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乳がんの遠隔転移と乳管内多発について

[管理番号:9514]
性別:女性
年齢:45歳
病名:非浸潤性乳管癌
症状:
投稿日:2021年6月24日

先日、クリニックで針生検の結果、非浸潤性乳管癌(2.2ミリ、組織グレード1)と診断されました。

私は貧血と血小板減少の持病があるため、大学病院を紹介され、昨日診察を受けたのですが、「細胞の一部を取っただけなので、癌の状態は確定ではない。
転移の可能性もあるのでCTを撮ります。
転移しやすいのは肺、肝臓、骨です。」と言われ怖くなりました。
また、同じ乳管内の数ミリ離れたところに7ミリ程の別の病変があるとも言われました。

質問は3点です。

①術前組織検査の段階で上記の結果が出た場合でも、遠隔転移が発生するケースはあるのでしょうか?(術後病理検査で浸潤癌の診断に変わる可能性があることは承知しています)。

②新たに見つかった7ミリの病変は組織検査していませんが、多発したがんと言えるのでしょうか?

③非浸潤癌はごく初期のイメージですが、2センチを超えていても非浸潤がんのまま成長することがあるのでしょうか。

どうぞよろしくお願いいたします。

 

田澤先生からの回答

こんにちは田澤です。

明らかに「過剰」検査
術前病理診断で「非浸潤癌」の場合には(手術で最終的に「浸潤癌」と判明する可能性はありますが)「遠隔転移を疑った被爆検査(CTや骨シンチ、PET)は、過剰検査」です。

「①術前組織検査の段階で上記の結果が出た場合でも、遠隔転移が
発生するケースはあるのでしょうか?(術後病理検査で浸潤癌の診断に変わる可能性があることは承知しています)。」

⇒ほぼありません。

「②新たに見つかった7ミリの病変は組織検査していませんが、多発したがんと言えるのでしょうか?」
⇒位置的に…

 あくまでも「同一乳管内」の病変(一連の病変)だと思います。(多発にはあたらない)

「③非浸潤癌はごく初期のイメージですが、2センチを超えていても非浸潤がんのまま成長することがあるのでしょうか。」
⇒勿論あります。

 是非『今週のコラム 293回目 石灰化 2.石灰化の進展と誤解 早期乳癌は小さい(狭い)の?』をご覧ください。
 質問者の癌が「石灰化を起こしているのかどうか?」は定かではありませんが、
(石灰化を起こしても起こさなくても)非浸潤癌が乳管内を(浸潤しないまま)広く拡がるケースは珍しくありません。

 
 

 

質問者様から 【質問2 】

非浸潤性乳管がんの術後治療について
性別:女性
年齢:45歳
病名:非浸潤性乳管がん
症状:
投稿日:2021年9月15日

前回、「非浸潤性乳管がん」について質問をさせていただきました。

先月無事に温存手術を終え、病理結果が出ました。

全体径:3CM
浸潤径:0CM
リンパ節転移:なし
血管侵襲:なし
リンパ管侵襲:なし
核異型度:1
組織学異型度:1

術後も「非浸潤がん」の診断となり大変有難く思っております。

今後の治療は放射線のみ、薬物療法は不要と言われ、
田澤先生の方針と同じであることに安堵しております。

ただ、「非浸潤がん」でも(ホルモンタイプであれば)ホルモン療法をすることにより
局所再発率が下がるというデータがあると知りました。

「浸潤がん」としての再発になるのであれば、副作用があっても
ホルモン療法をやっておきたいというのが本音でもあります。

※私のサブタイプは、説明の用紙では空欄になっているため不明です。

今調べていると仰っていました(知る必要はないかもしれませんが…)。

また、DCISでもコメド壊死しているものは悪性度が高いようですが、
全体径の大きさや異型度等含め、高リスクの位置づけになるDCISの場合、
ホルモン療法をすることは「浸潤がん」の局所再発を防ぐ効果が
副作用を上回ると思われますでしょうか?
※私のがんがコメド壊死しているかどうかも現時点では不明です。

どうぞよろしくお願いいたします。

 

田澤先生から 【回答2】

こんにちは田澤です。

「ホルモン療法をすることは「浸潤がん」の局所再発を防ぐ効果が副作用を上回ると思われますでしょうか?」
⇒「全く」思いません。
 だから、「薬物療法不要としている」のです。