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乳がん

[管理番号:3170]
性別:女性
年齢:32歳
田澤先生こんにちわ*
いつも拝見させていただいております。
私もぜひこちらで、お世話にれればと思い投稿させていただきます。
5月末にしこりを見つけ、病院受診(エコー)し、細胞診で悪性と診断されました。
総合病院に紹介され、そちらでマンモとエコーをし、右胸下の内側に約1cm(周りのモヤモヤも足して約1.5cm)のしこりが2つ、さらにその二つをつなぐように石灰化が見られました。
エコーで見る限りでは脇の腫れ?は見られないとのことです。
先日PETとMRIをして、その結果で今後の治療をきめるそうです。
①よく聞く組織診?針生検はしてないのですが、
petとMRIだけでどのような腫瘍なのか、また今後の治療方針は決まるものでしょうか?
②しこりの大きさとしては初期だと言われましたが転移が心配です。
先生の過去の回答を見たのですが、エコーでだいたいリンパへの転移が分かると理解してもよろしかったですか?
この場合私は今の段階ではリンパへの転移はないと思っても良いものでしょうか?(実は右側だけ脇が痛いです。
青あざのように抑えると痛みがします。リュックがあたったりするだけで…)
③しこりは初期でも結果、ステージは3や4の可能性もあるのでしょうか?
④どの先生にも「乳がんはほぼ治るから!」と言われ、少し前向きになれたのですが、
でも乳がんで亡くなる方が多いのも事実…
どのように解釈したらいいのでしょうか?
⑤結婚、出産もしており、主人からも胸がなくなっても命を優先して欲しいと言われており、もし温存手術可能だった場合も再発の可能性が低くなるなら全摘を希望した方がいいのか悩んでいます。
まだ小さな子供が2人いるので、なんとしてもがんばって長生きしたいです!!
田澤先生のお話を聞くと少しでも前向きにがん治療に向き合える気がします。
よろしくお願いします*
 

田澤先生からの回答

こんにちは。田澤です。
「約1cm(周りのモヤモヤも足して約1.5cm)のしこりが2つ、さらにその二つをつなぐように石灰化」
⇒この記載からは(別の乳管系ではなく)「主腫瘍から(乳管沿いに進展:乳管内進展といいます)して娘結節を形成」しているようです。
 ポイントとしては(別の乳管系にできた多発腫瘍とは異なり)「乳房温存術の適応がある」ということ。
 腫瘍径はあくまで「主腫瘍」であり、「2つの腫瘍の足し算ではない」ということ。
 ステージはcT1, cN0, cStage1となります。
 
「①よく聞く組織診?針生検はしてないのですが、petとMRIだけでどのような腫瘍なのか、また今後の治療方針は決まるものでしょうか?」
⇒まず(このような早期乳癌で)PETは無駄な検査です。
 32歳と言う年齢からすれば(今後出産することを考え合わせ)「許されない、無駄な医療被曝」と言えます。
 おそらく、その医療機関では「乳癌=術前にPET」みたいな「ルーチン化」しているのだと思いますが、「患者さんのことを考えている」とは残念ながら言えません。
 ○組織診をしていないことによる問題点は
  1.確定診断ではない。
    細胞診は「1%程度の偽陽性(本当は癌ではないのに、癌と診断してしまう
こと)」があります。
     最近あったQandA「3074 乳がんの手術をしたら葉状腫瘍と言われました」を是非読んでください。
  2.サブタイプが解らない
    組織診をしない限りサブタイプ(ER, PgR, HER2)は解りません。
    術後の治療(ホルモン療法や化学療法)についての、ある程度の(心や仕事の)準備ができない(最終的には、手術標本で解ることではあります)
 ○とりあえず、MRIを撮影すれば「術式」は決まります。
   担当医は「術後の治療」は「手術標本を見なければ(細かくは)定まらない」
ということで、敢えて「細胞診だけで診断はOK」としているのだとは思いますが…
   今時「細胞診だけで、癌の手術をする」ことのリスクを認識しなくてはなりません。
 
