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乳腺炎でしょうか?

[管理番号:6955]
性別:女性
年齢:55歳
病名:
症状:乳白色の分泌液、胸の赤み、かゆみ、鈍痛

田澤先生、
左胸の症状について、アドバイス頂けますでしょうか。
(私は55歳で、2年前に閉経しております。
30~40代の頃に不妊治療を長くやり、ホルモン系の薬を多く取ったことがあります。
マモグラフィーに行くと、乳腺が密だといつも言われます。)
8月末に左乳首から透明な分泌液が出たので、医師に相談したところ、マモグラフィーと
エコーを指示され、結果は異常なしで、分泌液もその後は止まりました。

しかしその2か月半のちに、今度は乳白色の分泌液が2日ほど出て、それはすぐ止まりましたが、その直後から左胸に赤い腫れが出て、いま鈍痛とかゆみがあります。

本日再び診察に行き、上記の症状を話したところ、「乳腺炎」ではないかとのことで、
医師が分泌液を検査のために搾取しようとしましたが、全く出ませんでした。
抗生物質を処方され、MRIを受けるよう指示が出ました。

胸の赤みは、先生が「乳がんプラザ」に載せて下さっている「鬱滞性乳腺炎」の写真に酷似しているのですが、この症状は「授乳期に起こる」とあるため、50代で閉経後の私がこれに該当するのか疑問を覚えまして。

(1)先生も「乳腺炎」だと思われますか?
(2)私の医師の指示(抗生物質とMRI)は的確でしょうか。
そうでないなら、どういった検査や処置が妥当でしょうか?
ご多忙の折恐縮ですが、アドバイス頂けだら幸甚です。
宜しくお願い致します。

 

田澤先生からの回答

こんにちは。田澤です。

乳腺炎は、理由もなく起こることはありません。
1.(授乳期の)うっ滞性乳腺炎
2.(陥没乳頭に伴う)乳輪下乳腺炎

上記のどちらでもない場合には
3.肉芽腫性乳腺炎を疑わなくてはいけません。

ただし、常に「乳癌ではないのか?」という注意が必要です。

〇「赤み」がある乳癌と言えば、「4.炎症性乳癌」がありますが、これは実際には炎症はなく(炎症性乳癌に炎症無し)、皮膚のリンパ管が(広範囲に)閉塞することにより「一見炎症に見えるだけ」の病態です。
 今回は「発熱がない(少なくとも記載がない)」ことより、「実際は炎症ではないのでは?= もしかして炎症性乳癌?」という視点は必要です。

「(1)先生も「乳腺炎」だと思われますか?」
→冒頭のコメントにどおり・

 (授乳期でもないのに)うっ滞性乳腺炎ではありません。
 可能性としては
  2.乳輪下乳腺炎?
  3.肉芽腫性乳腺炎?
  4.炎症性乳癌?

 陥没乳頭があれば、2の可能性が高いですが…
 重要なのはエコー像でしょう。
 もしも腫瘍があるのであれば、それを組織診(この場合にはMMTEがベスト)しましょう。

「(2)私の医師の指示(抗生物質とMRI)は的確でしょうか。そうでないなら、どういった検査や処置が妥当でしょうか?」
→MRIなど無駄。

 エコーで腫瘤影があれば、MMTEすべきです。

 
 

 

質問者様から 【質問2 乳腺炎でしょうか?】

性別:女性
年齢:56歳
病名:乳下腺膿瘍
症状:

田澤先生、過日は貴重なアドバイスをありがとうございました。
その後の状況について、質問させて頂きたいのですが。

結局、乳下腺膿瘍との診断を受け、しこり部分を切開し膿を出し、血液培養検査もしましたが、悪性の兆候は見られないとのことでした。
その後3か月間ほど、経過観察で数回受診しましたが、結果は良好で、しこり、かゆみ、赤み、分泌液もなくなりました。

これらの症状が出たころは乳頭が常に陥没していましたが、現在は陥没したり、元の状態に戻ることもあります。

その後、念のためと再度マモグラフィーとエコーを受け、(最初のマモとエコーから半年後)、ガンなどの兆候は見られない、とのことでした。
が、膿瘍自体は治癒したようだが、いまだに乳頭が陥没するのは、中で悪いものが引っ張っている可能性があり、
乳頭陥没が絶対悪いサインというわけではないが、MRIを受けるよう言われました。
むしろ針生検をしないのかと聞いたら、今の段階では不要とのことでした。

MRIは費用が高いので、エコーとマモで悪いものが確定できなかったのなら、経過観察で半年後に再度マモとエコーでもいいように思うのですが。

(1)この時点でMRIは必要でしょうか?田澤先生なら、どのような治療や検査をなさいますか?
(2)陥没乳頭が続くのは悪性のサインでしょうか。
膿瘍は難治性のものもあるようですが、陥没するのは膿瘍がまだ完治していないからでしょうか。
それともエコーやマモで見つけにくい、乳頭周辺の乳がんの可能性があるのでしょうか。

どうぞ宜しくアドバイスの程、宜しくお願い申し上げます。

 

田澤先生から 【回答2】

こんにちは。田澤です。

いつまでも確定診断ではないような診療には困ったものです。

「(1)この時点でMRIは必要でしょうか?」
→MRIは何のため??

 診断には全く無意味です。

「田澤先生なら、どのような治療や検査をなさいますか?」
→私であれば…

 そもそも治療の前に「確定診断してしまい」ますが…(無論、気になる部位は全てMMTEで削ります)
 ★半年も経って「まだ癌の可能性がある」などと、言うようでは困ったことです。

「(2)陥没乳頭が続くのは悪性のサインでしょうか。」
→乳輪下膿瘍の診断なのですよね?

 それであれば「陥没して当たり前」です。

 ★そもそも、いまだに「悪性の可能性がある」などというようでは…

「それともエコーやマモで見つけにくい、乳頭周辺の乳がんの可能性があるのでしょうか。」
→半年も経って、そんなことを言っているようでは…

 〇きちんと確定診断(気になる部位を全てMMTEすれば済む話です)してもらいましょう。