[管理番号:1317]
性別:女性
年齢:44歳
このQ&Aで勉強させていただいております。
はじめに先生のご尽力にあらためて感謝を申し上げます。
【状況】
8月に両側乳がんで手術しました
左 浸潤性乳管がん pT1c
センチネルリンパ陰性(0/2) 脂肪組織浸潤あり
ER=90%以上の細胞核に陽性、PgR=ほぼすべての細胞核に陽性
Her2 +1(陰性)
右 非浸潤がん、乳頭腫 pTis, Papilloma
ER,PgR,Her2はいずれも左と同じ
どちらも部分切除で断端陰性でした。
放射線とタモキシフェン単剤で再発予防しています。
【質問】
左右ともPgRがERを上回って強陽性ですが、タモキシフェン(つまり抗エストロジェン)だけで予防効果は充分なのでしょうか。
田澤先生はPgRはあまり信用していない、というご意見を書かれているのを別の質問で拝見しましたが、①PgRの考え方を教えていただきたく、②わたくしはPgRを抑制する治療をしなくていいのか、以上の2点についてご教授いただきたく、よろしくお願い申し上げます。
田澤先生からの回答
こんにちは。田澤です。
抗エストロゲン剤である「タモキシフェン」が「ホルモン受容体陽性」患者さんに有効であることは解っています。
回答
「左右ともPgRがERを上回って強陽性ですが、タモキシフェン(つまり抗エストロジェン)だけで予防効果は充分なのでしょうか」
⇒十分です。
「PgRの考え方を教えていただきたく」
⇒ERと共に「抗エストロゲン剤であるタモキシフェンの効果予測因子」となります。
すなわち、PgRの陽性率が高いほうがタモキシフェンが効き易いと考えられています。
「わたくしはPgRを抑制する治療をしなくていいのか」
⇒PgRを抑制することは「逆効果」です。
プロゲステロン製剤が間接的にエストロゲン量を減らすことにより「乳癌に対して効果が有る」ことが解っています。
すなわち、「抗プロゲステロン」は「乳癌を増殖させる」させることになります。
ただし、プロゲステロン製剤は「効果が限定的」なので、それ以上の開発は進んでいないのです。