「②しこりの大きさとしては初期だと言われましたが転移が心配です。」
「エコーでだいたいリンパへの転移が分かると理解してもよろしかったですか?」
⇒その通りです。
 
 勿論「画像診断では100%ではない(それは超音波でもCTでもPETでも同様です)」ので、最終的には「センチネルリンパ節生検」を行うことになります。
 
「この場合私は今の段階ではリンパへの転移はないと思っても良いものでしょうか?」
⇒無い確率が高いです。(上記の通り、画像では100%ということはできません)
 
「③しこりは初期でも結果、ステージは3や4の可能性もあるのでしょうか?」
⇒ありません。
 
「でも乳がんで亡くなる方が多いのも事実…どのように解釈したらいいのでしょうか?」
⇒トップページの「乳癌の現状」の「乳癌の罹患・予後」を参照してください。
 乳癌は「女性が罹患する癌の中でトップ」です。
 「12人に1人」が罹患します。しかし亡くなるのは「その内の6人に1人」です。
 それに対して
  半数以上が亡くなる癌
・膵臓  1.32人に1人
・白血病 1.75人に1人
・肝臓  1.85人に1人
・胆管系 1.86人に1人
・肺   1.93人に1人
 ○つまり、「全体の患者さんの数が多い」しかも「若い年代が多いため、社会的に注目されやすい」ことが、「他の癌より目立つ要因」と言えます。
 
「⑤結婚、出産もしており、主人からも胸がなくなっても命を優先して欲しいと言われており、もし温存手術可能だった場合も再発の可能性が低くなるなら全摘を希望した方がいいのか悩んでいます。」
⇒ここは「単純化」しましょう。
 「乳房温存術」でも「生命予後は変わらない」、変わるのは「局所再発」だけです。
 ★つまり、「もしも局所再発(乳房内再発)をしたら、その際には(改めて)乳房を切除」してしまえば「予後は同等」なのです。
  この事実を「自分として,どう捉えるのか?」を考えることです。
 
 

 

質問者様から 【質問2】

田澤先生こんにちわ*
以前は回答いただきありがとうございました*またお願いできればと思います。
あれからPETとMRIの検査が出ました。
PETではリンパ節転移がみられました。
以前質問したように、エコーでは腫れ等はみられず、MRIでもリンパ節転移は見られないとのことだったので、すごくショックです。
しこりの大きさは1.1cmと1.5cm、その間に石灰化がみられ、医師からはT1~2と言われました。
位置的に乳頭のすぐ近くのため、このまま手術すると温存はできなくもないがすごく変な形になるので、全摘になるだろうとのことです。
マンモトームもしてもらった結果
浸潤性乳がん 硬癌
異形度? 3
増幅度? 3
ki67 30%以上
ホルモン ER 4/8 PgR?0/8
Her2 3+
これから、術前療法+手術の予定です。
まずは7/(中旬)からハーセプチンとドセタキセル?を3ヵ月投与。
その後3ヵ月FEC投与予定です。
上手く行けば2~3割の人は消失するタイプだと言われました。
また顔つきは悪いがその分抗がん剤などの効き目が高い可能性があると言われ、
前向きに頑張ろうと思ってます。
ここから質問なんですが…
①以前こちらでリンパ節転移の診断について見たのですが、エコーに写ったり、触ったりしてなくても、PETで写った場合リンパ節転移は確実でしょうか?
②田澤先生の話からT1かと思っているのですが、担当医からはT1~2と言われてます。
私のステージは2Bですか?となると早期ガンではないですか?
③グレードも増幅度も悪く、今後が心配です。
予後や再発はどの程度でしょうか?
④うまくいけば、消失するとのことですが、顔つきが悪い私のガンがもし抗がん剤が合わなければ、遠隔転移することも有り得ますか?
またこういった状況で、ご経験上何割くらいが効果がありましたでしょうか?
⑤しこりがうまく縮小、消失した場合、微小転移しているがん細胞も消失していると考えていいのでしょうか?その場合はその後再発はしないものでしょうか?
担当医からは完治を目指しますと言われていますが、消失(その後手術)
=完治ですか?それとも10年再発なくて初めて完治ですか?
完治とはどういう状態になれば、完治とみなされるのでしょうか?
⑥(中旬)日に一回目のハーセプチンとドセタキセルをしたのですが、説明を受けていた副作用が全くと言っていいほどありません。
高熱や嘔吐など…
しいていえば、点滴中に一度口の中に変な味がしたこと、当日1度だけジュースの味が変だなと思ったこと、体がだるいのか眠いのか横になると楽なこと(どちらかと言うと万年寝不足タイプで、これも気合を入れて起きようと思えば全然起きれるレベル)です。
ご飯ももりもり食べてます。
副作用がなくて効き目があれば最高ですが、副作用がなければないで、
効いてないんではないかと心配です。
副作用がない場合は合わないということでしょうか?それとも結果は検査してみないとわからないものでしょうか?
お忙しい中申し訳ありませんが、心配性で不安ばかりの私に、ご助言を下さい。
よろしくお願いします*
 

