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ルミナールB HER2陽性での術前化学治療

[管理番号:10331]
性別:女性
年齢:36
病名:乳がん
症状:胸のしこり、少しずつ肌の表面に赤みが出て来たのが心配
投稿日:2022年6月1日

はじめまして。
過去の質問を遡り、先生が東北の某県にいらしたことを知りました。
私もそちらの県在住、自宅から一番近い理由で選んだ病院(先生は在院でなかった気持ち北寄りの病院です。)でお世話になっております。

毎年の健診で乳房も欠かさず診てもらい、昨年6月後半の検査でも異常なしでした。
今年の3月終わり、入浴中に割と大きなしこりに気付いたものの、少し前の風邪を引きずっていた為、リンパの腫れかな…
と様子を伺っておりました。

それから予約などの都合上3週間後に受診、4月の終わりに悪性との診断。
某病院に紹介となりました。

検査の結果、腫瘍は2.2センチ、 HER2はFISH検査で陽性(Group3と記載)、ER陽性90%、PgR10%弱、Ki67は28.1パーセントです。

もう3週間ほど前の検査ですが、エコーと造影CT上ではリンパや遠隔転移は無さそう。
その後の造影MRIで元々の腫瘍の他に判別がつかない小さい濃染がある為、念の為全摘でとの話でしたが、その後で出たHER2陽性から、術前化学療法(ドセタキセル、トラスツズマブ、ペルツズマブ)を4クール後に手術という流れに変更となりました。

全摘のつもりで心の準備をし、まずは手術で悪い所が無くなる!と喜んだ所での術前化学療法で、「万が一それが効かなかったら、その間に進行してしまうのでは?」と不安になりました。
その旨主治医にもお伝えしましたが、「術前なら薬の効き具合も目で見て分かるし、術前に効かないなら術後も効かないから同じ」との事。
現状、折角転移が無さそうなのに、今取らないで転移や進行の心配はないのか?を聞きたかったのですが、結局その辺りは明確にならないまま話は終わってしまいました。

子供達が小さい事もあり、乳がん発覚の時点から全摘を覚悟しておりました。
上では記載しませんでしたが、転院先初回の診察の際に「全摘希望」を伝えると、「出来るなら残せた方が良いでしょ?温存で考えても良いじゃない」と言われ、心が揺らいだ所に濃染があるから全摘、 HER2陽性だから小さくなるかも、そしたら温存…と上げては落とされる事を繰り返し、それにも少々疲れてしまいました。

長くなってしまいましたが、この場合の術前化学療法は適切でしょうか。
納得したつもりで本日1回目の化学療法を終えましたが、気になる部分がまた頭をもたげてしてしまいました。

お忙しい中恐れ入りますが、どうぞ宜しくお願い致します。

田澤先生からの回答

こんにちは田澤です。

長くなってしまいましたが、この場合の術前化学療法は適切でしょうか。
⇒全く不適切!です。

患者さんが全摘希望なのに「術前抗がん剤をゴリ押し」する医師を私は認めません。
★万が一、術前抗がん剤をして(結果)悪化して手術不能状態となったら「あなたは責任もてるのですか?」と、(私は)其の医師に問いたい。
ご参考に

***
再質問をする場合、下記日付以降にしてください。
2022/6/11
***

質問者様から 【質問2】

BRCA2陽性の乳房温存と卵管切除
性別:女性
年齢:36
病名:乳がん
症状:胸のしこり
投稿日:2022年6月13日

先日はご回答ありがとうございました。

一度目の抗がん剤治療後、しこりは小さくなった様に思います。

効果が得られず進行してしまうのが不安でしたが、この結果を受け、まずは4クール完了しようと思います。

ですが、その後の遺伝子検査でBRCA2陽性の結果が出ました。

主治医からは、しこりが小さくなれば乳房温存…と言われていましたが、「陽性とあればやはり全摘を薦める。
しかし、1割位は再発や新しい乳がん発生のリスクを覚悟の上で温存する人もいるから、どうするか考えて。」と言われました。

又、予防摘出に関しては、「BRCA2はBRCA1に比べてリスク的には低い。
乳がんは見付けやすいから、反対乳房は気をつけて行けば良い。
卵管切除に関しても、36歳での切除はホルモンバランスに影響するから、もっと歳を重ねてから考えれば良い。」との事。

