[管理番号:9613]
性別:女性
年齢:39
病名:粘液癌 微小乳頭癌との混合型
症状:
投稿日:2021年8月2日
田澤先生、いつも乳がんプラザを拝見させていただいております。
先日、術前の検査で原発の癌のほかに、小さい腫瘍が2つ、4センチくらいはなれたところにもあります、と言われました。
(エコーでは見つからず、MRIに映っていました)
執刀医は、温存でいけるということ、断端陽性になれば再手術の時に全摘すればよいとおっしゃっていただき、術式をそれでお願いしようと思ったのですが…
拡がりがある=再発リスクが高いのでは…?となり、今となって不安になってきました。
術前の針生検の診断は下記です。
腫瘍:1.8~2センチくらい
粘液癌と微小乳頭がんの混合型
(微小乳頭がんがあるため、術後の抗がん剤をオンコタイプdxで決めましょう、と言われています)
ER 100%
PgR 96%(執刀医は50%位との見立て)
HER2 1+
ki-67 20.3%
リンパ節転移は画像診断では確認できず
術前に見つかったものは、エコーで悪性の所見のため針生検はしていません。
リンパ節に転移しやすい癌が混ざっているため、術後の抗がん剤を提案されているのもあり少し不安が強いです。
お忙しいところすみませんが田澤先生のご意見をお聞かせいただけたら嬉しいです。
よろしくお願いします。
田澤先生からの回答
こんにちは田澤です。
術前の検査で原発の癌のほかに、小さい腫瘍が2つ、4センチくらいはなれたところにもあります
ご意見をお聞かせいただけたら嬉しい
⇒それらの腫瘍が同じ乳管系(乳頭方向や末梢方向)であれば温存可能だし、「全く別の乳管系」であれば全摘すべきでしょう。
ご参考に。
質問者様から 【質問2 】
病理結果が出てからの質問です
性別:女性
年齢:40
病名:粘液癌(微小乳頭癌との混合型)
症状:
投稿日:2021年9月1日
田澤先生、おはようございます。
先日はアドバイスいただきありがとうございました。
あれから主治医と相談し、局所再発のリスクを承知し温存手術で病巣を摘出しました。
病理の結果がでたのですが、気になる部分があり田澤先生のご意見もお伺いしたく、再度質問させてください。
浸潤径:18×14×11mm
Grade2
ER:100%
PgR:50%
HER2:1+
Ki-67:15%(術前は20%でしたので、20%で考えたほうが良いとのことでした)
断端陰性
脈管侵襲なし
センチネルリンパ生検:陰性(0/2)
Stage1
組織学的には、豊富な細胞外粘液を背景に、大小の胞巣状あるいは微小乳頭状を呈する異型細胞が浮遊する粘液癌成分を認める。
一方、細胞外粘液に乏しく、異型細胞が周囲に裂隙形成を伴いながら微小乳頭状に増生する湿潤性微小乳頭癌成分も、粘液癌成分の辺縁などの一部にみられる。
全体としては粘液癌成分が約90%と郵政であり、粘液癌と診断する。
微小乳頭癌成分は一部で皮下脂肪組織内に胞巣を形成しており、同胞巣は切断断端に露出してはいないが極めて接近している(断端までの距離は約200?)。
また、腫瘍は主病変の辺縁付近などで乳腺外脂肪組織へも浸潤している。
また、脂肪組織内に異型細胞が塊をなして存在するが、周囲の間質反応などが一切見られず、浸潤巣ではないと判断する。
腫瘍本体に付近に対する明らかな脈管侵襲像は指摘できないが、皮下脂肪組織への腫瘍進展が見られ脈管侵襲は高いと考えられる。
※規約上腫瘍本体の最大径としては18mm程度でありPT1cとしますが、粘液癌部分も含めて微小乳頭状の増殖像が目立ち、乳腺外脂肪組織や、主病変と離れた皮下組織への腫瘍進展が見られます。
また、主病変内側の造影効果を伴う病変は、組織では明らかでありません。
(1)しこり自体が皮膚に近接していたので、しこりと近い皮膚も切除してもらっていたのですが、その切除部の皮膚に非常に近接した微小乳頭癌の胞巣がありました。
これは皮膚も切除しているので問題ないという認識で合っていますか?
(2)皮下脂肪組織に腫瘍進展があれば、脈管侵襲している可能性は高いのでしょうか?(摘出部は脈管侵襲がないにもかかわらず)
(3)追記のような形で「粘液癌部分も含めて微小乳頭状の増殖像が目立ち、乳腺外脂肪組織や、主病変と離れた皮下組織への腫瘍進展が見られます。」と記載がありますが、これは今ステージ1でも広がっている可能性があるから注意せよ、ということでしょうか(この1割混在している微小乳頭癌があるので、抗がん剤治療を奨められています)
(4)オンコタイプも依頼する予定ですが、微小乳頭癌に関してはオンコタイプの数値がほかのルミナルタイプより信憑性?エビデンス?がないので…とも言われています。
受けずに抗がん剤を受けたほうがよいでしょうか?
(5)術前に別にあった2つのしこりは結局「組織では明らかでありません」という結果のみでした。
これは良性とも悪性とも言い切れないということでしょうか。
また、摘出はできているので仮に悪性であっても気にしなくてもよいでしょうか。
思ったよりはいい結果ではあったものの、不明のまま終わっていたり微小乳頭癌というものへの懸念があり不安です。
よろしくお願いいたします。
田澤先生から 【回答2】
こんにちは田澤です。
微小乳頭がんが10%混じっていることを(主治医も)ご本人も気にしすぎです。
普通に考えましょう。
「(1)しこり自体が皮膚に近接していたので、しこりと近い皮膚も切除してもらっていたのですが、その切除部の皮膚に非常に近接した微小乳頭癌の胞巣がありました。
これは皮膚も切除しているので問題ないという認識で合っていますか?」
⇒その通り。
「(2)皮下脂肪組織に腫瘍進展があれば、脈管侵襲している可能性は高いのでしょうか?(摘出部は脈管侵襲がないにもかかわらず)」
⇒考えすぎ
「(3)追記のような形で「粘液癌部分も含めて微小乳頭状の増殖像が目立ち、乳腺外脂肪組織や、主病変と離れた皮下組織への腫瘍進展が見られます。」と記載がありますが、これは今ステージ1でも広がっている可能性があるから注意せよ、ということでしょうか」
⇒考えすぎ
「(4)オンコタイプも依頼する予定ですが、微小乳頭癌に関してはオンコタイプの数値がほかのルミナルタイプより信憑性?エビデンス?がないので…とも言われています。」
⇒考えすぎ
「受けずに抗がん剤を受けたほうがよいでしょうか?」
⇒是非、受けましょう。
「(5)術前に別にあった2つのしこりは結局「組織では明らかでありません」という結果のみでした。
これは良性とも悪性とも言い切れないということでしょうか。」
⇒良性です。