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乳房内再発+皮膚の多発結節再発について

[管理番号:11836]
性別:女性
年齢:49歳
病名:
初回:浸潤性小葉癌(3-5mm複数)+DCIS リンパ節転移なし ルミナールA Ki67LI<10% 10年後再発: 浸潤性乳管癌(15mm,5mm)+皮膚転移(多発結節) リンパ節転移なし トリプルネガティブ Ki67LI 19.3% 症状:10年後の温存乳房内+皮膚多発結節再発で乳房全摘術後
投稿日:2024年06月07日

(経過) 10年前 DCISで乳房温存術。病理結果で浸潤性小葉癌+DCIS。乳頭直下に断端陽性あり。 術後療法は放射線治療25回のみです。ホルモン治療は実施していません。 【病理結果】ILC(3-5mm複数)+DCIS, LN(-), Nuclear grade1, mpT1a, Ly±, V-, 60 ×35×20m ルミナールA ER>90%, PgR>90%, Hercep test1+,Ki67LI<10%

断端陽性

術後10年目 手術した左胸の乳頭左側1㎝あたりに虫刺されのような赤い丘疹出現。
数か月で7㎜大に増大。その周囲に数㎜大の結節が複数個現れました。少し遅れて乳頭から5㎝程離れた場所にも小さい結節が出現しました。エコー検査で温存術瘢痕部に14㎜の結節があり、再発+皮膚転移の診断で乳房全摘術をうけました。
【病理結果】IDC(15㎜,5㎜),LN(-), Nuclear grade3, rpT4b,Ly1,V0 92mm 断端陰性
トリプルネガティブ ER 0%, PgR 0%, Her2(4B5) 1+,Ki67LI 19.3%

(質問)
1.温存乳房内結節と皮膚に多発する結節での再発です。これは局所再発と考えてよいですか?新たな癌が発生したのでしょうか?

2.主治医から、温存内乳房再発と同時に皮膚病変が出現するケースは珍しいと言われました。症例をたくさんみられている田澤先生でも同じような症例は少ないのでしょうか?

3.今後の治療としてはAC療法+タキサン、その後10年間のホルモン療法を提示されています。先生のお考えをお聞かせください。

4.先生の施設ではAC療法ではなくEC療法をされているようですが、効果や心毒性にどのくらい差があるのでしょうか?

5.AC療法やEC療法は2週間おきのものと3週間おきのものがあるようですが効果と副作用はどれくらい差があるのでしょうか?

6.今回、数か月の間に結節がぽつぽつ現れてきました。乳頭から5㎝程離れた場所にも出たので、悪性度が高く遠隔転移しやすいのではないか不安があります。今後もまた出てきた場合、結節はその都度、切除できるのでしょうか? イボの治療のように液体窒素で焼くような治療もありますか? 切除の限界があれば、どのように判断されるのでしょうか?

7.先生のブログで治療の影響で再発時サブタイプが変わることがあると知りました。初発時、ルミナールAで術後ホルモン治療は行っていないのに、再発時、トリプルネガティブに変化しているのはなぜでしょうか?

田澤先生からの回答

こんにちは。田澤です。

1.温存乳房内結節と皮膚に多発する結節での再発です。これは局所再発と考えてよいですか?新たな癌が発生したのでしょうか?
⇒局所再発です。

2.主治医から、温存内乳房再発と同時に皮膚病変が出現するケースは珍しいと言われました。症例をたくさんみられている田澤先生でも同じような症例は少ないのでしょうか?
⇒通常、温存術後の局所再発は乳房内再発、全摘後の局所再発は胸壁(筋層もしくは皮膚表面)再発(皮膚病変は遠隔転移ではありません)となります。

おそらく、初回術後の病変が「多方向で残存」しており、「乳腺内」と「皮膚側」両方に再発したのでしょう。
あまり見ないケースです。

3.今後の治療としてはAC療法+タキサン、その後10年間のホルモン療法を提示されています。先生のお考えをお聞かせください。
⇒anthracycline followed by taxane はいいとして、TNなのにhormone? 初回がluminalとは言え無意味では? 私であれば、その後PD-L1抗体を測定しpembrolizumab/atezolizumabを検討します。

