[管理番号:9243]
性別:女性
年齢:44
病名:浸潤性乳管がん
症状:
投稿日:2021年3月10日
性別:女性
年齢:44歳
病名:浸潤性乳管がん(右胸)
投稿日:2021年3月10日
初めて質問させていただきます。
このような場を設けて下さり感謝いたします。
田澤先生、どうぞよろしくお願いいたします。
経緯:2020年6月に右胸に腫瘤を自覚し、乳腺クリニックにてエコーガイド下マ
ンモトーム生検後、乳腺症と診断。
半年後の12月に経過観察検診にて増大
傾向のため、大きな病院を紹介され念のため摘出生検したところ、浸潤がんと診断さ
れました。
その時の病理結果です。
浸潤性乳管がん(硬性型)
腫瘍の浸潤径:0.8×0.7cm
ER(≧90%) PgR(50%) HER2(スコア2 fish法陰性シグナル比1.1)
Ki67 LI:10%
核グレード分類:NA2 MC1 NG1 TF3
波及度:f 脈管侵襲:Ly0 V0
切除断片陽性
とのことで、2021年2月に追加で全摘出手術を受けました。
術中のセンチネルリンパ生検で転移は見られなかったため、リンパ廓清はしていませ
ん。
その結果として、非浸潤がんがみられたものの、浸潤部分は確認できなかったため、
最終結果は、摘出生検のときのものと同じと言われ、ステージはpt1bn0
m0との診断でした。
今後、5年から10年間タモキシフェン服用予定です。
心配性なためオンコタイプも申し込み、今月下旬ごろ結果を聞きに行く予定です。
質問です。
①ほぼ確定診断が下されるマンモトーム生検で良性の乳腺症といわれていたのに半年後の摘出生検で悪性となり、半年の時間のロスが悔やまれます。
これは最初の病理医が見落としてしまったのでしょうか?このようなことはよくあることなのですか?
②リュープリンの併用は40歳未満、化学療法閉経後の月経再開の場合適用となることをこのサイトで勉強いたしました。
私の場合はリュープリンなしで良いですか?現在、月経の周期が規則正しいことは全く気にする必要はありませんか?
③主治医は、オンコタイプの結果はおそらく低スコアだと思うが、もしも高ければアンスラサイクリン系とタキサン系を半年やりますとおっしゃっていました。
これは妥当でしょうか?
また、スコアの目安は26点以上で化学療法ということで覚悟をしていればよろしいでしょうか?18~25点の中間スコアの場合、リュープリン併用は考慮されますか?
④ホルモン療法について、日本乳癌学会の本「患者さんのための乳がん診療ガイドライン」の中の記載の解釈について教えてください。
「ホルモン療法は、ホルモン受容体陽性の患者さんの手術後の初期治療として行うこ
とで再発や転移を最大で半分ほどに減らし、進行・再発乳がんでは生命予後を改善します。」
とありますが、この「最大半分」という意味が私には難しくて、手術をした人の半分、という意味ですと、再発率がすごいことになる、と思うのですが、、そうするとこの「最大半分」は、どういうふうに考えればよいのでしょうか?
子供もまだ小さく、希望をもって治療にのぞんでいきたいと思っています。
お忙しい中大変恐縮ですが、田澤先生に教えていただけましたら幸いです。
よろしくお願いいたします。
田澤先生からの回答
こんにちは田澤です。
「①ほぼ確定診断が下されるマンモトーム生検で良性の乳腺症といわれていたのに半年後の摘出生検で悪性となり、半年の時間のロスが悔やまれます。
これは最初の病理医が見落としてしまったのでしょうか?このようなことはよくあることなのですか?」
⇒これは間違いなく「病理医の誤り」ではなく、「マンモトームで上手く採れていなかった」と思います。
「②リュープリンの併用は40歳未満、化学療法閉経後の月経再開の場合適用となることをこのサイトで勉強いたしました。
私の場合はリュープリンなしで良いですか?現在、月経の周期が規則正しいことは全く気にする必要はありませんか?」
⇒オンコタイプするのであれば…
『今週のコラム 269回目 Rx PONDER (中間解析) その解釈』をご一読ください。
特に以下の記述に注目してください。
(以下、抜粋)
閉経前と閉経後の違いは「卵巣抑制にあるはず」派 (私も)
pN0
閉経前では RS 21- 25 TAM+LH-RHagonist RS 25 抗癌剤推奨
閉経後では RS26- 抗癌剤推奨
pN1
閉経前では RS -25 TAM+LH-RHagonist RS26- 抗癌剤推奨
閉経後では RS26- 抗癌剤推奨
「③主治医は、オンコタイプの結果はおそらく低スコアだと思うが、もしも高ければア
ンスラサイクリン系とタキサン系を半年やりますとおっしゃっていました。
これは妥当でしょうか?
また、スコアの目安は26点以上で化学療法ということで覚悟をしていればよろしいでしょうか?18~25点の中間スコアの場合、リュープリン併用は考慮されますか?」
⇒上記(抜粋、参照のこと)
「④ホルモン療法について、日本乳癌学会の本「患者さんのための乳がん診療ガイドライン」の中の記載の解釈について教えてください。
「ホルモン療法は、ホルモン受容体陽性の患者さんの手術後の初期治療として行うことで再発や転移を最大で半分ほどに減らし、進行・再発乳がんでは生命予後を改善します。」
とありますが、この「最大半分」という意味が私には難しくて、手術をした人の半分、という意味ですと、再発率がすごいことになる、と思うのですが、、そうするとこの「最大半分」は、どういうふうに考えればよいのでしょうか?」
⇒完全な勘違いです。
無治療で10%の再発率の場合⇒ホルモン療法をすることで(最大で)再発率が5%に低下
無治療で20%の再発率の場合⇒ 〃 再発率が10%に低下