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術後補助療法とセンチネルリンパ節マクロ転移について

[管理番号:10843]
性別:女性
年齢:40
病名:浸潤性乳がん
症状:
投稿日:2023年1月11日

40歳妻の術後補助療法を含めた質問をさせてください。

先日、左浸潤性乳がんに対して、乳房部分切除+センチネルリンパ節生検を実施しました。
術中迅速診断で、一つ目のセンチネルリンパ節に2mmの微小浸潤を認めました。
その近傍のリンパ節(最終7個追加)も同時に切除し、術中迅速診断を行いい、その結果、一つ目以外に転移所見を認めなかったため腋窩郭清は省略し手術を終えています。

術後病理検査では
浸潤径:1.1㎜×0.7㎜ 組織学グレード1
リンパ節転移:1/8(術中微小と判断されたものが4mmのマクロ転移)ER:20%、PgR:95% HER2(-) Ki67(現在報告待ち)
Stage2A
となっています。
現状では術後補助療法として、ホルモン療法、放射線に加え、オンコタイプdxの結果によって化学療法を提案されています。

そこで質問させて頂きたい点は
①ER:20%と低値で、PgRが高値を示していますが、文献を含めてあまり確認できなかったホルモン感受性パターンかと感じました。
同様のパターンの御経験はおありでしょうか。
また、理論上はER20%でもホルモン療法の適応はあるかと考えますがいかがでしょうか。

②術後病理結果で4mmのマクロ転移1個が確認されました。
先生のお考えでは術中迅速でのマクロ転移は腋窩郭清追加かと思いますが、今回のように上流7個のリンパ節を切除し、かつ陰性が確認されている場合(おそらく先生の方針ではセンチネルは1個で判断されると思いますので、非典型例になるかと存じますが)でも追加郭清を考慮すべきでしょうか。

③センチネルリンパ節1個のマクロ転移であるため、省略要件を満たせば省略可能な範囲かと考えています。
その中で乳房温存後に対する放射線治療を行う予定ですが、照射範囲を腋窩まで広げて考える必要がありますでしょうか。
リンパ節7個を追加切除していることで、腋窩照射がリンパ浮腫等のリスクを上げるのみの結果となる可能性があるかと懸念しています。

④月並みな質問で恐縮ですが、当方の病状では充分な早期と考え、根治性は高いと考えて治療に臨む、でよいでしょうか。

ご回答くだされば幸いです。
宜しくお願い致します。

田澤先生からの回答

こんにちは。田澤です。

①ER:20%と低値で、PgRが高値を示していますが、文献を含めてあまり確認できなかったホルモン感受性パターンかと感じました。
同様のパターンの御経験はおありでしょうか。

⇒幾らでもありますよ。

また、理論上はER20%でもホルモン療法の適応はあるかと考えますがいかがでしょうか。
⇒勿論あります。
免疫染色は様々な要因でエラーもあるので、実際の発現度はOncotyepDXをすれば遺伝子レベルで確認できるので、それをご参考に。

②術後病理結果で4mmのマクロ転移1個が確認されました。
先生のお考えでは術中迅速でのマクロ転移は腋窩郭清追加かと思いますが、今回のように上流7個のリンパ節を切除し、かつ陰性が確認されている場合(おそらく先生の方針ではセンチネルは1個で判断されると思いますので、非典型例になるかと存じますが)でも追加郭清を考慮すべきでしょうか。

⇒患者さん次第です。

追加で7個取っているので、「(不十分ながら)追加郭清相当」と考えるのか? 
「追加郭清すべき」と考えるのか?
患者さん自身が最善を望むならば「追加郭清」してもいいとは思います。(ただ医師側から強く追加郭清を勧めることは無いでしょう)

③センチネルリンパ節1個のマクロ転移であるため、省略要件を満たせば省略可能な範囲かと考えています。
その中で乳房温存後に対する放射線治療を行う予定ですが、照射範囲を腋窩まで広げて考える必要がありますでしょうか。

⇒照射は腋窩は避けるべき。
もしも照射野を腋窩まで拡げなければ心配であれば、(照射ではなく)追加郭清を選択すべきです。

④月並みな質問で恐縮ですが、当方の病状では充分な早期と考え、根治性は高いと考えて治療に臨む、でよいでしょうか。
⇒その通り。(OncotyepDXで再発率が出てくるのでそれを参考にしてください)

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再質問をする場合、下記日付以降にしてください。
2023/1/20
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