[管理番号:6158]
性別:女性
年齢:50歳
はじめまして。
母親の乳がんについて教えていただきたいです。
昨年の10月頭に乳がん検診のマンモグラフィーをして問題無しとの結果が出ました。
その後、1月頭に左乳房の外側下部に3cmのしこりを自己触診で見つけて(繊維が密集しているような柔らかいしこりで同時期に乳頭から血の混ざらない分泌物あり)1月下旬頃にエコーにて、しこりがあると確認し、生検をしてもらったところ、乳がんの診断がおりました。
この時はまだはっきりと悪性だとは言えないとのことだったのですが、悪性であると考えて検査の予約を入れていきました。
MRIとエコーでは間違いなく悪性だろうと言われていましたが、生検の追加検査でも非浸潤か浸潤かのはっきりした結果が出ず、腫れがあったリンパ節を調べるセンチネルリンパ節生検をする際に腫瘍部分を1.8cmを2つ切り取り検査に出しました。
乳房切除手術日の午前中でしたが、そこでようやく癌が浸潤性であること、グレード3 と悪性度が高いことが判明しました。
この時点では脈管侵襲は明瞭ではない、でした。
リンパ生検も転移無しとのことでした。
2月(中旬)日の全摘手術後の病理結果は
浸潤性乳頭腺管がん〉充実腺管がん
腫瘍径38mm×25mm(主治医曰く、浸潤径も同じだそうです)
乳管内進展が広範囲
脂肪細胞に浸潤し、真皮の一部にも見られる
石灰化を伴うコメドタイプ
グレード3 (NG3 HG2)
ki67が12%
HER2 +2 fishで陰性
ホルモンレセプターは両方とも7で陽性
リンパ節転移無し
リンパ血管共に脈管侵襲有り
ステージは2(主治医曰く、AかBかは分からない)
ルミナールタイプ(aかbかは分からず)となりました。
悪性度が3で腫瘍径が大きく、脈管侵襲があるのを理由に術後補助療法に化学療法を勧められたので、オンコタイプDXの結果を待っている状態です。
低リスク以外ならCT療法を4クール受ける予定です。
上記の結果なら先生も同じように化学療法を検討されますでしょうか?
コメドタイプのグレード3 で悪性度が高いのにもかかわらず、ki67 が高くないことは良くあることなのでしょうか?腫瘍径より浸潤径が小さい方は母とは癌の種類が違うのでしょうか?
この腫瘍径ならば、かなり前から乳房内にしこりとして存在していたと考えられるのですが、マンモグラフィーに写っていなかったこと、リンパ節転移がないこと、しこりに気付いた時期を考えるといきなり出てきたように感じます。
定期検診にエコー検査を受けなかったことは悔やまれますが、癌が浸潤し始めた時期が最近であるならば、心に余裕が持てるかと思いました。
突然しこりができるようなタイプの癌はあるのでしょうか?それとも脂肪の厚い部分だったので小さなしこりでは指に触れなかっただけなのでしょうか?
その場合、遠隔転移の可能性が高くなるかと思われますが、どうでしょうか。
母の父が小細胞前立腺癌で発症から3ヶ月で亡くなっているため、自分の乳がんも小細胞乳がんではないだろうか、それならば進行が速くてマンモグラフィーに写らないと言っています。
もう一つ、昨年の冬頃から身体の不調がありまして、患部側の鎖骨、肩や腕が痛みます。
五十肩だろうか?と湿布等で痛みを誤魔化しているのですが、接骨院では五十肩ではないと言われました。
レントゲンにも特に異常は無いとのこと。
けれども痛みの原因はわからない為、転移していないとも言えないと言われて心配です。
骨への転移の可能性があるのでしょうか?主治医に相談はしましたが、気にしすぎだと言われました。
希望すれば骨シンチもしていただけるそ
うですが、抗がん剤治療が終わった頃にすべきでしょうか?
今現在も痛みは継続しています。
ご回答宜しくお願い致します。
田澤先生からの回答
こんにちは。田澤です。
「ステージは2(主治医曰く、AかBかは分からない)」
→??
pT2, pN0, pStage2Aです。
「ルミナールタイプ(aかbかは分からず)」
→??
