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トリプルネガティブの化学療法について

[管理番号:11061]
性別:女性
年齢:45
病名:乳がん
症状:
投稿日:2023年4月28日

妻がトリプルネガティブ乳がんステージ2と診断されました。
リンパ転移ありです。

妻には強迫性障害があり、不安感が強いことから術後化学療法を選び先日術を終えましたが、トリプルネガティブの場合、術前化学療法を選択する医師が多く見受けられます。

実際に同じ日に手術した方は術前化学療法を選択していましたしインターネットなどでも術前化学療法を選択している患者さんが多い気もします。

しかしながら田澤先生は手術先行を勧められているとこのサイトでも見させていただきました。

なぜ他の医師は術前化学療法を勧めるのでしょうか?メリットが多いのでしょうか?
・抗がん剤の効果がわかる
・小さくして温存できる
・完全奏効しなかった場合、ゼローダなどの薬剤を使用できる?

妻はこれらの情報を見て術前化学療法を選ばなかったことに不安を感じているようです。

よろしければ教えていただけるとありがたいです。
よろしくお願いいたします。

田澤先生からの回答

こんにちは。田澤です。

なぜ他の医師は術前化学療法を勧めるのでしょうか?
⇒私も常日頃から不思議に思っています。

メリットが多いのでしょうか?
⇒違います。(誤解が多いようですね)

・抗がん剤の効果がわかる
⇒全く無意味!!!
 術前術後の抗がん剤はanthracycline及びtaxaneしか使えない(適応が無い)ので、何の意味もありません。
 ★つまり「(術前)訊かなかったから、術後には別の抗がん剤にしましょう」が、
そもそもできないのです。(その「別の抗がん剤(anthracycline,taxane以外)」は適応外であるため)

・小さくして温存できる
⇒無論、これを望んでいるのであればこれが「唯一」術前抗がん剤を選択してもいい理由となります。

・完全奏効しなかった場合、ゼローダなど
⇒適応外ですよ”!!!!!!!!!!!!
  ゼローダ(capecitabine)の添付文章を見れば解ります。 絶対にやってはいけない!!!!!!!

***
再質問をする場合、下記日付以降にしてください。
2023/5/15
***

質問者様から 【質問2】

ステージ2bの再発率とki値について
性別:女性
年齢:45
病名:乳がん
症状:
投稿日:2023年5月15日

早速ご質問の返答ありがとうございました。

妻が手術先行で治療したことについて不安を抱いておりましたが田澤先生の返答で少し落ち着いたようです。

妻はトリプルネガティブ2bで
腫瘍径 34ミリ
リンパ転移 2/18(レベルⅠ、Ⅱ各1つ)
グレード2
ki値17%
です。

田澤先生はサブタイプは治療方針を決めるもので予後を決めるものではない、とおっしゃっていますが、グレードやki値はどうでしょうか?
妻の場合、再発率はどの程度でしょうか?

リンパ転移していることは影響しますでしょうか?

よろしくお願いいたします。

田澤先生から 【回答2】

こんにちは。田澤です。

妻の場合、再発率はどの程度でしょうか?
⇒pT2, pN1, pStage2B 術後補助療法(トリプルネガティブだから
anthracycline+taxane)をやると15%前後だと思います。

***
再質問をする場合、下記日付以降にしてください。
2023/5/22
***

質問者様から 【質問3】

リンパ転移について
性別:女性
年齢:45
病名:乳がん
症状:
投稿日:2023年5月23日

早速再発率の数値を教えていただいてありがとうございます。

田澤先生が毎日多くの患者さんと向き合われてるからこその数値だと考えると前向にとらえられるようで妻も落ち着いています。

リンパ転移について今回お聞きしたいのですが、リンパ侵襲はあったものの、血管侵襲はなかったと聞いております。

この場合は遠隔転移は今の段階では無いと考えても大丈夫なのでしょうか?

またki値17%、グレード2についてですが、妻の数値からすると再発する可能性が高めの方より低くなるようなことはありますでしょうか?

度々の質問で申し訳ありません。

よろしくお願いいたします。

田澤先生から 【回答3】

こんにちは。田澤です。

リンパ転移について今回お聞きしたいのですが、リンパ侵襲はあったものの、血管侵襲はなかったと聞いております。
この場合は遠隔転移は今の段階では無いと考えても大丈夫なのでしょうか?

