[管理番号:9279]
性別:女性
年齢:41
病名:
症状:
投稿日:2021年4月2日
こんばんは。
7年前に左胸乳がん全摘しました。
浸潤系6ミリ
広範囲の非浸潤癌のなかで浸潤が6ミリあったようです。
タモキシフェンをのんでいます。
リューブリンも5年しました。
ここ2日ほど、手術をした側の胸の上の方にポチッと赤い虫刺されみたいなものが一つできています。
これは皮膚転移の可能性はありますか?
先生の過去の記事を読みました。
こんにちは。
田澤です。
「皮膚転移」
昨日は木曜日(外来日でしたが)、偶然なのか「通院している患者さん2名」から「皮膚転移」について聞かれました。
(同じ様な質問を2名から同日に聞かれるとインパクトがあり覚えているものです)
「最近のQandAで皮膚転移の方がいたが、私も皮膚に湿疹がでるたびにビクビクしている。
そんなに心配しなくてもいいものなのか?」という感じです。
○私の見解
まず「皮膚転移」の「転移」という語句が誤解を与えています。
「皮膚再発」という表現をすべきでしょう。
私は今まで見てきた「皮膚再発」はすべて「手術部位が初発部位」です。
(病勢の進行により、初発部位から「体側胸部」や「背側」「腹部」などへ拡がることはありますが、必ず初発は「手術部位(もと腫瘍が有った部位)」なのです。
今でも鮮明に覚えている「皮膚再発」の最初の経験は大学病院時代です。
もともと広範囲の乳癌だった患者さんに術前抗がん剤をして小さくなったからといって(今考えれば)「無理やり温存(患者さんの意思に反して無理やりという意味ではなく、医学的に)」した患者さんでした。
その方は術後(温存乳房)照射を(当然ながら)したのですが、
(照射野を避けるように)その枠に沿って皮膚再発が起こりました。
まだ診療経験の浅い時代(今から20年くらい前)でしたが、「全摘していれば避けられたのでは?」という印象が強烈に残りました。
「皮膚再発」
手術の時点で(すでに)広範囲にすでに皮下に潜んでいた癌細胞が、(術後治療が終了し、効果が薄れてきたタイミングなどで)
「皮膚浸潤し始める」というのが本当のところです。
実際に私はかなりの症例経験があるのですが、「皮膚再発」は数えるほどしか起こっていません。
そして、その症例を考察すると(手術をした時点で)「早期だった症例」は1例もなく、「手術した時点でかなりの進行(リンパ節転移とは無関係です、むしろ乳腺内の状況です)」しており「皮膚に潜んでいたのだな」という印象となります。
注)「乳腺内がかなりの状態」の方は「皮膚再発を良く起こす」という意味では全くありません。
(かなり少数の)ごく限られた皮膚転移を起こした患者さんをみると「乳腺内に腫瘍がかなり広範囲だった」という意味です。
記事をコピーしました。
この下の方に書いてある「乳腺内に腫瘍がかなり広範囲だった」
というのは、浸潤してるのが広範囲という意味ですか?
非浸潤癌が広範囲という意味ではないのでしょうか?
私は非浸潤癌が広範囲で浸潤が6ミリだったのですが、
そこが気になります。
よろしくお願いします。
田澤先生からの回答
こんにちは田澤です。
「この下の方に書いてある[乳腺内に腫瘍がかなり広範囲だった」というのは、浸潤してるのが広範囲という意味ですか?
非浸潤癌が広範囲という意味ではないのでしょうか?」
⇒非浸潤癌の範囲は全く無関係
あくまでも「浸潤癌が広範囲」です。
私は非浸潤癌が広範囲で浸潤が6ミリだったのですが、そこが気になります。」
⇒質問者で、皮膚転移を気にする必要は全くありません。
「ここ2日ほど、手術をした側の胸の上の方にポチッと赤い虫刺されみたいなものが一つできています」
⇒実際に見ていないので(勿論)言い切ることはできませんが…
確率的には「ほぼ無い」と思います。
ご参考に