4.先生の施設ではAC療法ではなくEC療法をされているようですが、効果や心毒性にどのくらい差があるのでしょうか?
⇒殆ど同じです。

5.AC療法やEC療法は2週間おきのものと3週間おきのものがあるようですが効果と副作用はどれくらい差があるのでしょうか?
⇒dose dense(bi-weekly)は必要時のみ行い、通常はtri-weeklyで行います。

6.今回、数か月の間に結節がぽつぽつ現れてきました。乳頭から5㎝程離れた場所にも出たので、悪性度が高く遠隔転移しやすいのではないか不安があります。今後もまた出てきた場合、結節はその都度、切除できるのでしょうか? イボの治療のように液体窒素で焼くような治療もありますか? 切除の限界があれば、どのように判断されるのでしょうか?
⇒「数か月の間に結節がぽつぽつ現れて」とは?
数か月間も放置(経過観察)? 早めに対処すべきです。

7.先生のブログで治療の影響で再発時サブタイプが変わることがあると知りました。初発時、ルミナールAで術後ホルモン治療は行っていないのに、再発時、トリプルネガティブに変化しているのはなぜでしょうか?
⇒不明です。

***
再質問をする場合、下記日付以降にしてください。
2024/6/14
***

  

質問者様から 【質問2】

乳房内再発+皮膚の多発結節再発について
性別:女性
年齢: 49歳
病名:再発乳癌 トリプルネガティブ
症状:10年後の温存乳房内+皮膚多発結節再発で乳房全摘術後
投稿日:2024年06月14日

先日はお忙しいところ、速やかにご回答いただきありがとうございました。
大変参考になりました。
前回の質問で説明が不十分な箇所がありましたので説明および追加の質問をさせていただきます。

6.先生のご回答
⇒「数か月の間に結節がぽつぽつ現れて」とは?
数か月間も放置(経過観察)? 早めに対処すべきです。

→放置ではなく、再発と診断されてから手術まで約2か月間の待機期間があり、その間に新たな皮膚結節が数か所現れたという意味です。説明がわかりにくく申し訳ありませんでした。
術前に確認できた結節はマージンを確保の上、手術ですべて切除できています。

(質問)
1.手術するまでの短期間に新たな皮膚結節が現れました。今後、また皮膚に局所再発するリスクは高いのでしょうか?

2.再度、皮膚に結節が出てきた場合、結節はその都度、切除できるのでしょうか?
 切除の限界があれば、どのように判断されるのでしょうか?

3.皮膚の局所再発をイボの治療のように液体窒素で焼くような治療もありますか?

4.私のように「乳腺内」と「皮膚側」両方に再発するのはあまり見ないケースとのことでした。「局所再発」と「遠隔転移」は別物と理解していますが、やはり遠隔転移を心配してしまいます。私の場合、遠隔転移のリスクが高いと感じますか?先生の豊富なご経験の中からでの所感で結構です。教えてください。

以上、よろしくお願いいたします。

田澤先生から 【回答2】

こんにちは。田澤です。

1.手術するまでの短期間に新たな皮膚結節が現れました。今後、また皮膚に局所再発するリスクは高いのでしょうか?
⇒それは無論不明ですが…
今度は、早めに対処してくれることと思います。 早めに対処することです。

2.再度、皮膚に結節が出てきた場合、結節はその都度、切除できるのでしょうか?
 切除の限界があれば、どのように判断されるのでしょうか?

⇒広範囲になり過ぎると皮膚が(植皮したとしても)追いつか無くなります。 なので毎日きちんとチェックして少しでも怪しければ(小さいうちは局麻でも対処できるのだから)すぐ切除してもらいましょう。

3.皮膚の局所再発をイボの治療のように液体窒素で焼くような治療もありますか?
⇒ありません。

4.私のように「乳腺内」と「皮膚側」両方に再発するのはあまり見ないケースとのことでした。「局所再発」と「遠隔転移」は別物と理解していますが、やはり遠隔転移を心配してしまいます。私の場合、遠隔転移のリスクが高いと感じますか?先生の豊富なご経験の中からでの所感で結構です。教えてください。
⇒無関係

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再質問をする場合、下記日付以降にしてください。
2024/6/21
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