⇒どうも皆さんは「脈管侵襲(リンパ管侵襲や血管侵襲)を気にする傾向が強い」ように(質問者だけではなく)皆さんに感じています。

簡単に言えば、脈管侵襲は単なる「たまたま病理医が見た切片の血管やリンパ管の中に癌細胞らしき像を認めたかどうか?の印象」に過ぎません。
病理医業務としては重要かもしれませんが、我々臨床医からすると全く無関係!

つまり、リンパ管侵襲があっても(たまたま病理医が見たスライドでリンパ管内に癌細胞があっても)リンパ節転移がないことも普通のことだし、その逆も真なり(リンパ管侵襲が無くてもリンパ節転移がある)
これは血管侵襲でも同様です。
そもそも癌細胞が血管内に(仮に)入ったとしても、それが遠隔臓器に生着するとは限らない(リンパ管でも同様)
「逆も真なり」でいうと「たまたま病理医が検鏡したスライドで癌細胞が血管に入っていない像」だったからといって、(それ以外の場面で)癌細胞が血管に入っていないとは「全く」言い切れないのです。

イメージするとしたら、「流しそうめん」ですね。
ある定点観測で写真を撮影した際に、「たまたま、その時間その場所には」素麺が写って居なかったとして、それは「素麺を流していない」わけではなく、「すでに素麺が流れ去って先へ行ってしまっていた」だけかもしれないのです。

またki値17%、グレード2についてですが、妻の数値からすると再発する可能性が高めの方より低くなるようなことはありますでしょうか?
⇒Ki67は癌細胞の細胞分裂の割合なので、基本的に再発率というよりは増殖率に親和性が高いと思います。
 グレードはあくまでも参考程度

***
再質問をする場合、下記日付以降にしてください。
2023/6/1
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質問者様から 【質問4】

キートルーダについて
性別:女性
年齢:45
病名:乳がん
症状:
投稿日:2023年12月19日

妻がトリプルネガティブ2bで手術先行で治療しました。
抗がん剤はドーズデンスAC(アンスラサイクリン)を2週間ごとで4回、ドーズデンス
パクリタキセル(タキサン)を4回の治療方法を選択しました。
最近のトリプルネガティブの治療方法ではキートルーダを術前化学療法で行う病院が
多いですが予後にそれ程に変わりがあるのでしょうか?
江戸川病院でもキートルーダを利用した治療方法を用いているのでしょうか?
キートルーダを選択しなかったことを不安に感じているようです。
よろしくお願いいたします。

田澤先生から 【回答4】

こんにちは。田澤です。

江戸川病院でもキートルーダを利用した治療方法を用いているのでしょうか?
キートルーダを選択しなかったことを不安に感じているようです。

⇒以前にコラムで記載しましたが、

術前化学療法としてpembrolizumabを使う場合は
1.若くて合併症がない
2.想定される有害事象が(通常の抗癌剤と異なり)非可逆的なものもありえる。
3.ある程度進行している
4.積極的に勉強していて、上記をきちんと理解した上で「それでも」希望する

1~4を充たさない限り、行うべきではないと私は思っています。(早期で安易に勧めるなど、とんでもないことだと思います。)

コラム pembrolizumab で検索したページ

***
再質問をする場合、下記日付以降にしてください。
2023/12/27
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質問者様から 【質問5】

トリプルネガティブ乳がんの骨転移について
性別:女性
年齢:45
病名:乳がん
症状:骨転移
投稿日:2024年02月26日

いつも拝見させていただいております。
2ヶ月前に腕を伸ばした際に腕の筋を痛めてから痛みが取れずMRI検査を受けたところ骨の真ん中あたりに変色部分があり転移の可能性があると言われました。
PET検査を先週受け検査結果待ちですが初発の骨転移で上腕骨からなどは可能性的にあるのでしょうか?

また1月に胸部CTを撮り異常なしなのですが、PET検査で新たながんが見つかることはあるのでしょうか?

教えてくださると幸いです。よろしくお願いいたします。

田澤先生から 【回答5】

こんにちは。田澤です。

心配な気持ちは重々理解できますが…

「PET検査を先週受け検査結果待ち」とあるので、まずはその結果を待ちましょう。
(PET結果が出た上で)もしも必要なら、再度メールしてください。

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<質問が5回に達した方>
・次の質問(6回目)から、1か月空けてください。
・再質問をする場合、下記日付以降にしてください。
2024/4/4
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