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非浸潤乳腺管がん疑い

[管理番号:5725]
性別:女性
年齢:49歳
田澤先生、初めて相談させていただきます。
よろしくお願いいたします。
先日、地元の総合病院で生検を受け、非浸潤乳腺管がん疑いと言われています。
いくつかわからない点があったので質問させてください。
今までの経過は、
2010年頃検診で 右下左側に腫瘤(この腫瘤は1年前に確認できなくなった)の指摘を受け、地元の総合病院乳腺外科へ。
毎年、マンモグラフィーとエコーを受け嚢胞や石灰化がみられ、経過観察。
2017.9.中旬 半年ぶりの受診。
右胸の石灰化が増えた。
次回、造影剤MRIを実施し、その様子でマンモトーム生検をすることになったが、MRI当日、喘息症状が強くでていたため、放射線科のDr.に指摘され、放射線科から主治医に問い合わせ
→中止に
→他に検査する方法はないんですか?と尋ねると、次回、エコー下マンモトーム生検をすることに。
2017.11.上旬 エコー下マンモトーム生検
で右胸上部 と以前腫瘤が指摘された辺りから6つの組織を取る。
結果
右胸上部 (乳首真上辺り)乳腺管がん疑い
石灰化も多くみられる
ほぼ悪性とのこと。
(詳しい検査結果をいただきたいと申し出たのですが、開示請求しなければ渡せないと…)
今後、部分麻酔による外科生検(乳首2cm位上部中心部を横に4cm位切る)を行い、確定になったら全摘になるとのこと。
そこで、田澤先生はどのようにお考えになるかご教示いただきたく、お願いいたします。
1.生検は石灰化の所見でもエコー下マンモトームでよかったのか?
(確定診断されると思っていたのですが、マンモトーム生検で確定されなかったので。)
2.一度マンモトームをしているが、これからステレオガイド下モンマトーム生検は可能か?外科的生検でなければならないのか?
3.主治医は、外科的生検をして石灰の多いところを採取し、非浸潤乳腺管ガンが確定された場合、そのまわりの石灰化も悪性なので全摘するとのことだが、全摘する必要があるのか?まわりの石灰化もガンなのか?
田澤先生の病院で検査し、結果により手術をしていただくことは可能でしょうか?
もし、診ていただくことが可能であればまた、片道3時間かかるのですが、手術前に何回通院する必要がありますか?
まだ、小学生の子供がいて…、とても不安です。
お忙しい中、申し訳ありませんが、どうぞよろしくお願いいたします。
 

田澤先生からの回答

こんにちは。田澤です。
「右胸の石灰化が増えた。」という記載からは、「7年間!もフォローしていた石灰化」が結局「癌らしい」ということですね?
正直な感想としては、「もっと前」(そもそも最初の時点)で生検していれば良かったのでは? ですが…
ただ、それ位長期のフォローで癌だとしても、「かなり大人しい(所謂low grade
DCIS」となると思います。
まずは心配の無い状況と考えて差し支えありません。
○もう一つのポイントとしては
 マンモグラフィーの「石灰化」とエコーの「腫瘤」の両方の所見があり、(確実ではないにしろ)部位的に「ほぼ同じものを見ている」と考えられる場合には「より所見の強い方」を優先して検査を進めるべきだということ。
 今回のメール内容から推測すると…
 まずは「石灰化に対するST-MMTをしようとしていた」という経緯からは(画像を見ていませんが)「石灰化の方がはっきりとした(より強い)所見」なのだと解釈します。
 そうすると(結果的に)「シコリに対するマンモトームで診断が確定しなかった」のであれば、(本来の強い所見である)ST-MMTをすべきだと思います。
  ♯喘息があるからST-MMTができないということはありません。(結局「挟む」というだけの違いだからです)
「1.生検は石灰化の所見でもエコー下マンモトームでよかったのか?(確定診断されると思っていたのですが、マンモトーム生検で確定されなかったので。)」
⇒上記コメント通りです。
 石灰化の方がより強い所見であれば、ST-MMTをすべきとなります。
 ☆もう一つ言わせてもらえば…
  エコー下マンモトームで診断が付かなかった理由は「組織量が少なかった」のではないでしょうか?
  本来(エコー下)マンモトームは「その気になれば」相当な量の検体を採取できるので、「外科的生検とほぼ同等」の診断能力が有る筈です。
  それを(バネ式より)「少し多く採取する程度」であったため確定診断に至らなかったのではないかと(経験上)想像します。
 ★(エコー下マンモトームの出現により、少なくとも私にとって外科的生検が必要なことはほぼ皆無となりました。(そもそも、そのためにエコー下マンモトームの存在意義があるようなものです)
  本当に外科的生検が必要なケースは「シコリが画像上不明な石灰化だけの所見」の際に、ST-MMTで確定診断が得られないケースとなります。
「2.一度マンモトームをしているが、これからステレオガイド下モンマトーム生検は可能か?外科的生検でなければならないのか?」
⇒可能です。
 全く問題ありません。
「全摘する必要があるのか?まわりの石灰化もガンなのか?」
⇒もしも石灰化を採取して、「癌が原因で起きている石灰化」ということが判明すれば、(当然)「その部分にある同様の石灰化も癌が原因で起こっている=石灰化部分は(全て癌だから)全て切除対象とすべき」となります。
「田澤先生の病院で検査し、結果により手術をしていただくことは可能でしょうか?」
⇒勿論です。
「もし、診ていただくことが可能であればまた、片道3時間かかるのですが、手術前に何回通院する必要がありますか?」
⇒『今週のコラム67回目 「術前や術後に、一体何回くらい外来受診が必要なの?」』をご参照ください。
 もしも質問者が当院でST-MMTを受けるのであれば…
 1回目受診日  診察⇒その日の夕方にST-MMT(ST-MMTは火曜日夕方にしか行っていません)
 2回目受診日  術前検査、MRI(部分切除が選択肢に入る場合)、説明同意書、入院案内 これら全てを同日に行います。
 ♯つまり、(術前に)2回受診が必要なのです。
「まだ、小学生の子供がいて…、とても不安」
⇒想定されるのは「low grade DCIS」です。
 7年間も経過観察した挙句に「進行してました」など、さすがに許されることではありません。
 ご安心を。