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悪性葉状腫瘍の局所再発と遠隔転移の相関性

[管理番号:11005]
性別:女性
年齢:47
病名:悪性葉状腫瘍
症状:全摘済
投稿日:2023年3月28日

田澤先生

こちらのページで乳腺疾患について勉強させていただいております。
ご多忙な先生がこのような発信をされることで何人もの女性や家族が救われていると思います。
私もその一人です。
ありがとうございます。
私は昨年8月に悪性葉状腫瘍と診断され、現在、経過観察となりました。
再発を繰り返すたびに悪性化してしまったパターンです。
これまでの対応に後悔はありますが、前を向いて行こうと考えています。
と言いつつも、主治医とのやりとりで心配なことがあり、ご相談する次第です。
悪性葉状腫瘍と局所再発と遠隔転移の相関性です。

以下、既往歴を記載します。

20代前半に右乳房にしこりを感じる。

20代後半になり大きくなってきたように感じ乳腺外科を受診。
マンモ、エコーで良性と診断され、1年に一度の検診で経過を観察することとなったが、自己判断で検診に行かなかった。

33歳でしこりが大きくなったと感じ再受診。
3センチを越しているので、全身麻酔で摘出となる(マージン不明)。
結果、3.4センチの乳腺線維腺腫と診断される。
 
30代後半から41歳まで2年に1度程度乳がん検診を受診する。
異常なし。

42歳 以前、線維腺腫があった場所にしこりを見つける。
痛みがあり以前と異なると感じるが様子を見る。
しこりを見つけてから10ヶ月ごろに急に大きくなってきているように感じエコー、マンモを受ける。
3.4cmの軽い浸潤が見られる腫瘍と医師に伝えられる。

43歳 マンモトーム生検を受ける(海外在住のため海外にて)。
悪性細胞はないが急速増大があるため摘出を勧められる。

43歳 日本に帰国した際に東京都内の個人クリニックにて摘出。
線維腺腫の一部に葉状腫瘍が混ざっていたと告げられる。
5cm。
1年に1度の検診を受けるように告げられる。

44歳 エコー、マンモ。
異常なし。

45歳 エコーにて複数の腫瘍を認める。
最大1.4cm。
医師から「しこりは3つも4つもある。がんじゃない。
あなたの場合は取ってみないと線維腺腫か葉状腫瘍かわからないから、大きくなったら取ればいい。葉状腫瘍は悪いことはしないから。」と告げられる。

46歳5ヶ月 しこりの大きさが変化し、さらに、上記の医師の発言を不審に思い、別のクリニックを受診。
エコー、マンモの結果腫瘍は5cmに達しており、エコーで悪性と思われるような拡がりが見えると告げられる。
MRIで悪性の疑いあり。
1ヶ月後に手術。
腫瘍摘出。
病理の結果、境界性の葉状腫瘍5.2cmの一部に間質の一方的な増殖層が1.8cm程度あり、その部分が悪性(核異形、細胞密度高、核分裂20以上/10HFP、、Ki-67
10-15%、P53過剰発現無)と診断される(その他の部分は軽度異形、核分裂5/10HFP程度)。
主治医より、手術部の傷が落ち着く2-3ヶ月待って再度検査した上で、追加切除すると言われる。
その時点でPET/CTをするが遠隔転移はなし。
なお、当時は海外在住だったこともあり、組織診をする時間がなく、最初から摘出生検をすることを私が希望したため、組織診なしで摘出生検しました。
ただし、MRIで葉状腫瘍が疑われるという診断後に医師にはマージンを取った手術を依頼しましたが、その段階では医師がそれを
了承せず(その段階では過剰なので、摘出生検後に決定と言われる)、マージンを取らずに核出手術となりました。

46歳9ヶ月 手術から3ヶ月後に再受診。
エコー、MRIでは再発や残存腫瘍は認められないため、2週間後に追加で乳房部分切除術を受ける。
病理で切除部分に7mm x 3mmの残存(境界性以上と思われる病変で深部断端陽性)と別の場所に再発を疑う間質増殖
1mmの病巣が見つかる(剥離面に近接した病変で慎重なフォローアップをお願いしますとの病理医コメント有)。
病理結果を踏まえ、再発の可能性が高いため、全摘を勧められる。
同クリニックでは全摘の手術はできないことと、希少なケースであるため、都内のがん専門病院へ紹介される。

46歳10ヶ月 都内のがん専門病院を受診。
手術が混雑しており、3ヶ月待ちであるが、
悪性葉状腫瘍の追加切除であるため、2ヶ月以内に手術実施すると告げられる。
2ヶ月は長いように感じると医師に告げたが、主病巣はとっており、さらにエコーで眼に見える腫瘍はないので、2ヶ月待っても何も起きないというように告げられる。
その後エコー、CT検査を実施。
再発や遠隔転移は認められず。
検査の1ヶ月後に手術となる。

47歳 乳房全摘。
病理結果、部分切除時に切除した周辺には病巣はなかったが、少し離れた場所に1cmの新たな悪性葉状腫瘍がみつかる。
乳頭裏にあり、エコーやC Tでは見えなかったと主治医から説明を受ける。
遺残はなく、完全に摘出されているため、6ヶ月後のエコー、1年後のCT検査となる。

質問1. 今回、乳頭斜め下(外側)あたりの皮膚に接した箇所に1センチの再発がありました。
元々腫瘍があった場所から近い場所です。
悪性との診断がついてから7ヶ月後で再発していたことになります。
これは病巣の取り残しによるものなのでしょうか?
それとも新たな病変なのでしょうか?再発までの期間が短くこれは悪性度が高いと見るべきでしょうか?
全摘までに時間を要しましたが、これによって最初から全摘したのと同じ状態になったのでしょうか?
それとも、時間を費やしてしまったことによって、遠隔転移の可能性は高くなったものと考えられるでしょうか?
主治医からは再発と遠隔転移は別物であり、さらには悪性葉状腫瘍の場合の予後予測要因は色々な論文があるけど、明らかなものはなっていないので、今現在言えることはないため、あまり考えすぎないようにと言われています。
局所再発と遠隔転移の相関性について、田澤先生の豊富なご経験からどのようにお考えでしょうか。

質問2. 主治医は全部摘出できたので、一旦リセットで今後3年程度注意して観察していくとおっしゃっていますが、エコーが半年に1回、全身検査は年に1度のCTとの計画です。
早期に再発しており、検査期間が心許ないように思います。
やはり3ヶ月に一度程度エコー、胸部レントゲンなどを受けるべきでしょうか?

悪性葉状腫瘍は非常に珍しい病気であり、がん専門病院でさえも主治医がそこまで症例数をみていないのではないかと心配になり、ご経験が豊富な田澤先生に質問する次第です。

どうぞよろしくお願いします。

田澤先生からの回答

こんにちは。田澤です。

経過については思うところがありますが…(それは省略して)
とにかく過ぎてしまったことは仕方がありません。

まずは悪性葉状腫瘍だったのに(全摘になったとはいえ)完全切除の状況になったことに安堵すべきでしょう。(如何に多くの患者さん達が、誤った治療で取り返しのつかない状況に陥ってしまったのか想像すれば理解できるはずです)
その上で悪性葉状腫瘍で注意すべきは(全摘したのだから局所は安全として)「肺」転移と「骨」転移です。
どちらも2年以内に再発が無ければ一安心です。
骨転移の検索に対して骨シンチを撮影するかは議論のあるところですが、胸部レントゲンは(2年間は)半年に1回程度撮影しましょう。
以上。

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再質問をする場合、下記日付以降にしてください。
2023/4/5
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