Ki67=12%なので「ルミナールA」となります。
「悪性度が3で腫瘍径が大きく、脈管侵襲があるのを理由に術後補助療法に化学療法を勧められた」
→全く根拠がありません。
本来ならルミナールAなので化学療法は勧めるべきではありません。
「上記の結果なら先生も同じように化学療法を検討されますでしょうか?」
→ホルモン療法単独です。
ルミナールAですから。
「コメドタイプのグレード3 で悪性度が高いのにもかかわらず、ki67 が高くないことは良くあることなのでしょうか?」
→『今週のコラム 99回目 ★グレードは「参考程度」ということでいいですね?』
をご覧ください。(グレード3の36%は低リスクとなっていますよ???)
「それとも脂肪の厚い部分だったので小さなしこりでは指に触れなかっただけなのでしょうか?」
→分かりにくかった(触診とマンモでは)というだけの話です。(あまり想像力を働かせることは止めましょう)
「その場合、遠隔転移の可能性が高くなるかと思われますが、どうでしょうか。」
「自分の乳がんも小細胞乳がんではないだろうか、それならば進行が速くてマンモグラフィーに写らないと言っています。」
→全く根拠がありません。(想像力を働かせ過ぎです)
「もう一つ、昨年の冬頃から身体の不調がありまして、患部側の鎖骨、肩や腕が痛みます。」
→10000%無関係です。
年齢からしても「更年期の女性ホルモンによる刺激症状」であることは明白です。
『今週のコラム 111回目 大事なことは、これら①~④の病気など世の中には無いのです。それは(我々医師には)自明なことなのです。』を是非、ご一読ください。
「転移していないとも言えないと言われて心配」
→全く無駄な心配です。
もう「お解り」ですね??(ただの更年期の症状です)
「骨への転移の可能性があるのでしょうか?」
→ありません。
1000%無関係です。
「気にしすぎだと言われました。」
→その通り。皆さんが陥る典型的な状況です。『今週のコラム 111回目 大事なことは、これら①~④の病気など世の中には無いのです。それは(我々医師には)自明なことなのです。』ということです。
「希望すれば骨シンチもしていただけるそうですが、抗がん剤治療が終わった頃にすべきでしょうか?」
→全く不要です。
「今現在も痛みは継続しています。」
→もうお分かりですね??
無駄な心配をしています。
ご安心を。
質問者様から 【質問2 母の乳がんについて】
性別:女性
年齢:50歳
田澤先生、こんにちは。
少し前に質問した者です。
たくさんの質問にご返答ありがとうございました。
オンコタイプの結果が出ました。
スコアが33で高リスクとなり、化学療法を受けることになりました。
22パーセントの再発率が10パーセントまで下がるそうです。
この場合、サブタイプはルミナールBだったということで良いのでしょうか?
もうひとつ、長らく検査をすり抜け続けたであろう、悪性度の高い4cmの腫瘍がリンパ節転移を起こしていなかった理由が分からないのですが、先生はどうお考えになりますか?
石灰化を伴いながらも10月のマンモグラフィーに写っていなかったことにも何か理由はあるのでしょうか?
どうぞよろしくお願いいたします。
田澤先生から 【回答2】
こんにちは。田澤です。
物事はシンプルに考えましょう。
「悪性度が高い(担当医から言われた?)」とか、そんなクダラナイことは「どうでもいい」ことであり、「やるべき事をやるだけ」なのです。
「スコアが33で高リスク」
「この場合、サブタイプはルミナールBだったということで良いのでしょうか?」
⇒その通りです。
やるべき事が決まったのであれば、それをやるだけ(極めてシンプルなことです)
「長らく検査をすり抜け続けたであろう、悪性度の高い4cmの腫瘍」
⇒??
「悪性度の高い??」私には全く興味がありません。
「リンパ節転移を起こしていなかった理由が分からないの」
「が、先生はどうお考えになりますか?」
⇒余計なことを考える事無くシンプルに考えましょう。
リンパ節転移はリンパ行性なので、リンパ節転移は癌細胞がリンパ管に「たまたま入って」「たまたま、生着」すると成立しますが、その「たまたま」が(質問者の場合には)無かったということです。
「石灰化を伴いながらも10月のマンモグラフィーに写っていなかったことにも何か理由はあるのでしょうか?」
⇒考え過ぎ。
物事はシンプルに考えて、「やるべきことをやる」それだけなのです。