以上の点から、下記をお伺いしたいです。

・抗がん剤、分子標的薬でしこりが小さくなっている=進行が止められている(術前化学療養中にリンパに転移しない)、予後の良好性向上、生存率向上と考えて良いのか。

・BRCA2陽性であれば、やはり再発のリスク等を考え全摘をすべきなのか。
反対乳房の予防摘出はせずとも良いのか。

・BRCA2陽性は卵巣がんリスクは低めなので、36歳であれば卵管切除よりも更年期障害へのリスクを優先すべきなのか。
(45歳頃に卵管切除を予定)

お忙しい中恐れ入りますが、先生のご意見をお聞かせ頂ければ幸いです。

田澤先生から 【回答2】

こんにちは田澤です。

抗癌剤は術前に行っても術後に行っても予後は変わりません。
何故、術前に行ったのか?不明ですが上記ですよ。

・BRCA2陽性であれば、やはり再発のリスク等を考え全摘をすべきなのか。
⇒勘違いしていますね?

 そもそも「遺伝子検査をする理由」は「陽性なら対側の予防切除を希望するから」なのです。
 遺伝子検査をしておいて(その結果陽性なのに)「予防切除するかどうか迷う」こと自体「本来」ナンセンスなのです。
 ご参考に。

***
再質問をする場合、下記日付以降にしてください。
2022/6/21
***

質問者様から 【質問3】

抗がん剤の組み合わせ、レジメンについて
性別:女性
年齢:36
病名:トリプルポジティブ乳がん、BRCA2
症状:胸のしこり
投稿日:2022年8月15日

田澤先生、以前は大変お世話になりました。

その後化学療法を予定通り続け、先日4クール目を無事に完了致しました。
幸い、しこりはこれはしこりの残りかな?と思う程度まで小さくなっております。

3クール目の前に、再建術を提携病院に相談する為に一度乳腺外科の主治医と話をする機会を設けました。
その際、経過を一度見てほしい気持ちもありエコーをお願いしましたが、「4クール終わってからで。
効果は自分が一番良く分かるでしょ?」と断られ、これまでの経緯もあり主治医への不信感が増しつつあります。

そんな中、自身の化学療法のレジメンについて疑問に思うようになりました。

私が受けたのは【ドセタキセル+ハーセプチン+パージェタ】のタキサン系ですが、他の方は大方、タキサン系の前にアンスラサイクリン系の治療を行なっており、田澤先生も術前化学療法はその組み合わせがゴールデンスタンダードだとおっしゃっていたと思います。

治療前の口振りだと、私はこの後に手術→ハーセプチン+パージェタの残りを続けていく流れのようです。

アンスラサイクリン系はしなくて良いのかを化学療法中に看護師さんに伺っても、「治療はそれぞれによって違うから」としか答えて貰えませんでした。

更にこちらで色々勉強させて頂いた際、7380の方の回答最後に、『術後であれば非アンスラサイクリンでタキサン単剤も可』との記載を見つけました。

そこで下記をお伺いしたいです。

・術後であればアンスラサイクリンを省けるのはなぜなのか

・術前化学療法でタキサン単剤のみでも良く効いた場合、術後のアンスラサイクリンをしないでも良いものなのか

・アンスラサイクリン+タキサンと比較し、タキサン単剤のみでは再発率や生存率にどの程度差が出るのか

・術前にアンスラサイクリンまでこなしていないと、カドサイラの適用外になってしまうのか

・現状、私の再発の可能性はどの程度なのか

終わりだと思った副作用の強い抗がん剤が続投なのか、でもしないでは予後に影響があるのか、とがっかり感と不安感が大きくなり、手術へのモチベーションも下がりつつあります。

お忙しい中恐れ入りますが、ご教授頂ければ幸いです。

田澤先生から 【回答3】

こんにちは田澤です。

抗癌剤の考え方としては、「術前に行っても、術後に行っても予後は変わらない」ことがまずは基準
その上で
術前抗がん剤をする場合には「もしも効果が不十分で進行して最悪、手術不能となってしまうリスクを避けるため」にも、より強力に行わなくてはいけないという意識をもっています。

つまり、術後に行う場合には「手術病理の結果次第で」この程度でもいいかな(それが質問者のいうところのタキサン単独)という判断が働く場合があるわけです。

★質問者のように術前に行う場合には上記理由できちんと
anthracycline+taxane(trasutuzumab+pertuzumab併用)を行うべきですだとは思いますが、質問者のように(anthracycline前に)taxane+trastuzumab+pertuzumabを先行し、それで十分な効果だと判断があればanthracycline投与は必須ではないと主治医は考えているのでしょう。
ご参考に。

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再質問をする場合、下記日付以降にしてください。
2022/8/24
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