田澤先生から 【回答2】

こんにちは。田澤です。
申し訳ありませんが…
私は、その病院の診療には全く賛成できないのでコメントも控えめにさせてもらいます。
正直なところ、「全く賛成できない診療」にコメントするのは、少々きついのです。
結局「無駄な被爆である」PETをしたのですね?
更に、「HER2陽性」だからといって、当然のように「術前化学療法」をしているのですね。
術前に「抗がん剤」をやって「腫瘍が消えても」、術後に「抗がん剤」をやっても「全く効果は同じ」です。(小さくして温存という理由が無い限り、決して正当化はできません)
○まるで「術前抗がん剤で消えれば」、手術先行で術後に抗ガン剤をするよりも予後がいいみたいな印象を与えているようですが、全くの誤りです。
 もしも「術前抗がん剤で消えれば、同じ抗がん剤を術後に行っても同じだけの効果がある」のです。
 
「①以前こちらでリンパ節転移の診断について見たのですが、エコーに写ったり、触ったりしてなくても、PETで写った場合リンパ節転移は確実でしょうか?」
⇒確実ではありません。
 
「②田澤先生の話からT1かと思っているのですが、担当医からはT1~2と言われてます。私のステージは2Bですか?となると早期ガンではないですか?」
⇒術前抗がん剤をすると、それらの正確な評価は全くできなくなります。
 
「③グレードも増幅度も悪く、今後が心配です。予後や再発はどの程度でしょうか?」
⇒術前抗がん剤をすると、正確な病理が不明なので、それは全くわかりません。
 
「④うまくいけば、消失するとのことですが、顔つきが悪い私のガンがもし抗がん剤が合わなければ、遠隔転移することも有り得ますか?またこういった状況で、ご経験上何割くらいが効果がありましたでしょうか?」
⇒残念ながら術前化学療法とは(少ないながら)「それらの可能性」があるのです。
 だから安易に「全く誤った理由での」術前抗がん剤は慎むべきなのです。
 
「⑤しこりがうまく縮小、消失した場合、微小転移しているがん細胞も消失していると考えていいのでしょうか?その場合はその後再発はしないものでしょうか?」
⇒術前抗がん剤と術後抗がん剤は全く効果は同等です。
 (縮小とか消失とは無関係に)抗癌剤の予防効果があるということです。
 
「担当医からは完治を目指しますと言われていますが、消失(その後手術)=完治ですか?それとも10年再発なくて初めて完治ですか?完治とはどういう状態になれば、完治とみなされるのでしょうか?」
⇒乳癌の場合は(どんどん低頻度となりますが)「10年後、15年後」にも再発することがあります。
 誰にも解らないのです。
 
「⑥(中旬)日に一回目のハーセプチンとドセタキセルをしたのですが、説明を受けていた副作用が全くと言っていいほどありません。副作用がない場合は合わないということでしょうか?それとも結果は検査してみないとわからないものでしょうか?」
⇒副作用と効果は全く無関係です。