、別の病院(腫瘍内科)を紹介される。
7月、紹介先の病院にて、細胞診の結果は「腺癌」であり、乳がんか肺がんの疑いありとの事でCT頭蓋~骨盤(造影)、マンモ、エコー実施し、CTの結果肺に異常なし、乳房にも原型のがんは見当たらないが、エコーで左の外側の真ん中辺りに「モヤモヤ」がある。ここで乳腺科へまわされ乳がんのリンパ節転移では無いかと説明される。
その後の検査で、
骨シンチ??骨転移無し、臓器への転移なし
MRI??乳房はモヤモヤが映る、リンパ部はCT、MRIで見るとしこりの他3個くらいはある
針生検??乳房のモヤモヤ部の悪性の診断はつかなかった、微小病変であり腫瘍を採取できていないと考えられるとの事。リンパ節のしこりからは病変採取。
浸潤性小葉がんの疑いが強いとの事
治療方針が決まり、
2024年8月~2025年1月 術前化学療法実施
①AC療法 1回/3週×4回
②DTX療法 1回/3週×4回
1月末に術前検査を行い、2月 左乳房全摘手術、腋窩リンパ節郭清(レベルⅡ)をしました
ここまでの診断結果としては、
左 乳がん
浸潤性小葉がん
がんの大きさ 1.1cm T1c(モヤモヤ部が造影された部分の大きさとの事です)
リンパ節転移あり N1
遠隔転移 なし M0
病期 ⅡA
がんの組織学的異型度2
増殖能(Ki67)47.9%、高
HER2 2+??追加検査でも2+(境界線であるから陽性では無いという判定で「陰性」)
ホルモン受容体??エストロゲン受容体 陽性、プロゲステロン受容体 陽性
ルミナールBタイプ
術後病理診断結果としては
「化学療法著効し、乳腺、リンパ節全てでがんは消失 PCR、完全奏功」と説明ありました。
当初は手術時に採取したがん組織から遺伝子検査もする予定でしたが全て消失したため出来無いということでした。
主治医からは今後の治療方針(補助療法)として下記の3つを示されました
①ホルモン療法(アロマターゼ阻害剤、毎日内服、10年間)
②放射線療法(総量50Gy、平日毎日通院治療で約1ヶ月間)
③CDK4/阻害剤服用(ベージニオ、1日2回、2年間)
ところが先日、③を提示したのは間違いで、「完全奏功」であることから服用は不要と説明を受けました。
手術に至るまで「散らばりやすいガンなので抗がん剤は服用することになる、手術時の病理検査結果から薬の種類を決める」と聞かされてきたので、服用しないことで再発のリスクが高まるのではと不安になり、服用することはできないか?と質問したところ、「完全奏功なので保険適用にならない」と言われました。
もちろん、保険適用外ならばその選択をすることは無いのですが、自分で調べてもそのことを記したソースが見つからず、本当にそうなのか?との疑問があります。またベージニオだけがダメなのか、他の薬の選択肢は無いのか、と正確なところが分からずにいます。
【質問】
妻のケースの場合、主治医の示す方針が標準で最善なのでしょうか?
最善の道を探りたくネットで調べても様々な情報に溢れ、再発の不安が増長するばかりです。
田澤先生からの回答
こんにちは。田澤です。
Abemaciclibの術後補助療法の適応はluminal(HER2 negative)で以下の2つとなります。
1.リンパ節転移4個以上
2.リンパ節転移1~3個(術前薬物療法前の細胞診でも可)でかつ組織学的グレード3もしくは腫瘍径5cm以上
結局、質問者は術前抗がん剤をしているので上記1を満たす証拠がありません。
しかし2においては「グレード3もしくは腫瘍径5cm以上」を充たしていないので
結局「適応外」となるのです。
【質問】
妻のケースの場合、主治医の示す方針が標準で最善なのでしょうか?
⇒術前に(術前術後の補助療法として適応のある薬剤である)「anthracycline 及びtaxaneを行っている」ので、術後はホルモン療法以外適応はありません。
主治医の提案は至極「妥当」な提案です。
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再質問をする場合、下記日付以降にしてください。
(回答が公開されてから2週間後)
2025/3/31
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