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高齢者の術後治療について

[管理番号:2321]
性別:女性
年齢:82歳
初めまして、お忙しいとは思いますがよろしくお願い致します。
浸潤癌、病期 1で、
昨年11月○○日に胸筋温存右乳房切除の手術を受けました。
病理の結果、
腫瘤の大きさ、1.0×1.0x1.0
腫瘍の広がり、5.0×5.0x1.4
肉眼分類、 中間型
組織学的分類、 髄様癌
組織学的な癌浸潤の波及程度、 g(+)、f(+)、s(+)
脈管浸潤、 リンパ管浸潤(+)、 血管浸潤(+)
管内進展、 (+)
断端浸潤、 水平断端(-)、垂直断端(-)
腫瘤の性状、 石炭化 (+)、 瘢痕 (+)、 硝子化 (+)
随伴病変、 (-)
浸潤性入管癌の核グレード分類、 Grade 3
核異型スコア: 3点
核分裂像スコア: 3点
判定スコア: 陽性細胞数
ER score 0 陰性
P&R score 0 陰性
HER2 score 3+
ki-67 index : 40%
となりました。
担当医師からは年齢も考え、化学療法はおこなわず、
抗HER2療法を3週間に1回、1年間行なうと言われました。
年齢が82歳と高齢なため、本人は受けたくないと言っております。
普通は化学療法と一緒に行って成果があるとの文献もみました。
やはり、治療は受けた方がよいのでしょうか?
本人は82歳にしては元気で、毎日店番をしております。
髄様癌、抗HER2療法、というのが全くわからず、担当医師に説明を聞くキッカケがないままになったので、こちらで質問させていただきました。
以上、何卒よろしくお願い致します。
 

田澤先生からの回答

こんにちは。田澤です。
pT1b(10mm), pN0, NG3, HER2 type
「担当医師からは年齢も考え、化学療法はおこなわず、抗HER2療法を3週間に1回、1年間行なうと言われました。」
⇒私は反対です。
 もしも「ハーセプチン単剤での有効性のデータ」はありません。
 つまり「もしも抗HER2療法を受けるのであれば化学療法と必ず併用」しなくてはなりません。
 
 ○ただし、質問者のケースでは3つの理由で私なら無治療とします。
 理由
 ①82歳 70歳以上の術後化学療法の有効性のデータがありません。さすがに80歳以上では不要です。
 ②腫瘍径(浸潤径)10mm この大きさだと(年齢を考慮しない場合でも)「抗HER2療法を考慮する=必須ではない」という範疇に入ります(NCCNのガイドライン)
 ③髄様癌 これは「大人しい」タイプであり、St. Gallen2009では「大人しい組織型として、リンパ節転移が無ければ化学療法の適応無」としています。
「普通は化学療法と一緒に行って成果があるとの文献もみました。」
⇒その通りです。
 「ハーセプチン単剤」は適応外です。
 
「やはり、治療は受けた方がよいのでしょうか?」
⇒私なら無治療とします。
 (理由は上記です)