[管理番号:1409]
性別:女性
年齢:42歳
はじめまして、よろしくお願いします。
7年前の35才の時、初めて乳がん検診を受けたところ、左乳房に1.5センチのしこりを
発見され、細胞診や針生検の結果は良性との診断でしたが、エコーの画像がやや悪性
を否定できないとのことで摘出手術をすすめられ2週間後に摘出しました。結果はや
はり良性でした。
その後も半年ごとに定期検診を受けてきましたが、その摘出手術の直後つまり7年前
に今度は右側に自分で小さなしこりを見つけました。半年ごとの検診のたびに診ても
らってますが、マンモやエコーでも線維腺腫との診断でした。しかし念のため細胞診
を何度かしていただいていて、いずれも良性です。
7年前の最初に発見した時は医師もどこにあるかわからないくらい小さなしこりでし
たが、年々大きくなっており、5ミリ、7ミリ、9ミリ、1.1センチと毎年少しずつ大き
くなり、ここ2年くらいは1.1センチのままでしたが、今年の6月の検診では1.3センチ
になっています。大きくなっているので念のためということで6月の検診時も細胞診
をされましたが、良性でした。
私としては7年間ずっとフォローしてもらい、細胞診も5回以上してもらっているので
すっかり安心していたのですが、最近ネットでこちらを見つけて読んでるうちに不安
になってきました。そこで先生にお聞きしたいのですが、私のこの経過からこのしこ
りは癌の可能性もありますか?少しずつ大きくなっているのが不安です。35才で見つ
けたしこりが7年で3倍くらいになっています。また1年前からはしこりのある右側だ
けが痒くてたまらなくなることもあります。それも検診で訴えましたが大丈夫とのこ
とでした。
私の通っている病院は全国的にも有名な乳腺クリニックで(乳がんの年間手術件数は
300以上)基本的に同じ医師に診てもらっていますが、行く日により、別の医師に診
てもらうこともあります。別の医師に診てもらってもいつも良性だという診断です。
長々とすみません、よろしくお願いします。
田澤先生からの回答
こんにちは。田澤です。
まず、メールを読んでの感想は「5回も細胞診をしている位なら」1回でも「針生検」
すればいいのに。というものです。
回答
「私としては7年間ずっとフォローしてもらい、細胞診も5回以上してもらっているの
ですっかり安心」「私のこの経過からこのしこりは癌の可能性もありますか?」
⇒さすがに「癌の可能性は無い」と思います。確率で言えば「0%」と言っても過言
ではありません。
正直な話、私は「自分自身以外の細胞診は信頼していない」ですが、さすがに「5
回も細胞診して全て偽陰性」という確率は「天文学的数値」と言えます。ありえません。
「年々大きくなっており、5ミリ、7ミリ、9ミリ、1.1センチと毎年少しずつ大きくな
り、ここ2年くらいは1.1センチのままでしたが、今年の6月の検診では1.3センチに
なっています」
⇒ただ、問題は『葉状腫瘍の可能性』です。
これは完全には否定できません。
30代~40代にかけて「この程度の増大」であれば「線維腺腫でも矛盾しない」ので
すが、逆に言えば「葉状腫瘍の可能性もある」と言う事です。
これは細胞診では「全く鑑別不能」です。
針生検をすれば「おおよその鑑別」はできます。
「おおよそ」というのは「線維腺腫と良性の葉状腫瘍の区別は時に困難と言えます。
ただ、針生検で『線維腺腫を推定します。但し良性の葉状腫瘍の可能性は否定でき
ません』という結果であれば、「一安心」です。
万が一「葉状腫瘍です。境界悪性の可能性もあります」という病理レポートであれ
ば、「摘出すべき」なのです。
「葉状腫瘍の可能性」について聞いていますか? 一度ご確認を。
質問者様から 【質問2】
こんにちは、先日大きくなるしこりというタイトルで質問さ
せていただいた者です。迅速かつ丁寧なお返事に感動しまし
た、ありがとうございました。
先日回答いただいた中で葉状腫瘍の可能性を教えていただき
ました。私なりにネットで調べてみたのですが、葉状腫瘍の
場合は短期間で急にしこりが大きくなることが特徴のような
のですが、私のように1年で数ミリ単位でジワジワ大きくなる
パターンもあるのでしょうか?
現在通っているクリニックでは葉状腫瘍の可能性については
全く聞かされていません。いつもマンモ、エコー、時々細胞
診という検査内容で結果は良性です、という診断です。
通っているクリニックで聞けば良いのですが、いつも大変混
雑していて何となく質問しにくく、あっという間に診察が終
わってしまいます。すみません。
田澤先生から 【回答2】
こんにちは。田澤です。
「私なりにネットで調べてみたのですが、葉状腫瘍の場合は短期間で急にしこりが大
きくなることが特徴」
⇒全ての「葉状腫瘍」が、そんなに解り易く大きくなったりはしません。
それでは、「ゆっくり大きくなる葉状腫瘍」ならば、「線維腺腫と同じ」と思われ
るかもしれませんが、葉状腫瘍は「ある日突然大きくなり、グレードが上がる(良性
⇒境界悪性、境界悪性⇒悪性など)」事があるのです。
「私のように1年で数ミリ単位でジワジワ大きくなるパターンもあるのでしょうか?」
⇒勿論です。
増殖のスピードだけで「鑑別することは困難」です。
「マンモ、エコー、時々細胞診という検査内容」
⇒私には、その診療内容には賛成できません。
何度も細胞診をする位なら、一度「針生検」するべきです。
前回もコメントしましたが、「悪性の可能性は無いと思いますが、葉状腫瘍の可能性は考えるべき」です。